劇場公開日 2025年6月20日

ルノワールのレビュー・感想・評価

全190件中、1~20件目を表示

3.5淡々とした日常の光と影を一枚の絵画のように切り取った作品

2025年6月22日
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鑑賞方法:映画館

本作品は、前作「PLAN 75」で第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で高い評価を得た早川千絵監督の長編監督第2作目になります。また本作品も2025年第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されおり注目度が高い作品です。

1980年代後半の夏を舞台に、闘病中の父(リリー・フランキー)と、仕事に追われる母(石田ひかり)と暮らす11歳の少女フキ(鈴木唯)が、大人の世界を覗きながら、人々の心の痛みに触れていく中で、少しずつ大人になっていくひと夏の成長物語。

さて、
観終わった感想は🤫

起承転結のない物語、ごくありふれた誰かの日常をまるで絵日記のように、ごく淡々と静かにみせてもらったという印象です。11歳の少女フキ役の唯ちゃん、なかなかユニークな女の子でしたね。あの頃の子どもはみんなユリ・ゲラーとMr.マリックに夢中でしたからね😎自分の少女時代を見ているかのようなノスタルジーを覚えました。少しばかり無愛想、無感情にみえたのは、監督の演出だったのかしらね🤫しかしこれだけの注目作品に、あの年齢で堂々と主演を演じ切った度胸に拍手👏今後も期待したいですね。

この映画に何か特別なことは何ひとつない。それがいいと思うか、それが物足りないと感じるかで評価も分かれそうではあります🙄
身近な人の死も、大切な人との別れも、思春期ならではの少し危険な好奇心も、程度の違いはあるにせよ子どもから大人になる過程でみんなが体験する少し痛みをともなった記憶です。とくにこの年ごろの子どもにとって身近な人の死は、大きな心理的影響を与えます。人の命は永遠ではないこと、大切な人がある日突然いなくなってしまうこともあること。それを取り巻く大人たちの対応は、時に滑稽で痛ましく、あらゆる感情と対峙しなければならないことを知ります。

それが
「大人になる」ということならば

少女にとって、このひと夏は
少しだけ大人になることを
急かされた夏
ということでしょう🤫

タイトル「ルノワール」
解釈が間違ってなければ、フランスの印象派の画家ですね。
私はおしゃれなタイトルだなと思いましたよ🧐

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ななやお

4.5幅広い世代に共感と、中高年にはノスタルジーも

2025年6月23日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

カワイイ

本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書いてみたい。

評で紹介したように、早川千絵監督は「ルノワール」を作るうえで影響を受けた映画として、ビクトル・エリセ監督作「ミツバチのささやき」、相米慎二監督作「お引越し」、エドワード・ヤン監督作「ヤンヤン 夏の想い出」の3本を挙げた。プロットを引用したり演出を参考にしたりした、いわゆる元ネタを明かすのは作り手としての誠実さが表れているように思う。

と同時に、2014年の短編「ナイアガラ」がカンヌのシネフォンダシオン部門(次世代の国際的な映画制作者を支援する目的で、各国の映画学校から出品された短編・中編を毎年15~20本選出)に入選、長編初監督作「PLAN 75」がカンヌ「ある視点」部門でカメラドール(新人監督賞)の次点と、すでにカンヌからの覚えめでたい早川監督が国際映画祭の“傾向と対策”をしっかり実践していることを示唆してもいる。「ヤンヤン~」はカンヌで監督賞、「お引越し」もカンヌの「ある視点」部門招待、「ミツバチのささやき」はシカゴやサン・セバスティアンなど複数の国際映画祭で入賞。つまり、「幼い子供が大人の世界を垣間見て、少し成長する」筋の映画は、世界の映画人から愛され、評価されやすい傾向があると言える。そうした過去作の引用を散りばめることは、それら名作のシーンを思い出す点でノスタルジーを補強する効果も見込める。

もちろん1980年代を知る日本の観客なら、当時の出来事や流行を単純に懐かしく感じると同時に、その後に起こるバブル崩壊、オウム真理教が起こした一連の事件、1995年の阪神淡路大震災などを連想して、複雑な思いを募らせるかもしれない。ただしそうした時代背景を知らずとも、誰しも通ってきた幼い頃を思い出させてくれる普遍的な情感に満ちており、共感を呼ぶポイントがいくつもあるはず。

評の最後では鈴木唯について、「願わくばその野生馬のようにしなやかな個性と魅力を保ちつつ、女優として大成することを心から期待する」と書いた。早川監督にもぜひ、鈴木唯の成長の折にふれ、たとえば5年後とか、10年後とかにまたタッグを組んでほしい。フキのその後を描く続編の企画なら最高と個人的には夢想するが、まったく別のキャラクターで作るとしてもそれはそれで可能性が広がって面白い映画が期待できそうだ。

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高森 郁哉

映画でなくては表せない生の凹凸

2025年8月10日
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鑑賞方法:映画館

【ルノワール】

 初めての長編監督作『PLAN 75』でカンヌ映画祭のカメラドール(新人監督賞)をいきなり受賞した早川千絵監督の第2作です。

 11歳の少女フキが覗き見る大人の世界を小さなエピソードを織り重ねながら描いた物語。一緒に観た我が家の妻も僕も観終えてから

 「相米慎二監督の『お引越し』(1993)の世界だね」

と、全く同じ思いを抱きました。恐らくその影響は受けているのでしょうが決して物真似ではなく、紛れもない2025年の映画でした。『PLAN 75』の様な強いストーリーがある訳ではないのですが、フキの目に映る社会、そして自分自身の危うさが繊細ながらも明瞭な凹凸感で展開します。一つ一つは小さなお話なのかも知れませんが、言葉にしない眼差しや表情・間が、僕自身にもあったかも知れない、そして今も抱えているであろう「生の苦み」の様な物を緩やかに浮かび上がらせます。ストーリーを言葉で説明しただけでは何も伝わらない、これこそ映画の世界です。

 何より、フキ役の鈴木唯ちゃんが素晴らしい。子供だけれど何もかもを見透かした様な眼差し。不満だけれど不安な表情。よくぞこんな子供を見つけて来たものだと驚きました。

 物語の組み立ても巧みです。冒頭でいきなり「なんじゃこれ?」と思わせて観る者を一気にお話の中に引きずり込みます。そして、物語と直接関係のないライディーン(YMO)のダンスを観る者の脳裏に強烈に刻み込むのです。これも監督の周到な計算なんだろうな。僕は大好きです。

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La Strada

2.5明らかな目的が

2025年8月9日
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鑑賞方法:映画館

怖い

カワイイ

在って作られた作品だと思う。はっきり言えばヨーロッパでの賞狙い。
最後、再生的な終わり方に見せてるが、作り手の悪意みたいなモノは隠せない。
こういった意図を鈴木唯さん一人に背負わせるのは酷にも思える。石田ひかりさんのウザ加減も良かったけれど。

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トミー

3.0昭和末期の家庭を覗き見するような怖さ

2025年8月6日
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KaMi

2.0無題

2025年8月4日
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単純

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chaire_o

考えるな、感じろ的昭和原風景

2025年8月2日
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鑑賞方法:映画館

これ以外の表現ができない。

多分、瞬間瞬間が一枚の絵であり、
物語を追いかけてはいけない作品だった。

映画のタイトルも、キャッチの絵も。

何処かしら身が入りそうな要素の片鱗をちらっと
見せたかと思うとすぐさまそっぽを向かれ置いてかれる。

深さを求めてはいけない。
説明を求めてはいけない。
いろいろと察しなければいけない。

PVや出演者から、予想すらしてはいけない、
フランス風映画だった…

最近見た、鬼滅とは真逆に引き算がエグいのに
結局この時間が「長い」と感じる点では共通していた。

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ハラマスコイ

2.5フキちゃんが変な子過ぎて苦手

2025年8月1日
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怖い

子供目線云々?いや、変な子過ぎ。。。ソックスとか。写真とか。。。

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あくび

4.5「カンヌノミネート」

2025年7月30日
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知的

今年231本目。

第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネート。受賞は逃したがお客さんの評価がよかったので見たかった作品。5月に「アノーラ」も恵比寿ガーデンシネマまで自転車で行きましたが今作も行って良かった。後半が特に面白い。フキが街並みを歩くだけで景色が輝いて見える。前半に原爆広島を学校の授業で見る描写も。丁度映画館の向かいが東京都写真美術館で1945広島の展示を見て、人生がリンクする事あるんだなあと感慨深かったです。

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ヨッシー

2.0タイトルなし(ネタバレ)

2025年7月26日
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Mr. Planty

3.5哀しみを背負いながら生きていく

2025年7月25日
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知的

酷暑の中の平日休み、観そびれてたルノワールを鑑賞してきた。
難解でシュールな作品なのかと想像していたが、予想とは違っていた。

人は哀しみを背負い、感情と折り合いをつけて生きていく。
作家性の強い、抽象的な作品なのかと想像して鑑賞したが、人間が生きていく日常と、必ず訪れる死を誇張する事なく描いた作品であった。
もうその時が訪れるであろうとする、闘病中の父への子供からの視点。
父を失う恐怖心や哀しみではなく、不思議な感覚。
ありのまま出来事を受け入れ、時間は経っていく。
ダイヤルQ2で出会った男。
仕事をしながらも旦那の闘病を支える妻。
思い通りにいかずの八つ当たりや、感情の逃げ道のような恋心。

癌になりながらも仕事復帰を目指し、怪しい団体に投資して希望を託すものの願いは叶わず、最後の親子の時間に過ごす競馬場。
その競馬場の切なさ。
人は哀しみを背負いながら生きていく。
そして教科書通りには生きてはいけない。
寄り道はきっとある。
切ない寄り道かもしれない。
それは人間だから。
だけど人の死は必ず訪れるもの。
人生は一度きり。
そんな哀しみも背負いながらも、人生を楽しく充実させるべき。
他者の死から自らの生を感じる作品であった。

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makoto

3.5そこはかとないユーモア

2025年7月21日
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北枕寝二

3.5出鱈目

2025年7月21日
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楽しい

知的

斬新

と言う言葉は神に決断を委ね

サイをを振ってモノゴトを決めていたことに

由来する言葉らしい

まさに、本作でフキが過ごす日常を

絵描き出すストーリーは出鱈目で

しっかりとストーリーを追って理解しようとすると

理解濃度は崩壊し悩むことになるから、要注意だw

ちなみに、フキの住む、郊外設定が

岐阜と言うのは、監督の悪戯心からだろうか?

まさに神・仏と近い場所である◎

BGMならぬ、流しっぱなし歓迎の映画に遭遇した🎬

良き映画だった(^^)

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tomokuni0714

4.5少女の不穏な視点でみた不穏な世界

2025年7月17日
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怖い

知的

驚く

勝手ながら、85点でキネ旬ベスト入り確実と個人的には思っています。もちろん、ストーリーも分かりにくく、キャストもやや地味だけど、終始不穏なものを感じさせてくれます。向田邦子のドラマを徹底的に11歳の少女の視点で描いた様な。少なくとも、PLAN75よりは良い出来の作品の様に個人的には感じられました。

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ヒロキ

5.0評判以上 子どもをうまく捉えていた

2025年7月17日
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old-tears

3.5フキの視点

2025年7月16日
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難しい

驚く

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まこやん

4.5微かな幼少期のにおい

2025年7月16日
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tkt

4.0ルノアール^_^

2025年7月15日
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題名の通りですね。
女の子って、大人っぽいもんね!
お父さん好きだしね。
静かな時間が流れて
見終わったあと、良かったなぁ。。。と思う

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Billy

3.5近未来から過去まで命の尊厳を撮る

2025年7月13日
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悲しい

単純

知的

カンヌに出してるプラン75の監督が作った少女の成長を描いた作品くらいを前提知識として観に行ったが、作中でも終わっても思ったのがこれは人の命の尊厳をテーマに作った作品と思えた。戦争談や映像見たり飼ってる魚で死んだものを何気なくすくうシーンがあったり、これは私だけ思ったことかもしれないがキャンプファイアーの火の粉が空襲に思えた。
質疑で監督はああ答えたが恐らく空襲に模したものだと思う。そして父の死をあまりにあっさり報告するからなぜウソを言うのだろうと思ってしまった。
フキをあのようにとったのには考え有っての事だろう。もっといろんな経験をして成長をと思ってたから力石以上に強烈な死に思える。そして船でのダンスは私は生きてるのよと訴えかけたように取れた、波のカットを入れたのはルノワールだけに北斎を意識してるのではないだろうか。

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おおとり

4.0「ストーリーが明確でなくても楽しめる早川千絵監督作品」

2025年7月13日
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斬新

小学五年生の少女フキが主人公。つまりこの映画は、少女の視線から描写されている。少女がある事柄をわかる、知ることは、事柄の全体像ではなくある断片に限られていく。「なんとなくわかる、知る」というイメージだ。だからこの映画には明確なストーリーはない。なぜならフキの視線の断片の寄せ集めだからだ。

フキが置かれている家庭環境の断片が二つの作文にあらわれる。超能力、催眠術、カード当て、テレビから得た情報の断片をうけてフキはやってみる。ただ不思議な描写が入り込む。夫を亡くした女性にフキが催眠術をかける。催眠術がきいているのかいないのかわからないが、女性は自分の思いをストレートに語るシーンのみがストーリーになっている。なぜなら彼女は大人であり物事の全体像をはっきりと把握できるからだ。

少女と大人の区別を明確にし、なおもフキの断片を描写していく。少女同士の遊び。何かを見つけたフキ。この遊びにフキの残酷性の断片を見る。伝言ダイヤルにはまり、大人の誘いに軽々とのってしまう危うさと未熟さの断片。病院でルノワールの絵を見つめるフキの断片。ガン末期の父の病室に飾られるルノワールの絵の断片。父親が一時帰宅したとき、父が部屋を開けると母の喪服がつるされ準備されていたのを見た瞬間、フキは電気を消し部屋を閉める優しさの断片。母がなんとなく浮気している男の周りを自転車でぐるぐる回り無視して走り去る断片。父が亡くなっても覚悟をしていたからたんたんとし、ルノワールの絵をはずして自分の部屋に飾り、父のことは忘れないという優しさの思いのこもった断片。

この断片の数々がフキの記憶となり人間形成の一部になる。様々な大人の断片を見て経験して、やがて物事の全体を把握できる大人に成長していく。しかしはっきりわかるということは、幸せと結びつかないこともいずれ知るだろう。

様々な断片を見てきたフキが、いつか光り輝く青空の下、クルーズ船上で満面の笑顔で踊っている姿を想像する断片。未来に希望を持っているフキに、よしと思った。

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かな