劇場公開日 2025年8月8日

「まさかの」ジュラシック・ワールド 復活の大地 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0まさかの

2025年8月29日
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"死人の口が開いた!"並の冒頭で明かされる"恐竜はほぼ死に絶えて赤道付近のみ生き残りがいる!"という文章に椅子からズコーッ!と転び落ちそうになりました笑

4作目にしても中々ワールドになれないジュラシック・ワールドシリーズが始まりました。

タイトルはもう「ジュラシック・ポケットパーク」にしてくれ。

本作で監督を務めるのは「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」やハリウッド版「ゴジラ」、「ザ ・クリエイター/創造者」のギャレス・エドワーズ監督。

私はギャレス・エドワーズ監督の壮大な映像・演出センスは大好きで、子供の妄想がそのままゴージャスなSFスペクタクルになったようなイメージだ。
ただ、脚本には毎回難があると思っていて、本作もその悪い予感は的中した。

脚本はシリーズ1作目「ジュラシック・パーク」の脚本を手掛けたデビッド ・コープが手掛けるということが話題になったが、近年の彼の脚本作品「ザ ・マミー/呪われた砂漠の王女」、「インディ・ジョーンズ/運命のダイヤル」等、あまり上手くいっているとは思えず、原点回帰という賭けに出た訳だが、正直原点回帰すれば良いというわけではないと思う。

"スピルバーグにオマージュを捧げる!"、"原点をリスペクトする演出を!"等を掲げれば掲げるほど、創造力を失っているように感じた。本作に目新しさは何もなく、ここが一作目オマージュで、ここがスター・ウォーズオマージュでと確認作業をしていく話だ。恐竜もご丁寧に順番通り出てくれるので、いつ奴が戻ってくるか?など心配せず安心して観賞が出来る。

恐竜だけでは客が呼べないからモンスターを創造するという物語上に出て来る科学者達の設定がそっくりそのままこのジュラシック・ワールドシリーズに当てはまってしまうのは皮肉だ。流石にわかってやっていると思うが。

シリーズ1作目の魂はスピルバーグ監督が参照していたヒッチコック映画等のスリリングな演出にホラー・モンスターパニック映画にあるような、とにかくしつこい敵である。

本作は丁寧に作りすぎたのか、几帳面に恐竜が順番通り登場して次のステージではもう出てこない。追いかけて来ない。物分かりの良い恐竜達である。

人間サイドはスカーレット・ヨハンソンやマハーシャラ・アリといった超演技派をキャスティングしている。確かに薄っぺらいキャラクター設定に厚みをもたらせていたのは流石だった。この2人は最高の仕事をしていたと思う。

他、ヨットで遭難していた家族が参戦することになるが、この家族のお父さん!足が折れているのか、折れていないのか、中々焦らしてきます。途中崖から落ちるというトドメの一撃が入るが無傷だった。そしてラストではなんと完治している。まるで足の怪我などなかったかのようだった。

こういった脚本上後で都合が悪くなりそうなシーンが冒頭である時点で、本作の脚本は上手くいってなかったんだなと思う。足が折れているから逃げ遅れて恐竜に食べられそうになるシーンや足手纏いになるシーンがあればわかるが、特に意味のないシーンだった。

(他、スピルバーグであれば妹の女の子と仲良くなった小さな恐竜"ドロレス"にしっかりとオチを付けるはずだ。D・REXに襲われそうになるところをドロレスの親の恐竜の群れが助けてくれるなど。)

興行的には成功しているらしい本作。さすが最強のフランチャイズだ。恐竜はやはり素晴らしい。子供の夢が詰まっている。

ヘルスポーン
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