「タイトルなし(ネタバレ)」アブラハム渓谷 完全版 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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美しい少女エマは長じてポルトガルのアブラハム渓谷の農園主の末裔、カルロス医師(ルイス・ミゲル・シントラ)と結婚する。
(成長したエマは、レオノール・シルヴェイラ扮演)
多忙なカルロスは不在のことが多く、エマは孤独な生活を強いられる。
ある夜、ダンスパーティのこと。
エマの美貌は男たちを惹きつけ、エマの奥底にある欲望に火をつけることになる・・・
といった物語で、フローベール「ボヴァリー夫人」の翻案もしくはモチーフにしての映画化。
3時間半ほどの長尺だが飽きることはない(が、トイレには立った)。
ゆったりとした演出、延々と続くナレーション、官能要素多々あれど官能描写がない等々、映画で観る文芸という感じ。
興味深いのはエマの奥底にある欲望で、官能に溺れるのではなく、男たちを惹きつけることに快感を覚えるということ。
男女間の行為に快感を覚えるわけではないので、官能描写がないわけ。
また、ナレーションは男性で、登場人物の誰かというわけではない。
しいて言うなら「原作者」といったところか。
しんねりむっつりなメランコリック作品というわけではなく、文明批判と官能と艶笑喜劇がないまぜな感じ。
艶笑喜劇要素があるので、3時間半の長尺でも飽きないのかも。
ただし、冒頭のナレーションや風景描写で、早々に飽きちゃう人もいるでしょう。
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