「ギャレスファンとして見るべき点は多いが企画には疑問がある」ジュラシック・ワールド 復活の大地 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ギャレスファンとして見るべき点は多いが企画には疑問がある
ギャレス・エドワーズが尊敬するスピルバーグに倣いつつ、自然の中にSF的モチーフを入れ込むという得意技を駆使していて、とくに靄の中から恐竜が一部だけ現れるといった「見せすぎない」演出がよい。そしてガソリンスタンドのシーンはデビュー作にして傑作だった『モンスターズ/地球外生命体』のセルフオマージュにしか見えず、ギャレスファンとしてほっこりする。あの低予算作品からゴジラ、スター・ウォーズ、ジュラシックと気がついたらとんでもないキャリアを築いていらっしゃる。
という二点によって星をふたつ加点した感じで、特に脚本において不満は大きい。そもそも「ジュラシック」シリーズはまず恐竜の登場に興奮して愛でるものではないか。今回の顔ぶれは金儲けのためのDNA採取チームと恐竜のせいで遭難した一家に設定されており、採取チームの恐竜博士以外、恐竜愛が基本的にない。肝心の博士も、二匹目の恐竜の時点で特にテンションがブチ上がってなくて「オイ、師匠のグラント博士に怒られろ!」と思ってしまう。
もうひとり、幼い少女が恐竜を餌付けして可愛がるくだりがあるが、百歩譲って餌付けできたとして、島から連れ出すなよ。恐竜博士もそれだけは断固としてダメだよと言ってあげるのが専門家の、そして大人の役割ではないか。
エイリアンめいた新種が興ざめである件などなど、おそらく作り手はもう7作目ということで「わかって」やっているのだとは思う。が、じゃあ7作目をわざわざやる意義がありましたか?と、疑念をこねて団子状にして投げつけたい気持ちはある。
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