無名の人生のレビュー・感想・評価
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人生は不思議
すごい好きだ、この作品。主人公はずっとある意味で不変の存在だが、周りの人間の受け止め方が変わっていき呼ばれ方もその都度変化していく。せいちゃん、くろ、れいと、神様、ぜん、そして人生などなど。そして、ものすごく数奇な人生を生きていく男の年代記が展開していく。
カメラ目線というか人物はまっすぐにこちらを見ているショットが多いのが特徴だ。登場人物にじっと見つめられるような鑑賞体験になるのだが、絵柄の魅力もあってか、何かそれだけで問いかけられているような気分になる。「お前の人生はどうなんだ?」みたいな。
殺されても生き延びて、終末戦争が起きても生き延びて、100年という長い人生の旅路を濃密に過ごす主人公をちょっと羨ましいと思ってしまう。こんなに濃密な人生をおくり、最後にはなんだか壮大なスケールのあやふやな世界へと突入していく。しかし、「人生ってこういうもんだよね」という、なぜか深い納得もある。
人の一生を奇想天外な形で見事に映像化している。これは隠れた傑作だ。
人生って振り返るとこれくらい不思議なものだと思う。
予想もつかなかった方向へ連れていかれる感覚が楽しくも、不思議な鑑賞感を残す一作
人形芝居を連想するような独特の作画とアニメーションは、CGとエフェクトを使いまくってる最近のアニメーションを観慣れているとかなり独特な印象を与えます。
幼少期のある出来事のために名乗るべき名前を失ってしまった一人の男の人生を辿っていく物語、なのですが、その道のりは常に観客の予想を超えてきます。特に後半は、あるシュールレアリスム作家の作風をかなり意識したと思われる描写など、徐々に抽象的な世界観が入り込んでくるため、描写の意図をつかみかねて戸惑ってしまうかも。
作中、主人公の男は自分の名前はおろか、ほとんど口を開くことはありませんが、そんな彼に周囲の人々がめいめい勝手に彼に名前を授け、彼の存在の意味を決めて(押し付けて)くるあたり、ちょっと『ガープの世界』(1983)や『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)を連想してしまいました。あるいは主人公が彷徨の人生を辿る、という点などで『マインドゲーム』(2004)に通じるところも。
エンドクレジットで鈴木竜也監督による驚愕するような仕掛けが待っているため、最後までしっかり鑑賞をおすすめします!
良い悪いではなく
破茶滅茶だけど面白かった!
新宿武蔵野館で滑り込みで鑑賞!途中なんじゃコリャー!とかマジか!とかありがちなデストピアきたー!とかシュールな展開と思ったらシュールレアリズム!とか、なかなかにダークなストーリの中、笑っちゃうとこが随所にありました。
本編に変なチャカポコ部分だけ使われてたBlue Life?父親のアイドルグループの歌も、エンドロールで聴けてニヤニヤしちゃった。ガッデムな青春〜♫
シンプソンズ、サウスパーク、ビーバス・アンド・バットヘッドなど社会事象を取り込んだブラックなアニメが好きだったので、あまり動かないオフビートな感じとかも、ちょっと通じるものがあります。
まあ、100歳の章は蛇足ぽさが否めないものの、顔が◯になっちゃうのはサイボーグ化的なやつ??単にマグリット的な絵が描きたかった?宇宙人は概念?最後は人体と合体?とこの辺のみなさんの解釈を聞きたいところです。
やはりひろしが死ぬまでがクライマックスかな。ひろし、作品内で一番いいやつ。霊柩車で突っ込もうと思ってたら地震来たとこからのひろしの生き様のほうが見たかった。
というかもうちょっと最後までひろしと主人公とキンちゃんを中心にしたら分かりやすかったかもね。
中学生が…
不思議で興味深い
仙台の団地で暮らし、いじめられっ子で孤独な少年は、ある転校生との出会いをきっかけに、父親の背中を追ってアイドルを夢見るようになり、オーディションを受け、デビューし、人気となった。生まれてから死ぬまでに源氏名や蔑称などさまざまな呼称で呼ばれながら、本当の名前を呼ばれなかった男、の波乱万丈な100年の生涯を、高齢ドライバーの事故、芸能界の闇、戦争などの社会問題を背景に描いた作品。
わかりにくいところはあったが、全体を通して興味深く鑑賞した。
最新のアルファードやテスラのサイバートラックが出てたりと、新しい車を取り入れてたところにも共感した。
過去はちっちゃな画面、未来は横広のカラーと分けていた事に意味があるんだろう。
不思議な作品だった。
名前というラベルのない世界の存在
名前とは
今まで見た中でレビューを書きづらい映画ランキングのかなり上位に入る映画だと思う。
ストーリーは一度で細部まで理解するのは難しいが、だからと言って困るということはなく流れに乗ってしまえばちゃんと最後まで連れて行ってくれるから心配はいらないかなと。
今の時代の男性アイドル事務所の問題だったり高齢ドライバーの問題だったりがシーンとして出てくるがそれを告発するというような流れではなく、むしろ主人公はそれを一方的に受動しつつどこかのタイミングで内なる暴力性が牙を剥くという展開が続き、かなり無茶苦茶で突飛ではあるがそういう生き方もあるのかと思って鑑賞していた。
パンフレットを購入するのを忘れたので未読だが、かなりしっかりと監督が解説されているようなので機会があったら手に入れて読んでみたい。
パワーはすごいとは思うものの
一人でアニメーション作り上げるって途方もないことだと思うんですが、そのせいか独りよがり感が特に最後の方すごくて同じくほぼ一人で作られたジャンクヘッドや侍タイムスリッパーって商業ベースきっちり意識して作られててすごかったな…と改めて思いました。(他作品名出すなって感じですが)
ジャ…の社長であろう人物、相当まんまでびっくりしました。グロさを感じるほどに。
未だに膨大な数の被害者に対して充分に償われていない現状であそこまでまんまにしなくても…と思う一方で最後のあたりの未来的世界の解像度の低さが合わず。
SF展開が一番顕著ですが現代的な色んなものを詰め込みつつほとんどのものに対する理解の浅さ解像度の低さ、特にどうすべきかなどの自分なりの答えを示すわけでもなくただセンセーショナルな部分を摘むという感じで誠実さが感じられず、一番解像度高そうなのがジャ…っぽいアイドル事務所の舞台裏的な話っていうのはすごく今の一般的な日本人な感じはするかも。
そういうところの波長が合えばすごく良い作品に感じるのでしょうか。
SNSやメディアでの評価かなり高かったので期待して行ったんですが…全く良さわからなかったです。
この作品ベタ褒めしてる人の評論は自分にはあまり参考にならないかもしれないなという今後の指標ができました。
新しい感性の世紀末感
ぐいぐいと魅せられてしまう
長編アニメを1人で全部やる新しい感覚、新しい時代の監督だな!と思いました。よくあるアート系すぎて退屈みたいなことは全くなく、むしろキャッチーだしポップだし、音楽のセンスも凄くて全く飽きずに走り抜ける感じでした。
パンフに、どのシーンがどの映画のオマージュかまで書いてあるところからしても、誰にでもわかる言語レベルに落として伝えよう(というか記録しよう?)という気持ちが強い感じがしました。おお、バレても構わないのか、、と思ったのですが、古い考えすぎますかね?
内面の厚み、、とは逆な感じがします。
少しクールすぎるというか、北野武的な訳の分からない主人公の映画ですが、もっと主人公が薄いので、人間を遠くから定点観測、人間の観察日記、みたいな感じです。
後半わかりづらかったのが勿体ない
iPadを使って1人で作り上げたと聞いて驚く。それはどんな作業だったのだろう。ワクワクしながらなのか、魂を削るような作業だったのか、もしくは目的に向かって淡々と進めたのか。いずれにせよとても孤独だったことは間違いない。
滑らかに動くアニメではないので、ある程度動きが制限されていることは序盤から感じ取ることができた。なるほどと。だから、踊りのシーンはなかなかにひどい。仕方ないことだけど。
でも、せいちゃんから死神と呼ばれる男の人生はなかなかに興味深い。あまり喋らなくても人を惹きつける奴はいて、それがカリスマってことなんだろうなと思いながら観ていた。いじめられていたのも見た目がいいのに、周りに寄り添うことができないが故の嫉妬みたいな感情が含まれている気がした。中学を卒業してアイドル事務所に所属する流れも普通ではない。でも、どの場面を見ても主人公の彼からは孤独しか感じない。監督が伝えようとしたことが「人生は孤独だ」ってメッセージなんじゃないかと思うくらい。
なかなか興味深く鑑賞していたが、年代が未来に進むに従ってついていけなくなった。戦争?宗教?この映画でそんなものが絡むとは思わなかった。最後は、なかなかに難解な終わり方。これは観る人を選ぶな。あのあたりの描写がもう少しわかりやすければ評価はかなり変わるのに。ここらへんは1人で作っているマイナスポイントだったかもしれない(作っていない側が言える発言ではないが)。でも、印象に残る映画であったことは確か。いつかプロデューサーとか脚本の人が入って、いろいろやりとりする中で作り上げた映画を観てみたい。
なんにせよ作ったものが強い
映画サービスデー2本目は有楽町のヒューマントラストシネマから丸ノ内線で30分の新宿武蔵野館。ガンダしてなんとか会場5分遅れで開始には間に合うなど。真っ暗の中席に着くまで前通ってすいませんでした。バッグは始まるまで膝の上が良いと思うよ。
作品はいろいろ言われてますけど作ってないやつが何言っても雑音なんでモブに権利などないです(俺もです)。
なにせ音に対するこだわりがめちゃくちゃあるので絵が稚拙だろうがなんだろうがスッと見れちゃう感じでしたね。音本当に大事です。
内容的には人類史上最悪と言われているジャニーズ系性被害のトレンドを織り込んだ感じで進んで行くですけど、何しろ主人公の出自の部分が情報多過ぎて分かりにくくて物語に入り込む間もなくあっという間にパイプ椅子投げてましたね。ストーリーテリングで導入とキャラクターのバックボーンの説明は本当に大事と痛感した次第。監督さんめちゃくちゃ好きだったんだろうなSMAPと嵐。だべ?
それではハバナイスムービー!
分かりにくかった
ずいぶんとモテモテな『無名の人生』なことで
『無名の人生』というタイトルから、人知れずひっそりとした人生を描く作品だと想像したが、全く違った。
誰からも本名で呼ばれないことがタイトルに繋がっているのだろうが、それがそこまで悲観すべきことなのかと個人的には疑問に感じる。
映像表現は非常に独特。
アニメーションは動きが少なく、『ファミコン探偵倶楽部』のようなアドベンチャーゲームの画面が延々と続くような印象を受けた。
しかし、画面構成はかなり緻密に計算されており、監督のアートセンスが際立っていることは強く伝わってきた。
一方で、ストーリーはかなりシュール。
驚きの展開が連続し、衝撃は受けるものの、ただそれだけ。
あらすじには「高齢ドライバーや芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争といった社会問題を背景に」とあるが、これらのテーマは表面的な描写に留まり、深く掘り下げられることはない。
奇をてらうことだけを目的とした脚本のように感じられ、心に響くことはなかった。
エンドロールの作り込みは今年観た映画の中で群を抜いていた。
鑑賞後もあの曲が頭から離れなかった。
良い映画の時間を歩めたかなって
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