「スクリーンに甦る,ロックの神話」レッド・ツェッペリン ビカミング TOさんの映画レビュー(感想・評価)
スクリーンに甦る,ロックの神話
本人たちでさえ初めて目にするという初期の貴重なライブ映像に加え,健在の3人がじっくり語るインタビューがふんだんに盛り込まれ,圧倒的な臨場感を持って彼らの軌跡を浮かび上がらせていた.
ドラマーのジョン・ボーナムについてはインタビュー映像が存在せず,生前の音声だけが流された.その声を聞きながら,3人がやさしげに微笑む場面が忘れがたい.彼らの強い絆と友情がそこににじみ出ており,ボーナムの急死に際して「代わりのドラマーはあり得ない」と即座に解散を決めた心情が,ごく自然に伝わってくる.
さらに初期のコンサート映像には,困惑した表情を浮かべる観客や,大音量に思わず耳を塞ぐ人の姿まで映されていた.よくぞこんな映像が残っていたものだと驚かされると同時に,イギリスのエンターテインメントにおけるアーカイブ意識の高さを感じさせる.
この映画は『ボヘミアン・ラプソディ』のような再現ドラマではなく,純粋にアーカイブ映像だけで構成されている.それでいてここまで強烈な迫力と説得力を生み出せるのだから,ただ「凄い」としか言いようがない.ツェッペリンという存在の大きさを,改めて痛感させられた.
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