劇場公開日 2025年8月8日

「物語も新種恐竜も既視感だらけ」ジュラシック・ワールド 復活の大地 アラ古希さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 物語も新種恐竜も既視感だらけ

2025年8月8日
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鑑賞方法:映画館

字幕版を鑑賞。字幕担当は林完治だったが、所々に誤訳の女王戸田奈津子のような台詞回しがあって、魚の骨が喉に刺さったように神経に障って少々ムカついた。

シリーズ7作目で、前作「新たなる支配者」から5年後という設定だが、前作との関連性は全くない。登場人物が一掃されて、登場人物の行動目的も新たなものになっている。脚本担当は第1作と第2作の人が 28 年振りに戻って来たというので、原点復帰路線になるのではと勝手に期待したのだが、結果は大いに裏切られてしまった。制作総指揮にはスピルバーグまで名を連ねているというのに、この出来はどうしたことかと非常に落胆した。

冒頭でスナック菓子の包装紙をダクトが吸い込んだだけでシステムエラーを起こして再起動というのにまず呆れた。だったらスナック菓子など持ち込み禁止にすべきだろう。再起動中にドアロックが解除されると言いながら普段通りの手順でドアを開けようとするところも間抜けに思えた。

まず、設定が良くわからない。恐竜の DNA を入手するのに何故陸海空の三種もの恐竜のサンプルが必要なのかが全く分からなかったし、血液採取の方法は一応理に適っていたが、胚を傷付けずに卵から採取する方法などあるのだろうかとかなり嘘臭さが鼻についた。登場人物の行動原理もよく分からなかった。金のためというのは分かりやすいが、自分の生命を賭して赤の他人を救おうとするモチベーションがどこにあるのかが不明だった。

まず海のシーンに既視感があると思ったら、「ジョーズ」をなぞっているように思われた。巨大さは鮫どころではない相手が本気で潰しに来たらあんなものでは済むまいにという思いが頭から離れず、犠牲者の出方にも何やら作為が感じられた。今まで一緒に活動していたメンバーが犠牲になっているというのに、ほとんど悼まれることもなく、ほぼ何事もなかったように次のシーンに向かうというのも何だかなであった。私の知ってるアメリカ人はもっと情があるのに、これではあんまりだと思った。

娘の彼氏はチャランポランに見えながら、娘の危機には人が変わったような行動を見せるというのが斬新だったが、あまり一貫した話でもなかったのはかなり肩透かしだった。一番小さな子供が活躍するというのも想定内だったが、最終的に持ち帰ったものには腹が立った。隣近所は迷惑至極だろうし、探しに来ていたらしきあの生き物は可哀想だろうが。

DNA 操作で作り出した新種というのが登場するが、まるで「エイリアン4」のニューボーンのようにデザインセンスのかけらもないやつが出てきて脱力したし、リアリティが甚だしく削がれてしまった感じがした。竜脚類の尻尾が鞭のように細長いのも違和感ありまくりだった。

スカーレット・ヨハンソンが出るというので楽しみにしていたのだが、彼女でなくてもできるような役だったし、元の傭兵仲間と交わされる会話もあまり重要性が感じられなかった。音楽は、ジョン・ウィリアムズのオリジナル部分は流石だと思ったが、新しく追加された曲はあまり耳に残らなかった。物語に重要性がほとんどなく、ディズニーや USJ のアトラクションのような刺激だけが全てという内容だと思った。
(映像5+脚本1+役者3+音楽3+演出4)×4= 64 点。

アラ古希
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