「映像は楽しめた」ジュラシック・ワールド 復活の大地 ヨークシャ・テリヤさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は楽しめた
まず個人的に良かったなと思った点。
・恐竜に襲われるシーンのハラハラ感
特に最初のモササウルスとスピノサウルスのシーン。さっきまで親しげに会話していたキャラクターたちがサクッと死んでいく。序盤のほのぼの人間描写パートのすぐ後に、パニックシーンがあるものだから、そのギャップがすごい緊張感を生んでいたように思う。このシーンのおかげで、「もうそろそろ急に死ぬやつ出てきてもおかしく無さそう」みたいに身構えることが多くなった。
・魅力的なキャラがちらほらいる
家族メンバーにいるボーイフレンドと、特殊作戦メンバーのリーダー的な黒人の男性。この2人が個人的に魅力的にうつった。
ボーイフレンドの方は、物語が始まった当初は、クズでちゃらんぽらんなザ・ダメ男みたいな感じ。ただ、その後の展開で実は根性があって根は良い奴っていうことがわかる。さらにその後に、「多分見た目や表向きな性格から、周囲に偏見を向けられ続けて人格がねじ曲がったんだろうな」みたいな考察ができるシーンがある。最初の方のシーンで映る彼のダメなところ、その後に見せるいい所。この2面性を繋げる彼のバックボーンをさりげなく説明するシーンのおかげで、とてもキャラクターとして魅力的に映った。
黒人リーダーの方は、子供を幼い時に亡くした主人公の元同僚(特殊部隊)。基本的に仲間思いで、困った人を見過ごせない。特にそれが子供だと、自分の子供のことを思い出してか、自分を犠牲にしてでも助けるという彼の感情というか欲望からくる行動みたいなのが一貫していて、好きになった。
ここから個人的にダメだなと思ったところ
・無駄なシーンや描写が多い、もしくは、必要なシーンや描写がない。
無駄なシーンの例としてあげると、まず途中からでてきた子供の恐竜。登場したはいいものの、特に映画を通して何もしてない。子供から餌貰って、バックに詰められてただけ。いてもいなくてもストーリーにはなんの影響も及ばさない。この子供の恐竜を連れていることで、親の恐竜が主人公たちを危機を救ってくれる、みたいな展開でもあるのかなと思ったら、何も無い。映画が終わったあと、なんだったんだアレ???となった原因の一つ。
必要なシーンの例は、本作のボス恐竜的な立ち位置にあるD-レックスのシーン。
こいつの生態だとか、特徴がまるで分からない。光に引き寄せられるみたいな習性?を説明するシーンはあるんだが、逆にそんだけ。見た目はエイリアン+恐竜でインパクト大だが、やってることは普通の恐竜。
初代ワールドのインドミナスレックスは知能が高いがゆえに、残虐性があったり、透明になれたり、体格が大きくてTレックスよりフィジカル強いみたいな特徴があって、それに説得力をのせるためのシーンがあった。でも本作のDレックスにはそれがない。登場は1番最初と1番最後しかなく、ほかの恐竜と何が違うかもわからない。じゃあ別にこいつ出さなくても良かったんじゃないの、と考えてしまう。歴代の作品と差別化を測りたかったんだろうか。とにかくインパクトが欲しかったのか?
でも見た目しかインパクトないから、こいつが出てきたクライマックスの所が全然盛り上がらない。
モササウルス&スピノサウルスのシーンがこの映画一番の盛り上がり所になってしまっている。
・ツッコミどころが多い
これは少し野暮かもしれないが、ツッコミどころがある所がちょくちょくある。
1つ目は、主人公たちがあまりに準備不足だと言うこと。まず銃持ってんのが一人しかいねえ。それも水場で撃てるやつ。主人公一行は全員かどうかはわからないが、元特殊部隊出身のやつらが少なくとも3名いる。主人公と黒人リーダー、あと序盤で死ぬやつ。序盤で死ぬやつが唯一銃持ってました。これから、恐竜だらけの孤島に向かうって話をして、船まで用意してんのに、なぜ銃火器はちゃんと用意しない。一応、島に急いでいくための理由の説明はあったけど、銃くらいすぐ用意できたんじゃなかろうか。
次に、現地のリサーチ不足。島に住んでる恐竜の特徴や生態、危険度みたいなものを予め調べとけよ。と、見てて思った。これもまあ急いで島に向かわなきゃいけなかったから、わかんなかったのかなと当初は見てて思ったんだが、とあるシーンで、この恐竜はここにいることが分かっている、みたいなことを博士が言うシーンがあって、そういうのわかるなら調べる時間くらいはあったんじゃねえの?と思う。なんなら、物語の最初で島にいる恐竜の種類は把握できてた。種類把握出来てんなら、それに応じた対策だとか、危険区域だとか割り出して行動しろよ。なんならそれ分かってるなら、なおさら銃持ってけよと思ってしまう。
これに付随して、博士着いてく意味なかったろ。とか、雇用主の人ついてくる必要なかったろとか。
3つ目、一般人よりポンコツ化する特殊作戦チーム。
一番意味わからんかったのは、海でモササウルスとスピノサウルスに襲われて、逃げて上陸してからのシーン。博士が、「スピノサウルスは水辺だけじゃなく、陸上でも活動できるから、逃げろ!!」ってでかい声で忠告してくれてんのに、呑気に荷物を運ぼうとして食われた女性。あまりにもマヌケすぎて、???となった。
更に4つ目、物語終盤でDレックスに追い詰められたシーン。主人公一行を救うため、Dレックスの光るものに引き寄せられる習性を逆手にとり、発煙筒をつけて囮になりながら逃げる黒人リーダーさん。だが、Dレックスに追いつかれてしまう。黒人リーダー死んじゃったのか、と思いきや、主人公たちが島から脱出しようとした時に、なんか生きてたことが発覚。無事回収され共に島から脱出。え?どうやってあの状況から単身生き残ったの?と思って、スクリーンに目を凝らしていたら、そのままエンドクレジット。いや、なんで生きてたの?どうやって生き残ったの?その理由付けとなるものが何も無く、えぇ……って感じだった。因みにDレックスは全然人間も食べる。悪役が普通に食われてた。
他にも、今作の目的でもある、新薬開発のために集めた恐竜のサンプルを終盤で悪役が主人公たちから奪い取るシーン。このシーンで、悪役が自身の手とサンプルが入ったアタッシュケースを手錠で繋げて離さないようにする描写がある。「あ、これのせいで悪役が墓穴をほることになるのかな」と思ったが、結局なんも無い。そのすぐ後に、小型の恐竜に襲われた弾みでぽろっと、手錠が外れて結局手でもって悪役は逃げる。せっかく伏線に使える描写を用意したんだから、アタッシュケースを恐竜に掴まれて逃げられませんでした。とか、アタッシュケースをどこかに挟んで、逃げ遅れました。とか後の展開に繋げればよかったのに、とむず痒い気分になった。
こういう伏線的な描写は映画内でちらほらあったように思うが、活かしきれてない。うーん…こう…違うんだよなぁって感想。
まとめると、映像とかパニック描写は良かったんだけど、映画の構成とかツッコミどころが気になりすぎて消化不良感が否めなかったという感じです。
エンタメとしては楽しめました。
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