「ハイブリット・アイランド エイリアンの大地」ジュラシック・ワールド 復活の大地 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ハイブリット・アイランド エイリアンの大地
前作で最終章と言ってた気するけど、ほんの3年で。これって『炎の王国』~『新たなる支配者』間より短い。
だからまるで“新章”って感じがしない。『パークⅢ』~『ワールド』くらいのスパンが無いと。
とは言え、新作は有り難い。イナゴ大パニックになっちゃった前作『新たなる支配者』が何だか締まらぬフィナーレだったし、もっと人間と恐竜の共存に踏み込んで欲しかったから。
それに製作側からすれば、毎回必ず大ヒットが約束されているこのシリーズを易々と終わりにする筈がない。日本でもジャングリア沖縄なんかよりずっとお手軽な恐竜アトラクション。
何だかんだ皆、このシリーズが好きなのだ。第1作目のあの興奮と感動を忘れない。
恐竜たちの時代はまだ終わらない。
一応世界観は『新たなる支配者』のその後だが、新章なので話も監督もキャストも一新。これまでの話とかハモンドとかインジェン社など覚える事もなく、シリーズ初見や本作単体でも見れる作りになっている。
スタッフの特筆点は、脚本を『パーク』『ロスト・ワールド』のデヴィッド・コープがカムバック。
そして監督には、ギャレス・エドワーズ。山崎貴がゴジラの新作を手掛けた時のように、やっぱ今ならこの人だよね~な人選。
巨大生物モノで名を上げただけあって、しっかり心得た見せ方。恐怖と畏敬の念。
にしてもゴジラにSWにジュラシックと、SF少年の夢を叶えている人。
悲願のシリーズ出演おめでとう、スカーレット・ヨハンソン!
兼ねてからシリーズの大ファンで、スピルバーグに“開始5分で恐竜に食べられる役でもいいから出たい!”と直談判してきたヨハンソン。今彼女を起用してそんな勿体ない役はない。堂々主演。シリーズ初の女性主人公。そのタフさはブラック・ウィドウ以上…?
シリーズお馴染み恐竜精通もしくはオタクでジョナサン・ヘイリーが好演。
頼れるマハーシャラ・アリ、THE悪い奴ルパート・フレンド、そして巻き込まれる謎の家族…。分かり易いくらい各々配置。
原点回帰を目指したというギャレス。そこかしこに1作目を彷彿させるシーンが。
クライマックス、売店で襲撃されるシーンはラプトルに厨房で襲撃されるシーンにクリソツ。
家族の末娘がひっくり返ったゴムボートの下でティラノに襲われるシーンは、車に取り残されたハモンドの孫姉弟がティラノに襲われるシーンみたい。尚、ティラノが川を泳ぐこのシーンは、1作目の原作や脚本にはあったものの、都合でカットされたスピルバーグ念願のシーン。
大型草食恐竜と遭遇するシーンに掛かるお馴染みの音楽…。
それらオマージュを見つけるのも楽しみの一つ。
ジュラシック・シリーズのストーリーは、大まかに二つに分けられる。
テーマパークが作られて赴き…というのと、何らかの理由で恐竜の領域へ足を踏み入れる…というもの。
前者はワクワク感、後者は人間の傲慢が描かれ、どちらもシリーズの魅力やメッセージだが、今回は後者。
製薬会社の代表が新薬開発の為に、恐竜のDNAを必要。特殊工作員や恐竜博士が引き抜かれ、あれから生き残った恐竜たちが生息している赤道直下の島へ。
恐竜のDNAと言っても普通の恐竜じゃダメ。陸海空それぞれを制する大型恐竜から。
海の王者、モササウルス。『ワールド』からすっかり常連。
陸を蹂躙、ティタノサウルス。首より長い尻尾を持つシリーズ初登場の恐竜。
空の覇者、ケツァルコアトルス。前作から続投も、名前が覚えづらい…。
3巨大恐竜からDNAを入手せよ! イーサン事案のダイナソー・ミッション!
モササウルスとは船チェイス、ティタノサウルスとは雄大に触れ合い、ケツァルコアトルスとは崖っぷちバトル。緩急メリハリ。
スリリングさはいいんだけど、話的には『パークⅢ』と同じくらいどうでもいい話。番外編的と言うか、シリーズ続行の為に無理矢理作られたような…。
『パーク』『ワールド』1作目のようなワクワク感は薄れ…。やっぱりこのシリーズの醍醐味って、あんな感じじゃないかな…?
前作から3年。映像はいつもながら凄いが、話や設定は急いで作った穴ぼこだらけ。
一応人間の傲慢を描いているが、恐竜をただ利用しようとしているだけで何だか不憫。
今回の話の発端。セキュリティ故障の原因は…。そうならないと話が始まらないとは言え、パークもワールドも今回もセキュリティに大問題。
あんなに大風呂敷広げた人間と恐竜の共存問題はスルー。ただのサバイバル劇。
行きは大型船でモササウルスやスピノサウルスが出迎えたのに、帰りはあんな小型ボートでそれに配慮して恐竜たちは襲ってこない。宇宙戦艦ヤマト並みに帰りは楽々。
いかにもマスコット狙い見え見えのキュートな小型恐竜をお持ち帰り。それはダメでしょ! のび太だってピー助とお別れしたのに…。
って言うか、あの家族いる…?
でも一番要らないのは、見た人皆が槍玉に上げている“アレ”。
またしても今回登場の新ハイブリット恐竜。
いや、ハイブリットでもインドミナス・レックスみたいにちゃんと恐竜スタイルでカッコ良かったらいいんだけど…、何アレ…?
見た人皆が指摘するように、怪獣…? エイリアン…?
前足が4つ、ずんぐりむっくりな体型に、不細工なコブ付き頭。
何をどうやったらあんなブサ恐竜出来るの…? 本当にどっかでエイリアン取っ捕まえて恐竜とハイブリットさせたの…?
デザインもだけど、今回のハイブリットは無ぇわ…。
その必要性も。クライマックス、別にハイブリットでなくともティラノやスピノでも全然成り立つシークエンス。
今回また凄いハイブリット恐竜出るぞ~と見世物の為の客寄せして、シリーズで散々警告してきた傲慢者とやってる事は何ら変わりない。
最後退治しなかったから、次回作あったらまた出るの…? うへ、勘弁…。
鬼舞辻無惨ならこう言うだろう。何とまあ、醜悪な姿だな。
ジュラシック・シリーズには愛着や思い入れや思い出がいっぱい。このシリーズと育ってきたと言っていいくらい。
だからシリーズ新作はいつも楽しみにしている。ちょっと期待外れでも。
だけど、今回は…。つまらなくはなかったけど、これまでにないくらいのコレジャナイ感。
だって、“ジュラシック・ワールド/復活の大地”と言うより、“ハイブリット・アイランド/エイリアンの大地”って感じ。
B級C級映画専門のようなハイブリットや魅せるものナシの話はもういいや。
我々は、純粋に恐竜や恐竜映画が見たいんだ!
それでも私たちは、1作目の興奮と感動を魅せてくれるようなシリーズの復活を期待している。
恐竜たちの時代はまだ終わらない…筈だ。
あの怪獣ですよね…😥
パーク三部作、ワールド三部作と来たんだから、新たなタイトルにして欲しかったですけど、ワールドの4作目なら、やはり孤高の恐竜王ティラノに活躍して欲しかった気がします。
しかし、飽きさせずドキドキさせてくれました❗️




