「その選択が人類を生きながらえさせるかもしれない。」ジュラシック・ワールド 復活の大地 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
その選択が人類を生きながらえさせるかもしれない。
本シリーズで一貫して描かれてきたテーマ、それは自然への畏敬の念。
人類は自然を侮ってきた。奢り高ぶり、その後しっぺ返しを食らう様が本シリーズでは毎回描かれてきた。恐竜たちに捕食されるという形で。
地球上の支配者然とした人類。奢り高ぶり、経済成長の下で地球環境を破壊してきたが、いまや地球温暖化によりしっぺ返し食らうことに。これは本シリーズで描かれてきた登場人物たちの姿そのものだ。
本作でも製薬会社のエージェントであるマーティンという人物は典型的なおごり高ぶった人物として描かれ、最後にはやはり報いを受けることになる。
金儲けのために恐竜たちを遺伝子操作によりよみがえらせ、さらなる集客のために品種改良を重ねて怪物を作り出した。利益追求のために自然の摂理に反する行為を重ねて自ら生み出した怪物に襲われ自滅してゆく人間たち。それはまさに今産業革命以降もたらされた資本主義により地球環境を破壊し、その報いを受けている人類の姿そのものだ。
本作の主人公ゾーイは高額の報酬を目当てに危険な任務に仲間たちと共に就くことになる。彼らは元特殊部隊のメンバー。百戦錬磨の戦いの中を潜り抜けてきた彼らは一様に心に傷を抱えていた。
ゾーイは任務中に仲間を失い、船長のキンケイドもわが子を失い、妻とも別れていた。彼らはせめて高額な報酬を得ることで人生をやり直そうと危険な任務に賭けに出たのだ。
しかし品種改良された恐竜たちは手ごわい。任務を続ける中で一人また一人とメンバーが犠牲に。その度にゾーイは心が揺らいだ。人生を取り戻すための任務で命が失われてゆくメンバーたちを見て、はたして報酬のために命を犠牲にしている自分たちはなんなのかと。
そんな彼女にルーミス博士の言葉が響く。恐竜たちの生体サンプルから得られる新薬は製薬会社に独占させるべきではなく、すべての情報を公開して誰もが安価で薬が手に入るようにすべきだと。しかしそうすれば彼女は報酬を得られない。
報酬のために仕事を受けたキンケイドも金だけがすべてではないと言う。そんな彼らの前に立ちはだかるDREX。その姿はまさに無限の経済成長により破壊された地球環境を象徴するかのような、自然界には存在しえない禍々しい姿だった。
キンケイドは忘れ形見の子を想い、救助した家族のために自分が犠牲になろうとする。それはけして報酬目当ての行動ではなかった。
命を取り留めたキンケイドを救出したゾーイははたしてサンプルを製薬会社に渡す選択をしただろうか。彼女はきっと正しい選択をしたはずだ。
26億年の歴史を持つ地球上においておよそ20万年の人類の歴史はほんのまばたきくらいのものだという。地球の支配者然とした人類の歴史は地球上ではほんの一瞬なのだ。そんな人類に比べて恐竜の歴史は1億6千万年もの長さを誇る。
知的生物ということがけして種を永らえさせることにはならない。ダーウィンのいうように恐竜のような人類より知的レベルが低くても環境変化に適応できた種が生きながらえることができるのだ。
人類はその知性が逆に仇となり地球環境を破壊して自分たちの生存を危うくしてしまった。学者によっては人類はあと千年も生きられないという。もしかすると短命で終わる人類の歴史。人類は地球上では偶然生まれたバクテリアのような存在なのかもしれない。
産業革命以降の無限の経済成長が地球環境を破壊し、いまや人類存亡の危機に。このまま地球の気温が上がり続ければ、人類が死滅して再び恐竜の時代が訪れるかもしれない。行き過ぎた資本主義が地球環境から搾取をし続けた結果である。
ゾーイが恐らく下した決断。サンプルを公のものとしてすべての人々が平等に利益を得られるようにするという、これはまさに反資本主義、社会主義的な行いと言える。
彼女の下した決断、正しい選択の積み重ねがもしかすると人類を少しだけ生きながらえさせるのかもしれない。
いまや行き過ぎた資本主義により地球環境の破壊は待ったなしの状況だ。いままさに資本主義社会のあり方が問われている。
本作は今までのシリーズに通底するテーマである自然への畏敬の念に加えて資本主義社会にカウンターを食らわせた作品と言えるだろう。
恐竜たちが跳梁跋扈する舞台で襲い掛かる恐竜たちからのサバイバルアクションを描いた点は今までのシリーズをそのまま踏襲しているが、そのテーマが現代風に付け加えられて今の資本主義社会に物申す内容に仕上がっている。
夏休みに家族連れで見るには申し分ない作品。ハラハラドキドキを楽しみながら見終わった後は親子で本作の描かれたテーマについて語り合うのもいいだろう。ご家族そろってご鑑賞お勧めします。
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