無名の人生のレビュー・感想・評価
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静かながら圧倒的エネルギーを感じさせる傑作※追記有り
観る人を惹きつける演出がレベチ。目と耳が圧倒されるアート作品。普段あまりアニメ作品を観ないので比較できるものが少ないのですが、これほどまで惹きつけられたアニメはちょっと思いつきません。それ程の衝撃作。上映後はしばらく立ち上がれない程の衝撃。
「MAHOROBA」の時も思ったのですが、音楽の使い方が本当に上手い。映像とリンクさせ、独自の世界観を築き上げています。どこか現実離れしているような、ある種の浮遊感をも漂わせる不思議な感覚。怒涛のクライマックスはただただ圧倒され、目の前の映像に没入していました。
ほとんど一人で製作したというのはもちろん凄い事ですが、それを抜きにしてもこれは素晴らしい傑作だと思います。いろいろ考察するのも楽しいですが、作品に身を委ねて、あまり考えずに「感じる」べき作品なのかなと思いました。
※追記
どう考えても傑作。映像作品における一つの到達点と言って良いのではなかろうか。この作品を体感することで観客の「人生」にどんな影響を及ぼすのか。生きることの本質を見出すかもかもしれない、勇気をもらえるかもしれない、もしかしたら虚無感を覚えるかもしれない。時に残酷な程暴力的な作品だが、そんな様々な感情を生み出す懐の広さも感じられる。是非ともまた観たい作品だ。
唯一共感できたところ
キャラクターが適度にディフォルメされてますし、特に呼ばれ方がコロコロ代わる主人公はほぼ喋らず、基本何考えてるかも不明・・・ですから全体的に何となく感覚と雰囲気で押し切る様な作品と勘違いしてました。
しかし実際はそんな単純さは皆無で・・・主人公はじめそれぞれのキャラを取り巻く周辺の情報量自体はかなり多くその移り変わりも速いので、脚本上で後追いで説明されつつもストーリーや人物の背景情報を把握するのに戸惑うことも多かったです。
その戸惑いは主人公が経験する数奇な運命を追体験する様な感覚とも言えるのですがいかんせん、その彼は無反応または極度に暴力的になるの二択・・・私は共感というより傍観者になってしまったと思います。
ただ唯一共感できたのは、名前はその対象を良くも悪くも一方的に規定し、ひとつの呪縛としてその運命さえ変えてしまう・・・っていう所でしょうかね。
なお物語終盤は展開が早送りで、しかもとても深い内容で真意が掴めませんでした。悪しからず。
では。
映画的な作り方
技術面は一見Flashでイラストを動かす、アニメーション技法としては稚拙で少し古いものにも思えるが、どことなく『サウスパーク』に似た少人数で描くための工夫が随所に。
内容的にも、さまざまな現在~過去に生じた事件、時事ネタを内包し、それらもまた時代が変わってもいつでも起こり得る普遍的なもので、「魂の尊厳」に影響する陰惨な事件ばかりを取り上げていて、受け入れやすかった。
認知症ドライバーが起こした致死運転、芸能事務所社長の性暴力、でっちあげの薬物疑惑での告発したスターの排除、学校のいじめ、いじめをスルーする教師や加担する保護者、
さらには予言的かつSF的な未来~日本で起きる戦争の話。
時間と時代を「切り取り」「想像する世界を提示するという」、きわめて「映画的」な作り方をしていて、映像作品としての品と風格を感じさせられた。
万人に勧めはしないし、日本のアニメーション作品が好きな人にはあまりお勧めできないけれども、映画が好きな人なら観て損はないと思いました。
ヒメ目線で観ると・・・
こりゃあ、、 ベタなところや、既視感はあれど、、、 観たかった、個...
デジタル的感性の極北を見る思い デジタル•ネイティブ世代とデジタル移民世代とのジェネレーション•ギャップ??
私はこの作品を観て生まれて初めて映像作品の作り手との間にジェネレーション•ギャップめいたものを感じました。私は古希手前の60代ですが、青春映画を観ても初恋を扱った恋愛映画を観てもジェネレーション•ギャップを感じたことはありません。それはそこで描かれていることが普遍的なことであり、ああその気持ちわかるよ、といった心持ちになるからです。ところが、この作品では物語を展開してゆく手法に今まで感じたことがないような違和感を感じました。
まず、序盤から画面上で展開される内容の情報量の多さに圧倒されました。次から次へと出来事が発生してくるような感じ。読書に例えると文字量が多く、文字からの情報を絶えず処理しなければならない本を読んでいるみたいな感じです。文芸作品を読むときには「行間を読む」、文字に書かれていない部分に思いを馳せるというのは読書の醍醐味のひとつだと思いますし、映画鑑賞でも同様にスクリーン上で展開される物語を見ながら、登場人物それぞれの心情に思いを馳せるのは大きな楽しみだと思うのですが、この作品では何しろ情報処理にかかりっきりになりますので、従来型の映画鑑賞の醍醐味はまったくないということになります。
次に登場人物やストーリー上で発生する出来事の記号化について。この作品の登場人物は血の通った人間ではなく作り手のコマのようで記号化されている感じがします。序盤に高齢ドライバーが交通事故を起こし、ストーリーが前進しますが、そのシーンで必要だったのは「高齢ドライバーによる交通事故」という記号だけだったようで過程が示されることなく事故だけが突然起きます。ひょっとしたら、その高齢者は娘の離婚話とそれに伴う孫の親権のことで悩んでいてそれで注意力が散漫になっていたのかも知れないのですが、記号として一瞬登場し、あっという間に退場します。また、この物語の主人公は若い頃、芸能事務所に所属し、アイドルを目指していたのですが、彼のことを記号Aとしましょう。彼の所属する事務所の社長は色付きのメガネをかけた細身の初老の男で、少年に対する性加害で問題になった あの芸能事務所社長を彷彿とさせ、見事に記号化されているので、これを記号Bとします。本篇の中で記号Aは記号Bになぜか突然暴力ふるって事務所を辞めることになり、ストーリーが前進します。本篇ではそうなる過程があまり描かれていなかったようなので、どうして暴力を振るったのか私にはよくわからなかったのですが、記号Aと記号Bがうまく機能して、ああ、あれね、といった感じでストーリーが前進します。
この作品ではストーリーが次のステップに進む際に暴力が使われることが多いです。それもそこに至る過程はごく短く示されるだけで突然暴力ドン!で場面展開してゆきます。主人公の記号Aはデジタル的で ”1” のときは暴力的になり、 “0” のときは何を考えてるのかよく分からない無反応人間になるみたいな感じです。で、過程はほぼ省略みたいな感じにして、結果、結果、結果の出来事の連続でストーリーはサクサク進んでゆきます。私は「情報処理」に余念がありませんでしたから、物語の持つ意味などはよくわかりませんでした(苦笑)。
この作品の作り手の鈴木竜也氏は個人制作で1年半かけてこのアニメーション長篇作を完成させたとのことです。作品を拝見させて頂いて、きっと物心ついたときには周囲にデジタル機器があったデジタル•ネイティブ世代なんだろうなと思ってネットで調べてみたら、1994年12月生まれとのこと。やっぱりなあと感じました。こっちは30代半ばぐらいにして、ようやくインターネットやらeメールやらの新語を聞いたデジタル移民世代だからなあ、感性が違うのもあたりまえか、と思いました。が、結局は個人の感性の違いということなのでしょう。
なんだか、よく分からなかったけど、何か新しいものを見せてもらえたような気もするし、新しいひとつの才能に出会えたことと今後の鈴木氏の活躍を祈念して、星五つ進呈です。
UN
監督作の「MAHOROBA」から独特な作風だなと気になっていた鈴木監督の最新作。
予告やポスターからは掴めるものが少なく、一体どうなるんだろう?と期待マシマシ不安チョビチョビで鑑賞しましたが、とんでもないものの詰め合わせで圧倒されっぱなしでした。
こんな作品観たことない!っていうくらい怒涛の情報量にぶん殴られっぱなしでした。
セリフほぼ無しで進むオープニングから想像力が膨らんでいき、主人公の背景なんかが描かれるのですが、ハイスピードで両親が出てきて主人公が生まれたかと思いきや、あっという間に成長して、ポーッと観ていたらコンビニに車が突っ込んで両親が轢かれるという急展開に思わず目が大きく開いてしまい、最初から呆然としていました。
そこから主人公の小学生時代からの交流が描かれていき、喋らないことや行動などでいじめられつつも、同じような境遇を持った友人ができ、そこからアイドルを目指す物語が始まり、オープニングと徐々に繋がっていくという学生時代が濃密でした。
アイドルとして社会に飛び出してからの苦悩、社会のレールから外れてとんでもない事になったりと、ここまででなくても、いつこんな風になってもおかしくはないよなと変にゾワっともしました。
ここ最近の社会問題なんかをガッツリ取り込んでいるのは個人制作だからこそ成せる技、そして時代の変化を乗り越えて作られたものだなと感動しました。
高齢者の交通事故からの不起訴の流れだったり、アイドル事務所の性加害を匂わせる感じだったり、トー横キッズがあったりと中々に盛りだくさんで、現実のルートと同じものを通るものもあれば、違うルートへ突き進んだりと監督の目の付け所が鋭すぎて面白かったです。
アイドル事務所のやつなんかもうもろあの社長でしょ?という感じですし、エピソードとして聞く唐突なスカウトだったりアイデアの出し方だったり、合宿所の構造だったりとめっちゃ拾ってるわ…驚きっぱなしでした。
人生の中盤を過ぎたあたりでどんどんディストピアな展開になっていくのも面白いところで、近未来ってこんな感じかもな〜からの近未来ってこんな感じになっちゃうの?という感心と驚嘆が同時に襲ってきたりしました。
長い人生だからこそ分岐点が印象的に描かれるのもあってその都度リセットしながら楽しむことができました。
人生の終盤は手がつけられないくらい突飛な展開にはなっていきますが、これがまた個人的にはとっても好みで、独特な世界観と死生観が誕生しており、セリフ無しの時間が長いこと続きますが、アニメーションの一つ一つに魅了されっぱなしでした。
タイトル回収なんかもされますが、ダブルミーニングでは収まらないんじゃ?ってレベルで怒涛の伏線回収がされたりとでもう感情ワッタワタでした。
エンドロールで一気に現実に引き戻してくれるのも最高です。
どうやって締めるんだろうと思っていたところにトドメを刺してくれるので気持ちよく劇場を後にしました。
アニメーションは全編iPadで作られたという狂気の塊のようなアニメーションですが、シュールなタッチだからこそメッセージがドカンときますし、暴力もエロも悲哀も全部ストレートにくるので画期的だし、全部動かして90分やり切るとか凄すぎるわ…と監督に頭が上がりません。
セリフのエッジも強烈に効いていて、血なんてポカリと一緒じゃんというセリフを始めとにかく洒落ているセリフの連発で心ウキウキワクワクでした。
ACE COOLの楽曲を聴きながらの制作がこういうところで活きているんだなと音楽の力も一緒に感じることができました。
声優陣もほぼ本職ではないんですがしっかりハマっていましたし、ACE COOLの言葉の重みがラッパーだからこそというところが強く出ていて良かったです。
頭をグルングルン駆け巡らせながら楽しめました。
改めて人生って面白いもんだなーと思いましたし、こうやってエグい作品と出会えるのもまた一興だなと思いました。
次回作もどんな尖り方でやってくるのか、期待しています。
鑑賞日 5/20
鑑賞時間 14:20〜16:00
フリーアナウンサーがフジテレビ事件とダブる
途中からむずかしくなってついていけなくなってしまった。
山形でタクシー運転手をしていた黒須ヒロシが結婚して仙台に引っ越す。その息子は喋らず、ほとんど動かず、学校では死神と言われてイジメられる。母親が老人の運転ミスが原因で死亡。東京から転校してきてた茶髪の金満金太郎(カネミツキンタロウ)。ヒロシの息子は突然だか偶然だかBLUE BOYZのメンバーのアイドルに憧れるようになっていた。ルックスも運動神経のよい金太郎が芸能事務所の新人オーディションに応募し、クロをオーディションに引き込む。全く動かず、喋らないクロ。しかし、白神プロデューサーは即日採用。6人ユニットを組むことに。
その後、クビになり、ホストになが、ホスト店長らに山に連れて行かれ、殺される。が、しかし、イノシシなどを捕らえて食べて生きていた👀
牛首村か❢
彼はヒロシの結婚相手の連れ子で、養子?
生みの父親はお金持ちの青木家の御曹司の伝説のアイドルだった。血は青いらしい。
フリーの女子アナのインタビューを受けて、その女子アナと結婚することになり、子供ももうける。
そのあと、なんだかんだで、2075年に。
長生きだなぁ。
犬型のロボットも出てきて、わけがわからなくなってしまった😰
未来を予言しているような作品
ニシティ声優デビュー
予想外にてんこ盛り
限りなく平面的で、くすんだ色味、それでいて説明なしに結構なスピードで物語が展開されるので、油断していると置いていかれていることもしばしば、とはいえ内容もなんか地味でこのアニメは果たして最後まで見るに堪えることが・・・と一抹の不安・・・とそれも一瞬のことで物語が面白おかしくどんどんあちこちに進んでいって、いつの間にか、あー最初のあれもっと集中して見ておけばよかったーと多少の後悔、それも一瞬のことで色んな不満や疑問などがかき消されるくらいの展開と面白さ、行き着く先が予想だにしない壮大でファンタスティックなもので、見終わった頃にはかなりお腹いっぱいといった感じでした。
まさに個人で作成した作品と納得できる反面、個人での創造物とは思えないくらいのてんこ盛りで、かなり度肝を抜かれた印象です。
相当好きな作品でしたが、あの配色だけはどうも・・・。確かにシュールでどことなく哀しい内容にマッチした絵づくり・色味であったと納得ですが、もう少し明るくてもなぁと、個人的に。劇場内に飾られていた作品宣伝のデコレーションが美しかっただけに、余計に作品そのものが地味すぎると感じてしまいました。
しかしながら、途轍もないパワーは感じる作品でした。
青く凶暴で美しい血
今年の収穫の一本。
ひろし、血なんてただの液体じゃん。ポカリと一緒だよ。
作品における、作り手の狙いをどの程度説明するのか。 その加減は難しく、足りなければ視聴者に理解されず、過多だと「ああん? ここまで言わなきゃわからんと思ってるのか(私を)ナメやがって」と勝手にキレる。私は。常に自分勝手である。
と、いうわけで、説明は個人的には少し足りないくらいが、受け取る側の想像のゆとりがあり、そういったゆとり――隙間に自身の心を添えて観ることで感情が乗る気がします。塩梅が上手い作品だと感じました。
同作はある一人の男性の、100年の一生をラッシュで見せる構成。決してその道のりも平坦ではなく、展開は思わず飛躍的にもなる。けれどちゃんと画面に映る「人生」に心を寄せて驚いたり、ホロリときたり、切なくなったりできました。突飛だけれど心は乗った。それは説明の加減のうまさが一助になっているなぁと。
ポカリ、寮のランドリー、ブラウン管越しに遠くなっていく過去の事件。
伝えたいと思う場面でどの対象にカメラを向け、意味を持って映すのか、的確だなと思いました。ポカリの表現が好きです。
お一人で描かれているとのことで絵が上手だなぁと、また、だからこそ作品の操作性が安定していたなと。今の時代らしい形式で読む、マンガ活劇のようでした。映像だからこそ読書と違い、リズムを作り手が設定できることも活きていた気がします。アイディアも良く、作品内に忍ばせられた創作的な仕掛け、ミーニングもしゃれっ気がきいていて面白かった。
そして映画らしい良さとして、このマンガ活劇に声が加わりまた新しいリズムの連続を生んでいるなと思います。
タイトルは、友人きんちゃんの台詞。この後の場面もグッドでした。
「波瀾万丈」と一言では括れない
自ら掴む人生
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