劇場公開日 2025年6月20日

「映画そのものが問題提起型の事情を含むが、その点の配慮が足りず、かつR15も配慮が必要か」Mr.ノボカイン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画そのものが問題提起型の事情を含むが、その点の配慮が足りず、かつR15も配慮が必要か

2025年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年148本目(合計1,689本目/今月(2025年6月度)11本目)。

 まず、この映画はR15指定で、この部分は出血表現など一部の表現が明確にひっかかったものと思います(性的な表現はほぼ存在しない。あってPG12か一般指定かどまりの話)。このため内容としてはある程度覚悟が必要な映画ではあるものですが、この映画で扱われている難病は実際に存在するもので、日本国内でも難病指定(指定番号130)されているものです。

 このような観点でみると、日本ではレーティングは映倫が((大学映画祭など特殊なものを除き)色々な事情からほぼ独占的に)つけますが、内容がもともとこの内容であれば映倫もどう内容を考慮してもPG12にするかしないか程度の論点はありえても一般指定もありえない状況です。かといって、この映画は実は実在する難病を扱っているのであり(日本にも当事者の会、というものは存在します)、映画内ではさもコメディもののように扱っていて、「この映画は架空です」とかという話は出てこない割に(英語では出てくるが、日本語訳されていない)、実は最後まで見ると、「この映画は特定の難病を参考にしました。この映画の売り上げの一部は当事者の会に寄付されます」的なメッセージが出ます。

 こうであれば、そもそも本国であるところの製作元が、この映画の趣旨を考えたときに、日本でいえば一般指定かPG12か(PG12に関してはまぁ、内容的にも緩く見る家庭も多いが、R15以上になると絶対にダメ、という家庭も多い。そもそもR15以上は映画館の自主規制的に制限を満たさないと入れない)というところであり、日本でいうところのPG12(他国でも同様レーティングレベル)にできなかったのか、という気がします。

 そのような事情が抜け抜けなのに、突然「売上の一部は寄付されます」みたいなことが出てきても、問題提起型の映画ですか??ということになるし、内容自体は実際の難病を扱う割にコメディに寄せすぎで、何をどうしたいのか不明です。この点は、もとの映画そのものにある帰責問題だろうというところです(映倫は色々な事情を考慮して、内容としてある程度妥当でない部分があっても、問題提起型の映画等であればある程度色々総合勘案はしますが、レーティング2つ(か、3つ)飛びはほぼない)。

 これらのことまで考えると、評価としては以下のようにしました。

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 (減点0.8/映画そのものの表現の配慮が足りず、日本でいうR15相当でこの映画を放映する趣旨が不明)

 実際、内容・表現を工夫すれば一般指定か、日本でいうPG12程度にはできたはずであり、最後に出てくる「売上の一部は寄付~」という趣旨とも一致するところであり、なんでこうなったのかな、といったところです(世界各国でレーティング基準は同じではないですが、他国で一般指定のものが日本でR15になったり、逆になったりということは、日本相当では2段階飛び以上ではほぼ起きない)。
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yukispica
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