「抜けている部分の想像」逆火 よしさんの映画レビュー(感想・評価)
抜けている部分の想像
結末はどこへ行くのかというストーリー展開で、その行先の選択肢も色々あった中、オチはそれかという感じでした。
“映画とは芸術か?ビジネスか?”を題材とするケースは色々あると思います。
今作では原作となった小説に疑惑が出てからの展開ですが、そもそも撮影開始間際の段階で取材を続けて疑惑が炙り出されるということはあるのかな?と思いましたし、数年も前の小説に今さら疑問が出ても「小説を原作として基づいて映画化した」で問題はないのでは?と思いましたが、どうなのでしょうか。
抜けている部分は想像に任せるというところですが。
・野島は結局この映画の助監督は降りた、と察します。
・野島はリークしたのかしなかったのか、それは世間に伝えられたのか?
→映画は完成されて賞を取ったくらいなので何事もなかったと思えます。
・野島の娘はその後どういう生活だったのか?
→(高校生を続けているということだったが)病んでいたか引きこもりだったかと想像します。
映画賞を取ったニュースが流れるテレビは野島家のリビング?
ずっと家具や置物がなくて白けていたのは意味があると思いながら観ていましたが、時を経て豪華に変貌していたのも意味を持っているのでしょうか。
色々あった挙句にそれぞれが笑顔を迎えられた中、唯一不幸だったのが野島の娘というのが結末。
その後そこから野島はどうなるのかは想像を絶します。
ARISAのその後がどうなったのかも想像の世界。どうなったでしょうか。
この作品のメッセンジャーの一人は娘だと思いますが、この親にしてもあそこまで屈折するというのはないだろうというのも思いました。
ただ親のせいだけでなく、周囲の大人や環境は若者が自分勝手に壊れて落ちていく仕組みを作っているという、今の世の中の描写があるように思いました。
それはこの作品のテーマである“巻き込まれないで生きること”にも合致しているのかと思います。
こうやって色々振り返る衝撃度がある作品でした。
評価も分かれる作品でしょうが、間を取って3.5としました。