「名前というラベルのない世界の存在」無名の人生 HKさんの映画レビュー(感想・評価)
名前というラベルのない世界の存在
さまざまな社会問題をコラージュしつつストーリーは組み立てられているが、
後半、未来のあわや哲学的な世界観までにいたる壮大な展開には驚愕するしかない。
平面的な画面構成やキャラクターのギクシャクした動きからは
不思議と強い豊かな感情が表出され、グッと引き込まれる。
また時折出てくるやや執拗な繰り返しには、人間の営みの虚無が感じられる。
それは皆の偶像的な存在ですらも例外ではないことを容赦なく見せつけ、
ぶっきらぼうなセリフ回しも相まって我々を冷酷に突き放す。
一方で魂や存在を肯定的に捉えている表現もあり
最後は少し前向きな気持ちにさせてくれる。
恐るべき創造力の衝撃的な作品。
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