逆火のレビュー・感想・評価
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経営者としての「使命感」と「チームの本質」
『逆火(Backdraft)』は、炎と命の最前線で働く消防士たちの姿を描いた熱いヒューマンドラマである。1991年に公開されながら、今もなお色褪せないこの作品は、経営者にとって多くの気づきを与えてくれる。特に「使命感」「信頼」「危機管理」というテーマは、日々組織を率いる者として深く刺さるものがある。
物語の中心にあるのは、命懸けで火災と対峙する兄弟。過去に父を火災で亡くし、それでもなお火に向き合う彼らの姿からは、“逃げない覚悟”の重要性を教えられる。これは、経営の現場でも同じだ。困難な局面でも、「誰かがやらねばならない」と立ち向かう責任感が求められる。経営者はまさに、“組織の火消し役”であり、炎の中に飛び込む決断力が試される。
また、火災現場では一瞬の判断ミスが命取りになる。これは、顧客や社員の人生に関わる経営判断にも通じる。どんなに良い理念や仕組みを掲げても、それを「人」がどう運用するかによって成果は天と地ほど違ってくる。映画でも、見た目ではわからない“逆火”の恐ろしさが描かれていたように、組織でも“見えない火種”に目を配る力が不可欠だ。
たとえば、私たちが運営する温活専門店でもそうだ。店舗の空間づくりやお客様へのケアは、一見穏やかで静かなものだが、スタッフの小さな気づきや声かけが、リピートや信頼構築に直結する。地味で目立たない部分にも真剣に取り組む姿勢は、消防士の現場と本質的には同じである。
『逆火』は、熱さと緊張感に満ちた映画だが、その奥にあるのは「人の在り方」への問いかけだ。経営者として、何のために、誰のために挑み続けるのか。信頼と責任を背負う覚悟があるか。この映画を観たあと、自分のリーダーシップを見つめ直さずにはいられなかった。燃えるような情熱と、冷静な判断。両方を持つ経営者でありたいと強く思う。
バランス
あなたのその言動は、大切な人の「逆火の火種」になっているのかもしれません
2025.7.16 アップリンク京都
2025年の日本映画(108分、PG12)
映画監督を目指す助監督が制作と家庭問題に振り回される様子を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は内田英治
物語の舞台は、都内某所(ロケ地は神奈川県横浜市&横須賀市)
映画監督を目指して日々努力をしている助監督の野島浩介(北村有起哉)は、大沢監督(岩崎う大)が手掛けている「ラスト・ラブレター」の制作の大詰めを迎えていた
撮影開始1ヶ月前に差し掛かり、原作のアパートを再現する物件の下見に訪れていた浩介は、撮影カメラマンの斉田(岡谷瞳)、セカンド助監督(辻凪子)、サード助監督の三船(小松遼太)らとともに念入りなチェックを行なっていた
プロデューサーの橘(片岡礼子)は予算の関係からセット撮影が厳しいとこぼしていたが、大沢監督は「映画の大事なところ」と言い、セットを組むことを譲らなかった
浩介には反抗期の娘・光(中心愛)がいて、妻・幸(大山真絵子)に面倒を押し付けている
娘が裏垢であることないことを呟いているのを知ってから、娘との距離感を取れずにいた
ある日のこと、原作小説を執筆した元ヤングケアラーの有紗(円井わん)の父(三島ゆたか)の兄(世志男)に会いに行った浩介は、本人の墓がないことを知る
浩介は原作の気になるところを裏取りして関係者から話を聞いていたのだが、墓を作っていないことに違和感を持っていた
それは、父の保険金2000万を受け取ったにも関わらず、父の墓すら建てていないことが不思議で、浩介はその事実を確かめるために有紗の母(島田桃依)に会いに行くことになった
母親は「娘のために残したお金だから、自分のために使うのを良しとしなかったかも」と言い、墓を建てていない事を否定はしなかった
その後も聞き込みを続けていた浩介は、高校時代の同級生・由奈(松原怜香)と会い、そこで介護時代の有紗の本音と保険金についての話を聞いてしまう
また、当時住んでいたアパートの大家さん(有希九美)からも事故直後の話を聞き、浩介は「小説の中身が嘘ではないか」と思い始め、さらに「事故ではなく、殺人だったのでは?」と疑い始めるのである
映画は、自分のキャリアアップの途上にて難問に遭遇する浩介を描き、同時に娘との関係がさらに悪化していく様子が描かれていく
同級生からホストに貢いでいることを聞き、カフェと称する風俗の面接に来ていた事を知った浩介は、妻に仕事を休ませてまで監視させていく
それがさらに娘の反感を買い、素行不良がエスカレートしていく
援交のためのPR動画の撮影にまで至った事を知った浩介は、娘が居そうな繁華街で捜索を開始し、見つけて動画を突きつける
そして、感情的になった浩介は、娘からスマホを取り上げて踏み潰してしまうのである
映画は、小説の中身は嘘であることを知った浩介が、正義感から公開中止を模索するものの、大沢監督は「訴求すべきテーマはブレない」と言い、プロデューサーは「作者が殺人を行ったと言う証拠がなければ問題ない」と言う
スタッフたちも「生活がかかっている」と言い、憶測だけで中止にすることに反対の立場だったが、やがて浩介の行動は週刊誌のライター(岩男海史)らに勘づかれてしまう
そして、撮影当日、浩介はある行動に出るのだが、映画はそこから1ヶ月後に飛び、彼が告発をしなかった世界線を描いていく
浩介は映画のヒットのおかげで自身の企画を映画化できるようになり、大沢監督も国際映画賞を受賞する
だが、その絶頂の時、娘はある行動を起こしてしまう
この時の彼女の髪色は全てがピンクに染まっていて、当初は一部のカラーリングだったものがが全体に及んでいた
この髪色は娘が入れ込んでいたホストの髪色と同じで、それが奪われたことに依るわかりやすい闇堕ちのスケールとして演出されている
映画のタイトルでもある「逆火」は「本来とは真逆の炎の動き」を意味する言葉だが、これは「良かれと思った行為が正反対の結果を生み出している」と言う意味にも思える
あの時浩介が行ったことは正しかったように思えるが、娘の目線では「夢のために自身の正義感や道徳も捨てた」ように見えるので、それが最後の行動に至っていると言えるのだろう
彼女は「今度はブルーに染めよう」と言って飛び降りるのだが、これは彼女自身も自分の人生を後悔していて、それを止めてくれる愛情がなかったことを暗に示している
繁華街での顛末で母親が「ずっとそばにいる」と絶叫するのだが、その言葉ですら無意味であった事を示していて、娘に最後まで向き合えなかった故の顛末として演出されていたのだと感じた
いずれにせよ、娘が「父親の夢のために犠牲になっている」と言い放つように、娘は父親に対して無関心ではなかった
だが、仕事を理由に娘への接触を避け、さらに自身の倫理観を投げ捨てて夢に固執している様を見ると、映画の成功は娘への無関心を肯定しているようにも思える
彼女があの瞬間を選んだのは偶然ではなく、計画された復讐であり、それにすら気づけなかったのが両親であるとも言える
有紗が両親の影響を受けて今の彼女があるように、娘もまた両親の影響を受けてあの決断に至っている
ヤングケアラーの問題と、ある種の毒親の存在が重なっている部分があり、センセーショナルな関係以外にも「逆火」を生み出す動線は存在している
そう言った意味において、本作はかなり深く、核心をついたシナリオになっていたのではないか、と感じた
監督との会話はお互いとってある種の合せ鏡
面白かったです。
商業的な本の出版や映画製作に関係する本質的な胡散臭さみたいなものを描いています。
主役の北村有起哉さん、疑惑の女役の円井わんさんが良かった。
私の好きな辻凪子さんと片岡礼子さんも、重要な役で出ていて満足。
「逆火」というタイトルは、テーマ性を強く表していて、とても良いと感じました。
主役の行動は、正義感からではないと思う。
創作に深く携わっていこうと決めた人間として、どうしてもそこに迷い込まざるを得ない。監督との会話は、お互いとってある種の合せ鏡だったと思います。
外向きに発した力が何故か身を焼き尽くす、ということは、人生においてままあることだと思っています。
そのジリジリとした矛盾を上手く物語にしている思いました。
どーも、今回も北村有起哉にはハマらなかったかな。
北村有起哉さん、雰囲気のある役者さんですよね。
ドラマの『ムショぼけ』とか見ていました。
(ハマると良い役者さんです)
先日見たYouTubeのホイチョイ的映画生活で六平直政さんが有起哉は良い役者だと言っていたのが頭に残っていて見に行ってみる事に。
映画は彼の主演作だった『終末の探偵』以来の映画館での鑑賞。
(この映画ではハマらなかった)
改めてwikiで見てみると、私が直近に映画館で見た映画にもたくさん出ていた。
『有り、触れた、未来(2023)』、『水は海に向かって流れる(2023)』、『愛にイナズマ(2023)』、『鬼平犯科帳 血闘(2024)』。
だからなのか脇役のイメージが強いけど、主役も張る役者さん。
どーも、今回も北村有起哉にはハマらなかったかな。
ノンフィクション映画の主人公の女性の実話の嘘と、反抗期の娘の行動に悩む役を演じていた。
基本、暗い話だったし、絵面が終始B級っぽく感じてしまっていた。
それと気になったのは、妙に生活感の無い自宅のシーンにずっと違和感を感じた。
わざとそういう食卓にしたのだろうか。。
円井わん、MONDAYSの印象が強くて良い感じと思っていたけど、今回はパッとしなかった。
キャスティングが合っていなかった気がする。
ラストシーンも唐突というか、ベタというのか。。
仕事の成功と、プライベートで家族を守れないという事を対比させたかったのだろうけど。。
何を言いたいのか分からなかった。
却下
名バイプレイヤーのイメージの強い北村有起哉と円井わんがメインということで鑑賞。
有紗が作文をでっちあげた動機は分かる。
出版社の対応も、世間知らずのJKがそれに従うのも、ゴーストライターが金のために引き受けるのも。
学生実業家の自伝小説なんて、所詮(近しい人間でも読んでないくらい)ニッチなジャンルだしね。
でも、メジャー監督で映画化となると話は違う。
ほぼほぼ嘘だと分かった段階で、撮影直前だろうと、いやだからこそ緊急会議にならなきゃおかしい。
事実を知ってる人間は沢山いて、スタッフ内にも広がりつつあり、嗅ぎ回ってる記者までいる。
いつ誰からリークされたり強請られるかも分からないのに、いつまで個人レベルで会話してるんだ。
また、率直に言って娘のくだり要りましたかね。
有紗と重なるでも対比になるでもなく、本筋にも関係なく、それでラストにあれ見せられても…
「有紗だと思った?娘でしたー!」で面白くなるとでも思ってるのか。
そんなのより有紗の言ってた「償い」を見せてくれよ。
浜辺で野島が言う「他人のせいにしてるだけ」は、第三者ならいいけど親が言っちゃあかんやろ。
結局『ラスト•ラブレター』は何事もなく公開され、賞まで取って、野島は監督デビュー?
画作りも退屈で、テーマも取っ散らかり、結局これはなんの話だったんだ。
有紗役も円井わんである必要もなく、むしろJDやJK役はサスガにキツかったのでミスキャスト。
『ラスト•ラブレター』内での有紗役が可愛かったのに、中盤以降出てこなくて残念。
全部本当の必要はあるのか?
たぶんこういう事って少なくないんだろうなと思う。
長年愛されてるNHKの朝ドラだって、創作エピソードやオリジナルキャラもいるわけだし。
子供の時に読んだ伝記と、大人になってから観る伝記映画では違うし、出版社もテレビ局でも売れりゃ正義の世界で、多くの人が食い物にされてきたんだろうと思う。
ファンも一瞬でアンチになる現代社会においては、プロデューサーの言う「彼女の真実をさらす権利があるのか」というのも頷ける。
自伝的小説なら問題なかったのか?
実際に話してみると、有紗は悪い人でもないし、生きるため、高校に行くための創作というのは間違っているとは言い難い。ヤングケアラーだったのは事実だし。
クライクイン直前だってのに、知れば知るほど野島さんの葛藤は大きくなる。
野島さんが抜ければ丸く治るんじゃないの?という考えもうっすらよぎる。
事の顛末をはっきりさせないのも、意地が悪くて嫌いじゃない。
終わり方は、うーん。
娘の件は中途半端というか、家庭がぶっ壊れすぎてて、この尺では修復不可能。結果、蓋をしただけの印象なので、有紗問題に絞った方が良かったんじゃないかなぁ。
もっと有紗について知りたかった
ラストは好みじゃないです。
あのラストなら、もっと最初から娘のキャラクターやバックボーンを教えて欲しかったし、
もっと彼女を中心的に描いて欲しかったかな。
そうじゃないなら、もっともっと有紗に焦点をあてて描いて欲しかったです。
「この女は、悲劇のヒロインか、それとも犯罪者なのかー?」
というキャッチ―コピーに惹かれて足を運んだ部分もありますし、
円井さん演じる有紗は、とても興味深いキャラクターで、
もっと彼女について知りたかったです。
それに野島の裏垢は、ただ裏垢やっているという事実だけ?
「家族なんて持つんじゃなかった」って結構ヘビーなこと呟いていなかった?
結構、印象に残ったんだけど、そこは、そんなに重要じゃなかったのかな?
これに関しては、野島の人間性を表す小道具としてだけだったのかな。
にしても、北村さんと円井さんは、人間味のある野島と有紗を演じられていて、とても気になる人物像になっていました。
とにかく、二人のシーンはどれも良かったなぁ…。
海辺で、野島が有紗に娘のことを吐露するシーンは泣けました。
そして、円井わんさん、いいですね~。
この方の声?声の出し方??が、自分の耳にとても心地良いことに気づきました。
お金が足りない!
フィクション
撮影準備が進みクランクインが迫る映画の原作の美談が、取材を進める中で嘘だとわかり葛藤する助監督の話。
貧しくヤングケアラーだった中学生が、学生実業家になった自伝の映画化ということで、事実を忠実にリアルに描きたいという監督のもと、事実を深掘りする為助監督が取材を進めて巻き起こっていく。
少しずつ見えてくるモデル女性の本当の顔と、本に書かれていたことと現実のズレのモヤモヤが堪らないし、そこに追い打ちをかけるアホ娘。
後半はアホ娘がメインな感じになって来て、モヤモヤが積み重なっていくのは良かったけれど、ラストはそこまで大層な題材の劇中劇の設定じゃなくね?とか、リークの件はどうなった?という感じだし、オーラスは話しが飛び過ぎて良くわからなかった。
円井わん、いいねぇ
報道者としての正義感をそのまま映画制作に持ち込む野島が、多大な犠牲を払って有紗から聞き出した真相は、撮ろうとしていた映画のテーマとは別の、より深い闇の中にあった、というストーリー。
自分は家族の為に頑張っていると何度も言い立てるものの、その家族からのフィードバックを受け付ける気のない野島は、その一方通行が、有紗の父親の暴力同様に娘を追い詰めていることに最後まで気づかない。有紗は、周囲の様々な思惑絡みとは言え、書く事に活路を見出したが、光は…あれはひょっとして有紗の「償い」の代わりか?
北村有起哉は元通信社員の狂気じみた視野狭窄ぶりを熱演。円井わんは虚勢と罪悪感が同居した、根はいい人を好演。
まさに逆火
苦悩の先には…
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