劇場公開日 2025年7月4日

夏の砂の上のレビュー・感想・評価

全168件中、41~60件目を表示

3.5夏の長崎の空気の中で切なく心に沁みるも、もう一歩

2025年7月14日
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鑑賞方法:映画館

幼い我が子を失い、勤めていた造船所が倒産、仕事に就かず、妻とは別居という喪失感の中で彷徨っている主人公の治。

突然、身勝手な妹が連れてきた17歳の姪優子を預かることになり、治の姪っ子との同居生活が始まる。

それぞれが自身の痛みと向き合いながら、僅かな希望を見出していく姿を描いていく。切なさだけでなく愛おしさを感じさせる造りの脚本で、演じる役者たちもそれをうまく伝えてくれる。

キャスティングよくそれぞれの役者の演技は見応え十分。特にオダギリジョーは心の機微が伝わる演技、優子を演じた髙石あかりも不思議な少女をうまく演じていた。

その他、時折物を取りにやって来る別居中の妻恵子を演じた松たか子も好演。かつて働いた造船所の同僚を演じる光石研、森山直太朗らもしっかり脇を固めていた。

原作は戯曲のため、舞台ではおそらく室内中心にドラマが展開したと思われるが、この映画はオール長崎ロケ。それを生かして当地ならではの石段が続く道を歩くシーンが幾度となく出て来て、夏の暑い日に登るしんどさが伝わってくる。

高台から海を望む景色などからも、長崎の空気をとことん感じさせてくれる映像。そして雨が降らず断水になったり、うだるような暑さの中、水を飲むシーンや扇風機を回すシーンが何度か出てきて、更に観るものにその暑さを感じさせる上手い演出。

それぞれが話す長崎弁の台詞が心地よく響き、室内の雑然とした雰囲気やカメラワークも手伝って、地味ながらも心に染み込む味わいのある映画となっている。

一方で、もやもやが残る要素も幾つかあり、もう一歩掘り下げて深く心に迫るもの、深い余韻に繋がる何かを描けていれば更によかったという気はする。

すこぶる評価の高い「国宝」と比べると、二桁違う低予算の作品。インディペンデント映画ゆえ上映館も限られ、広く観られる映画ではないが、これはこれで映画を観る楽しみでもある。

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Toru

3.0似たもの同士

2025年7月14日
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叔父の治と、姪の優子。人や世間との付き合い方、折り合いのつけ方、いろんな普通をするにはちょっと無理をしないといけない二人。すごく仲良しとかではないけど、なんだか似ていて、一緒にいることでなぜだか安らぐ。
二人の関係の構築には台詞も少なく直接描写もされなかったけれど、そんな感じだったのかなぁと。

ラスト、あれで良かったのかなぁ。あのまま二人で、どこかへ行ってしまえば、少なくともしばらくは穏やかだったのかも。
治は結局全てを失ってしまったけれど、優子の存在や二人で過ごした日々が、治にとって安らぎになればいいなと思います。

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まだまだぼのぼの

3.5それでも生きて行くって事かぁ、。

2025年7月14日
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鑑賞方法:映画館

オダギリ・ジョーのやさぐれ感たっぷりの佇まいはいつものことだが、今回彼にのしかかった不幸はちと多すぎ。息子を水の事故で亡くし、妻の松たか子は不倫をして別居となり、造船所が閉鎖され失業、。そんなところに自分勝手な妹の満島ひかりが登場し17歳の娘を押し付けて(絶対に失敗するだろうと思う)胡散臭い話にのせられ博多へ行ってしまう。その17歳の娘の高石あかりは何考えてんだかわかんない感じで、。その後も同僚だった光石研がタクシー運転手に転職するも事故で急死し、その葬儀で妻を寝取った森山直太朗の妻の篠原ゆき子に激しく詰られる。やっと就職したちゃんぽん屋では慣れない厨房作業で大怪我(絶対に指が危ないなぁと思ってたら、。)をしてしまう。そして妻とは離婚。高石あかりは満島ひかりとカナダへ(絶対に今度も失敗するだろう)。断水が続く暑い夏の長崎に突然降ってきた大雨にオダギリ・ジョーと高石あかりが歓喜するシーンに少しホッとしたが、。
いつものようにだらだら続く坂を登り、たばこ屋へ寄ってから誰も居ない家に帰る。希望があるようには見えない。それでも生きていくって事は分かるが、。出ている俳優は大好きな人ばかりだし皆、持ち味を出していたが、。映画自体は好きにはなれないかなぁ、。ちょっと残念。

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アベちゃん

4.0奇跡の共演による画力は、尊かった。

2025年7月14日
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鑑賞方法:映画館

オダギリジョー、松たか子、満島ひかり。
この3人が同じ画面に映ってる場面だけで、
ご飯3杯は行けるくらいの画力に震えました。

他の方も仰るように、
たしかにこの映画は他の俳優では成り立たないような、微かな感情の起伏を、まさに砂の上に僅かに表現して行くような映画だったかも知れません。
しかしそれは、この俳優陣が積み上げて来た経験でしか成し得ない、途方も無い高度な技術があってこそなんだろうな、と思いました。
高井あかり、光石研、森山直太朗etc.の存在感も素晴らしく、なんだかずっと観ていられる映画でした。

そしてもはやオダギリジョーのオハコとも言える、
少しダラシなくどこか頼りない父親像も、
目を細めてタバコをくぐらせるだけで、
それは「オダギリジョー」という俳優を凝縮して抽出した全てとなり、ただただ溢れ出る色気、カッコ良さの極地でした。

TVや映画のお決まりに馴れてしまうと何か物足りない、起伏が無いように感じるストーリーも、実際の現実ではやはりこのようなカタルシスを抱えながら生きて行く、進んで行く事がほとんどなのかも知れません。私はそれも含めて、そうだよな、そういうもんだよな、と少し諦めにも近いような感情で共感する事ができました。

乱文、失礼致しました。
もしかすると万人受けする映画では無いかも知れませんが、私はこの映画に漂う雰囲気や世界が、大好きでした。

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MOON

3.5ハッピーエンドは通過点

2025年7月14日
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泣ける

悲しい

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アントニオ3世

0.5雰囲気映画?

2025年7月14日
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物語に何もなく、姪の心情がよく分からなく進み???の連続。
何が描きたかったのか、主人公と姪の話が薄くお互いに何考えているのか分からない。

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るい

5.0役者がいい

2025年7月14日
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鑑賞方法:映画館

最初の松たか子の方言の下手さにこれはダメかと思ったが、それ以降は文句なしに役者がいい。特に高石あかりのスキのある不安定な感じに目が離せなかった。何気に森山直太朗もよく、まあよくこんな演技引き出したなと思った。

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khapphom

4.5水と坂と猫と煙草と残心

2025年7月13日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

ドキドキ

「国宝」「フロントライン」「ドールハウス」『でっちあげ」と邦画の傑作が、集中してしまって埋もれてしまうのが心配です
この作品当たりでした
監督が作者が何を語りたいなんて、どうでもいいんです
この作品の世界観に浸れたらそれで幸せです
オダギリジョー、高石あかり、初見ですが素晴らしかったです
優子(高石あかり)の視線がものを語ります
治(オダギリジョー)の誠実さが心痛いです
松たか子と満島ひかりは、この配役じゃなくてもいいんじゃないかと思いました
もったいないです
最後まで緊張感をもって鑑賞できました
よかったです

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rokuro

4.0「砂の上にも立つ二人の強固な結びつき」

2025年7月13日
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泣ける

悲しい

癒される

まったくの予備知識なしで監督が「そばかす」の玉田真也監督、キャストを見れば、オダギリジョー、高石あかり、松たか子、満島ひかり、に誘われるように映画館へ見に行った。

お客さんも8割くらい入っていて、私みたいな中高年、若いカップル、年齢層も幅広い人たちを集めていました。

私の感想文を読んでください。
【映画感想文】
 80年前、世にも恐ろしい爆弾によって火と血にまみれた街に強い雨が容赦なく降り注ぎ川は激流となっていた。

 小浦治は、幼い子供を亡くし、仕事を失い、妻に浮気され家から出て行かれた、まさに三重苦に陥っていた。そこに妹が、娘優子をしばらく預かってほしいと言われやむなく姪の優子と同居することになった。

 仕事を探していないと元同僚に叱責され小浦は激怒する。小浦は無力であるとともに頑張る意志も力もすでに枯渇していた。吸い上げようとしてもカラカラに干上がった井戸のように。

 預けられた優子は学校にも行かずバイトをしている。ただ優子も無気力で何もない。目標、やりたいこともなく、そもそも生きる意味も持てないでいる。

 優子の親代わりとなった小浦と優子の共同生活は、なにかまったりとした余裕がある。優子に嫌いなことは無視しろという小浦の言葉は、軽いのではなく自分の思い通りに生きよというあたたかみにあふれているのだ。どっちにしても行き詰っている二人は変わらない。

 連日暑い日が続き、断水状態になっているとき、突然強い雨が降ってきた。優子は待ち焦がれていた雨に歓喜し鍋を持って外に出てずぶ濡れになりながら雨を集める。小浦もそれを見て濡れながら喜んでいる。

 この雨は80年前の火の海を消し、小浦と優子の行き詰ったやるせなさすべてを洗い流し、枯渇した心に水がたまったように、まさに恵みの雨であった。

 小浦は妻と正式に離婚した。小浦はふと妻に漏らす。何年も連れ添ってきたのに何も憶えていないと、まるで砂上の楼閣であった。

 優子は小浦の家を出る決心をする。新しい生活に挑むのだ。小浦と優子は別れる。何年も連れ添おうが妻を忘れ、短い時間だが優子とは心が通い合った別れであった。言葉や態度ではない。それほど二人は傷つき生きる意味を見失っていたことを強固な結びつきで理解していた。

 暗く一見救いのない映画のように見えるが、すべてを失っても砂の上にすら残るつながりがあれば、それが心の芯として生きていける、わずかな希望にみちた映画であった。

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かな

4.0ひと夏の成長物語としてよかった

2025年7月13日
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少年少女のひと夏の成長を描いた映画。ジャンル名こそない(聞いたことがない)が頻繁に見かける。若干年が上の世代だが、実は本作もそんなひと夏の成長を描いた映画だった。
オダギリジョー演じる治と、髙石あかり演じる優子。この2人を軸に物語が展開していくが、どちらがメインなんだろうと思う。やはり治なのかな。息子の死、失業、別居と三重の苦しみを味わっている姿がつらそうでやたらと切ない。
でもスクリーンに映る優子が気になってしまう。挨拶はできるし無愛想でもないのに生気がないように見える表情。誰も自分になんて興味ないんでしょという態度。それが、治やバイト先の先輩立山と交流するうちに変わっていく流れだ。特に治の妻への態度は、優子の育った環境に対する嫌悪感みたいなものを感じさせて印象に残る。そして雨のシーン。治と優子の心がつながりあう、とてもいいシーンだった。出演している俳優はすごい人ばかりだったが、あの存在感をだせるのだからやはり髙石あかりはすごい。
優子が立山に書いた手紙とか優子の過去とか、説明不足な部分はある。優子も自分の将来を選択できない年代なんだよなという切なさも感じる。でも、最後の治の表情にちゃんと救いがあった。いい終わりだ。

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kenshuchu

3.5本当におったとや?子供が、おい達に。

2025年7月13日
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とても喪失感に支配されてて、心がぎゅうと潰されたままの二時間だった。それぞれの過去や感情の訳が、ゆっくりじっくり明かされていき、そのどこに自分の身を委ねようとしても居心地が悪く、辛くて悲しくてやり切れない。おまけに、夏の長崎ってどうよ。福岡からやってきた姪の優子が無神経に「ピカッーって光って、全部なくなってしまったんでしょ?この街」という。そんな無感情な余所者にはわかりきれない、夏の長崎の悲劇がある。それを長崎の人たちは言外に心に抱えている。そんな時代背景の上に、この家族の物語があると思うとさらにやるせなくなってしまっていた。小浦と優子。子を亡くし妻を失った男と、親に見捨てられた子、共鳴し合う二人。それがわずかな救いだった。
鑑賞後の満足度は悪くなかったけれど、どこか既視感のあるストーリーなのが惜しいか。それでもいいというのならいいのだけれど。土地が違えども佐藤泰志の世界観と酷似(そういえば彼の原作の映画にオダギリジョーは出演してたな)していたし、姪を預かる設定は、ホアキン・フェニックスの『カモン・カモン』(こちらは甥)の二番煎じとしか思えなかったのが残念。

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栗太郎

4.0暑さが伝わってくる

2025年7月12日
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くろくるりん

3.5希望に向かっていくストーリーに救われる見応えのあるドラマに満足です

2025年7月12日
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蝉が鳴く火傷しそうなほどの真夏の日差し、蜃気楼の様にゆらゆらする風景、うだるような暑さの中で汗をかきながら上る長崎の坂の町・・・が何とも居心地の悪さを突きつけてくるけど、希望に向かっていくストーリーに救われる見応えのあるドラマに満足です

子供、職、妻をなくし失意のドン底でなんとかギリギリの精神状態で生きている主人公 治を演じるオダギリジョーさんの演技が素晴らしい
中盤、絶望から完全にキレる演技は圧巻、それを必至で抑えようとする姪の優子を演じる髙石あかりさんの演技も素晴らしかったです
そして2人が全てを洗い流す様に叩きつけるどしゃ降りの雨の中でふざけ合うくだりは何だか観ているこっちも心洗われる気分で、いいシーンだなと思いました

優子の役が人とのコミュニケーションが苦手だったり過集中があったりする設定なんだろうけど、治とは初めから普通に話したり、時折 同僚との飲み会で毒はいたり、出会ったばかりのバイト先の先輩で高橋文哉さん演じる立山の誘いに簡単にのってしまい結局しないけど、セックスしようとしたりとちょっと謎な人物ではあるけど、それだけ精神が不安定ってことなんでしょうか、若干 不可思議でした

優子の母親を演じる満島ひかりさんのダメ女っぷりがメチャクチャ合ってた(笑)し、松たか子さんの終始 機嫌が悪そうで疲れ切った仏頂面もなかなかの凄味があったし、光石研さんは相変わらず人の良さそうなオジサンを演じているし、と実力派俳優たちが脇を固め、とても見応えのある良い作品にまた出会えました

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Jett

2.5叔父と少女。ふたりで暮らして得たもの。

2025年7月12日
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我が子を亡くしてしまうことは想像を絶するほどの哀しみと喪失感がある。子どもが居る幸せを一度知ってしまうと、二人だった頃の幸せでは物足りない。出来てしまった余白に何を入れたらいいのか分からない。そして…入れるものは何もなかった。二人は、二人で、見つけられなかった。最初から子どもが居なかったら、生涯を共にできたのだろうか…

愛を知らない少女は、愛の受け取り方が分からない。求められたらただ応えるだけで、そこにはなんの感情もない。彼の家にお呼ばれされたものの、ふつうの家庭を知らないから馴染めない。逃げて帰ってきてしまうのも無理はない。居心地が悪かったのだろう、家族愛なんてものがよく分からないから。場違いだと思って、惨めな気持ちにもなっていたかもしれない。

少女は愛を失った叔父の憂いを感じながら、少しの日々を生きた。愛を追い求める母親との暮らしとはまた別の家族のかたち。叔父をかばい、叔父をなだめ、叔父と笑う。そのどれもが愛ということを、彼女はまだ知らないままだろうか。雨の日のできごとが叔父との思い出として心の片隅にいつまでも残りますように。ぬくもりが消えませんように。と願う。

愛を追い求めて夜に生きる女の「今度は大丈夫」という言葉ほど信じられないものはない。叔父と少女との二人暮らしが、また何年後かに始まるかもしれない。

愛は失ったが、愛とは何かを知っている叔父。少女からの愛に触れ、安堵し、晴々としたようにも見える表情が印象的だった。

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羊

3.0それぞれの

2025年7月12日
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愛に不器用でもがいてる。最後は治と優子が少し寄り添えた感じの挨拶でしたね。

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ごっとん

3.0暑い

2025年7月12日
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台詞で語られると苦しい
子どもを失い、妻も仕事も失う
姪と同居することになるが、愛を失った同士なのか
あんたがいけないと責められても辛いが、過ぎ去ったことは忘れようとしても詮方ない
姪に心遣られ、子どもを奪った大雨に打たれて何か変わったのか
体の一部を失っても平然にふるまう
相変わらず暑い日が続くとしても

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すぅ

4.5渇くことの厳しさと潤うことの大切さ

2025年7月12日
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不思議な作品です。
生きることに疲れた男と、その家に預けられた姪の話。
二人とも、とことん不器用で生きるのが下手なんだが、絶望まではしていない。お互いに接点を持たないように生きていながら、共に暮らしていることで絆が生まれていきます。

渇水の長崎を舞台に二人の先の見えない生活が続きます。渇いた街の渇いた生活。
二人が少し前向きになったとき、ついに長崎に雨が降り、二人の微かな絆が確かなものになります。

男はいくつかのものを失い、姪は新たな街に旅立ち、二人の短い共同生活は終わりますが、それは二人のこれからをしっかり支えるものとなっていくでしょう。

何かが明確に起こるわけではなく、わかりやすい説明もない。それでいて見たことで心にしっかりと残る作品でした。

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よして

5.0砂の上に成り立っている人生

2025年7月11日
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悲しい

幸せ

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ゆきとう

4.0ミニマリズム文学? よくできた短篇小説のような潔さが光る佳作 でも時代感覚にはズレ

2025年7月11日
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映画を観ている最中に私が30年ほど前に読み漁っていたレイモンド•カーヴァーの短篇小説群のことを思い出しました。その頃の私はこの映画の主人公 小浦治(演: オダギリ•ジョー)ほど酷くはないにしろ、公私ともドツボはまりの状態にありまして、当時の気分にぴったりだったカーヴァーの短篇を次から次へと読んでいたという次第です。

レイモンド•カーヴァーは1970-80年代に活躍したアメリカの短篇作家で1988年に50歳の若さで亡くなっています。日本には村上春樹が翻訳して紹介されました。アメリカの「立派ではない」人々の人生の断片を切り取って淡々と描写した短篇を得意としていました。彼の短篇にはこの映画の主人公の小浦治のようなドツボにハマってる人物もたびたび登場します。彼はミニマリズム文学の代表的な作家とされています。簡潔で直接的な表現で登場人物の日常生活や内面を淡々と描写しました。

この映画は戯曲が原作ということもあり、なんだかミニマリズムっぽい感じです。ちょっと閉塞感のある地方都市•長崎での、主人公とその周辺にいる人たちのある夏の日々が現在形で淡々と描かれてゆきます。

主人公の治はかなり酷いドツボはまりの状態にあります。息子を亡くし、職を失うというダブルパンチのあとに、妻の恵子(演: 松たか子)に逃げられて塞ぎ込んでいたら、妹の阿佐子(演: 満島ひかり)がやってきて彼女の娘の優子(演: 髙石あかり)をしばらく預かってくれないかと押し付けられる始末です。阿佐子と優子の年齢差からいって、阿佐子はいわゆる「ヤンママ」(「ヤン」は「ヤング」のヤンとも「ヤンキー」のヤンとも言われておりました。昭和末期の頃の流行語)のなれの果てといった感じで、男癖があまりよくない雰囲気も漂っております。私はここで治にとっては姪にあたる少女の名前「優子」に軽い違和感を覚えました。ヤンママの娘の名前が優子ってけっこう古風だな、と。あ、そうか、’80年代の始め頃にヤンママが生んだ娘なら優子って名前はありだよな、ということで、’90年代後半頃のお話かな……

実はこの映画の原作は1998年初演の戯曲です。ということで、90年代後半頃を舞台にしているらしいことは納得できます。登場人物の女性たちの名前が「…子」ばかりであることも、バブル経済崩壊後で造船業が不況に陥ったことも。ところが、映画のほうではスマートフォンが出てきたりして現在の長崎を舞台にしている模様です。なんだか30年前の物語をムリやり現在に移植した感があってそこだけが少し残念でした。

でも、私はこの映画の表現スタイルはけっこう好きです。今そこにある現在だけが頭から順に淡々と現在形で描写されてゆきます。説明的な回想シーンとか入りませんし、時間軸を弄ったりもしません。時折り優子の視点が入りますが、基本的に治の視点で余計な説明抜きで簡潔に直接的に表現されてゆきます。

あるドツボはまりの状況下にいる中年男のもとに、運命に弄ばれ漂流している感のある彼の姪がやってきて少しの間だけ時間を共有するーー両者にとってたぶん忘れることはないであろう、長崎でのあの夏の日々…… 人生の断片をスパッと切り取って余計な装飾を施さず、簡潔に描くーーそこによくできた短篇小説のような潔さを感じました。

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Freddie3v

3.0長崎の街並みが美しい

2025年7月11日
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雨が降らず乾き切った長崎の街を舞台にそれぞれの男女の人間模様を描いたヒューマンドラマ。主演と共同プロデューサーを兼ねたオダギリジョーと絶賛売り出し中の高石あかりの共演が見どころで雨のシーンが非常に印象的でした。長崎の街並みを映した景色も非常に美しく見栄えのする映像です。

2025-104

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隣組