ミステリアス・スキンのレビュー・感想・評価
全29件中、21~29件目を表示
映画館は満席でした
辛いですが、見る意義のある映画です。
性虐待のおぞましさがしっかりと伝わる一方で、子役の撮影には配慮が行き届いているであろうことが見て取れ安心しました。
一方、成長したニールの売春の表現は少し踏み込んでいます。それでも、モザイクが必要なほどの場面はなく、嫌悪感は多少和らぎました。
映画館は久しぶりの満席でした。30〜50代くらいの女性が多く、皆さんほとんど動かず映画に集中できました。
帰宅後気になって調べましたが、英語版ウィキペディアによると、加害者(コーチ)役の俳優も子供の頃に性被害の経験があるとのこと。この経験から、普通の虐待者が実際にはどのようなものなのかを考えながら演じたようです。確かに、ステレオタイプな表現ではなかったと感じました。
制作から20年経過している事実が、映画が描き出す問題の複雑さを物語っている
2025.5.1 字幕 アップリンク京都
2005年オランダ公開、2025年アメリカ公開の映画(99分、R15+)
原作はスコット・ヘイムの小説『Mysterious Skin(邦題:謎めいた肌)』
8歳の頃に起きた事件によって強烈なトラウマを抱えた二人の青年を描いた青春映画
監督&脚本はグレッグ・アラキ
物語の舞台は、アメリカ・カンザス州にある田舎町
8歳の少年ブライアン(George Webster)はある雨の日の5時間の記憶がすっぽり抜け落ちていた
気がつくと姉のデボラ(Eacheal Nastassija Kraft) から「鼻血が出ている」と言われ、母(Lisa Long)から過剰に心配されてしまう
父(Chris Mulkey)は無関心なようで、その態度に母親は怒っていた
一方その頃、ブライアンと同じリトルリーグに所属していたニール(Chase Ellison)は、コーチ(ビル・セイジ)とよからぬ関係を深めていた
以降、ニールは強迫観念に囚われるようになっていて、仲良くなった少女ウェンディ(Riley McGuire)は彼の狂気じみた行動を心配するようになっていった
それから10年後の1991年、ニール(ジョセフ・ゴードン=レビット)は男娼として生計を立てるようになり、町では「ある場所」がキーワードになっていて、そこにニールを買いたい客が訪れるようになっていた
ウェンディ(ミシェル・トラクテンバーグ)は「いつかヤバい奴に酷いことをされる」と感じていたが、ニールは聞く耳を持たなかった
一方のブライアン(ブラディ・コーベット)は、「空白の5時間」に固執するようになり、悪夢に苛まれていく
彼は地球外生命体のテレビ番組に傾倒し、自分は子どもの頃にUFOに拐われたのではないかと思い始める
そして、TV番組に出演していたアヴァリン(メアリー・リン・ランスカブ)に手紙を出すようになっていた
映画は、ブライアンが空白の5時間を探すのと並行し、ニールが後戻りのできない生活へと入っていく様子が描かれていく
ニールはコーチに特別扱いされたことに固執していて、同じような愛を探しているがどこにもなかった
ブライアンは空白を埋める何かを探しているうちに、あの時に一緒にいた少年が何かを知っていることに辿り着く
そして、古い写真からニールという少年が同じリトルリーグに所属していることがわかった
だが、家を見つけた時には、ニールはすでにニューヨークに行っており、そこに居合わせたニールの友人エリック(ジェフリー・リコン)と親密になって、彼が帰省する日を待つことになった
ニールはニューヨークでウェンディを頼って生きてきた
サンドイッチ店で働く傍で売春行為を繰り返していて、ようやくクリスマスイブに実家に戻るチケットが手配される運びとなったのである
映画は、8歳の時の出来事が二人を変えたのだが、その行為によって本質が芽生えた者と、行為自体に対するトラウマが生まれてしまった者が生まれたことを描いていく
ニールにとってはコーチは絶対の存在であり、彼自身も行為自体を拒絶はしていない
だが、彼の意思でそれを行ったのかは曖昧な部分があり、立場を利用した虐待以下には思えない
彼自身は本当にゲイだったのかもわからず、コーチによって無理やりこじ開けられたもののようにも思えた
また、ブライアン自身は10年以上も空白に囚われていて、その多くの人生を無駄にしてきたことがわかる
コーチの不在は二人にとって影を落とすことになるのだが、彼らの両親がそのことに気づいていない、というところが残酷であるようにも思えた
いずれにせよ、かなりショッキングな内容で、直接描写はないものの直視に耐えないシーンは多かった
演じた子役のその後も心配で、意味もわからず演技していたのかなと思った
制作されたのは2005年だが、アメリカと日本では2025年まで劇場公開がなされていない
その年月が意味するものはたくさんあると思うが、まずは演じた二人の子役のケアが必要だったのかな、と感じた
性暴力の傷痕
幼い頃に成人男性に性的搾取された少年2人、ブライアンは記憶を自ら改ざんして宇宙人に誘拐されたと思い込み、ニールは年長者の男性に愛を求めて男娼として生きている。
少年たちが人生を狂わされていく様子がつぶさに描かれており、どちらもトラウマへの防御反応かと思うと辛い。
スクリーンから目を逸らしたくなるような具体的な描写もありましたが、巧みに映像化されていて、彼らの受けたショックがそのまま胸にグサグサ突き刺さりました。
(スコット・ハイム原作の小説は作者の実体験を元に書かれたそう)
少年野球チームの監督が少年たちを毒牙に、というと嫌でも思い出してしまうのが、某男性アイドル事務所元社長のJ氏(故人)。
あの件がまず欧米諸国で糾弾されたのは、ペドフィリアに容赦ないお国柄だからなのか。
いや、それだけ隠れ愛好者が沢山いて、社会的に看過できないということなんでしょう。
この映画を観て、やはり氏の蛮行は何があろうと許されることではない、との思いを強くしました。
…とはいえ、2人の少年の可愛らしさと、ニールを演じたJ.G.レヴィットの色気…に全く邪な気分にならなかったか?と聞かれたら、否定できず…
(レヴィットはインセプション以降しか知らなかったので、体当たりでこんな役をやっていたとは知らず。潔く脱いでてびっくりした!のと、この頃から目の演技が秀逸ですね)
そのたびに、これはそういう映画じゃないし、これじゃああのオッサンたちと同じだよ?と、自分を諫めること度々。
性暴力のトラウマ、って、ドラマや漫画等でスパイス的に気軽に持ち込まれがちなネタだったりするのですが、そこに真正面から切り込んだこの作品を見ると、そんなに甘いものじゃないよなーと思わせてくれます。
演技も演出も素晴らしく、20年の時を経て映画館で観れたことに感謝です。
(上映館が少なすぎるのが残念です)
癒えることのない傷
20年前観たかった
カタルシスでは無い癒しを。
ずっと宇宙人の仕業だと信じたり、
自分に何か力が与えられた気になってしまったり、
他者を同じ方法で支配したり。されたり。
すべてが過去の被害に結びついて
人生にまとわりつく感じがして、
サバイバーとしての人生を想った。
それとクィアにおける父親像、母親像
あの描き方も興味深かった。
父に対抗し、ママを求める
ラストシーン、
「魔法のように2人で天使になり、消えるんだ」
この台詞の物悲しさ。
魔法は無いし、天使にもなれない。
消えることすら出来ない。
でも2人で居たあの時間だけは誰にも奪えない。
傷が少しでも癒えていると信じたい。
追記
観終わってから30分ほど経つが、全く余韻がさめない。
どこか空洞に落ちてしまって、一歩も前に進めなくなってしまった感覚。
ウェンディを演じてた
ミシェル・トラクテンバーグにあいたい、てことで行ってきました。
けっこう前の作品なので当たり前ですけど、元気なお姿をスクリーンから
目に焼き付けておこうと。
ジョセフ・ゴードン=レビットとエリザベスシューも大好きです。
あとブルータリストの監督さん、ナイーブな役どころでそれも観たかった。
ビリー・ドラゴもHIV発症しつつ、他人に触ってほしい人役で出てましたね〜
いい役者さんが名演技めじろ押し、でした。
なんでこんなに長く公開しなかったかは、内容が理由なんでしょうね。
ストーリー、子供がとくにブライアンの方ですが、歪むのがちょっと許せなかったです。
身勝手な欲望が原因だと到底、納得できません。
ニールは資質があったのかもしれませんが、まだ時期が早い。
いろんな人と、世界と巡り合ってからでいいと思うし、それには時間も必要なので。
そう感じます。
普段考えもしない、想像もしない、他人と意見交換もすることがない事柄について
自分の価値観と向き合う機会になりました。
映画館にいた人はマナーがいい人ばかりだったのか、全員が集中してご覧になってる
感じがしました。
映画館で観てよかったです♪
全29件中、21~29件目を表示