「ご都合主義」ジュラシック・ワールド 復活の大地 sum13zさんの映画レビュー(感想・評価)
ご都合主義
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』、映像の迫力はさすがだったものの、脚本の弱さが気になった。
最序盤の研究施設のシーン、そこは無菌室だろ?何故オマエはそこでお菓子を食べている?袋ポイ捨て?その袋一つドアに巻き込まれただけでセキュリティ崩壊?いくら何でもあり得ないでしょう。ここから始まり突っ込みポイントは無数にある。
そして必要以上に長く感じるシーンが多く、「この場面いる?」と思うことが何度もあった。
主人公たちが「金、金」とお金にこだわるのはシリーズでは新しい要素だったけど、最後に心変わりする理由がぼんやりしていて、観終わった後にモヤモヤした。
主人公が同僚の死でトラウマを抱えている設定なのに、仲間が目の前で喰われてもそんなに動揺しないのは違和感だし、急に「人命優先」と言い出すのもキャラがブレているように感じた。
とはいえ、スカーレット・ヨハンソンとマハーシャラ・アリの演技は素晴らしく、彼らの力で何とか観られた感じ。
そしてストーリーのご都合主義が目立つ。例えば、違法行為を隠れてやってるのに50キロも逆走して救助に行く展開とか、巻き込まれた家族がスキルも装備もないのに超絶強運でサバイブするのはちょっと無理があるなと。
メタ的に「この家族は死なないな」と判ってしまうので、Tレックスに追いかけられるシーンでも緊張感がない。
(子供を殺すのはハリウッドではタブー)
ここも粗が酷かった、瞬間移動するTレックスに噛み付かれても無事な折りたたみボート。
そもそもあの家族自体不要な気がしなくもない。
序盤のヨットでのクズ彼氏の下りが妙に長く、そこで最初に「この映画ヤバいかも?」と思った。
無謀、無神経な行動を繰り返す姉妹、足はどうした?何故普通に歩いてる?というオヤジと、突っ込まれる為にあの家族を登場させたのか?
クライマックスの「飛ぶラプトル」や「ランコア」みたいなクリーチャーの登場は余計だった、これで一気に作品がB級モンスター映画っぽくなってしまった。
最後はあんな危険な状況に追い込まれても、喰われるのが製薬会社のクズ一人だけ、ご都合主義の極みだ。
『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』で締めくくった方が良かったんじゃないか、とさえ思えてしまう。
興行収入やマーチャンダイジングの儲けが凄いのだろうが、無理やり続けた感を感じた。
同様に新作を作ることが目的になってしまい、最後は駄作になった『トランスフォーマー』シリーズを思い出した。
ギャレス・エドワーズ監督の演出は視覚的に魅力的で、巧みなシーンもあったけど、脚本の弱さが足を引っ張った印象。
スカーレット・ヨハンソンの演技と魅力に助けられた作品。
そしてモササウルス最強伝説は継続中。
あからさまに続きがありそうな終わり方をしたが、次はどうなることやら。
