「恐竜と人類のおバカ度を競う映画だったけど、一番のお馬鹿さんは脚本家だったように思う」ジュラシック・ワールド 復活の大地 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
恐竜と人類のおバカ度を競う映画だったけど、一番のお馬鹿さんは脚本家だったように思う
2025.8.8 字幕 MOVIX京都
2025年のアメリカ映画(134分、G)
人気シリーズの第4弾(パークを含めると7作目)にて新章
恐竜の遺伝子組み換え実験を行っていた島にDNA採取に向かう一行とその近辺で難破した家族を描いたSFスリラー映画
監督はギャレス・エドワーズ
脚本はデヴィッド・コープ
原題の『Rebirth』は「生まれ変わる」という意味
物語は、2005年のフランス領ギニアのサン・ユベール島にて、恐竜の遺伝子操作実験が行われている様子が描かれて始まる
そのエリアは厳格に管理されていたはずだったが、研究員のウィリアムズ(アダム・ロクスレイ)の不注意から密閉装置が故障し、それによってDレックスと呼ばれる恐竜が外に出てしまった
管理するインジェス社は管理を放棄し撤退
島は遺伝子操作された恐竜などが住む「立ち入り禁止区域」となってしまった
それから17年後の2025年、その島に生息する恐竜のDNAを欲しがる男が現れた
男はマーティン・クレブス(ルパート・フレンド)と言い、製薬会社の幹部を務めている人物で、恐竜のDNAによって新薬の開発に取り組もうとしていた
彼は元軍人の工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)に膨大な報酬を約束し、チームを編成させることになった
ゾーラはかつて軍にいた頃に10年ほど組んでいたダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)を訪ね、彼の仲間と共に目的を果たそうと考えていた
そして、恐竜研究の第一人者でもあるヘンリー博士(ジョナサン・ベイリー)を加えたメンバーでサン・ユベール島へと向かうことになったのである
一方その頃、彼らの進むすぐそばの海域では、海洋旅行を楽しむルーベン(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)一家のヨットがあった
物語は、ルーベンたちがモササウルスに襲われ、その救難信号をダンカンの船が感知するところから動き出す
マーティンは無視して目的を遂行しろというものの、ダンカンは人命第一を譲らない
結果として彼らを保護し、そのまま島へと向かうことになった
だが、モササウルスと共にスピノサウルスも彼らの船に近づいてきて、彼らは岩礁地帯に突入し、島に上陸せざるを得なくなってしまう
ゾーラたちはは2時間後に設定していた救援隊との合流のために、島に設置されている研究所のヘリポートを目指すことになったのである
映画は、ゾーラ一行とルーベン一家が別行動を余儀なくされ、その先々で危機に瀕する様子を描いていく
ゾーラたちは目的であるDNAの採取を行いながらヘリポートを目指し、ルーベンたちは島に張り巡らされたパイプラインを辿って村を目指していく
そして、その過程において、島の様々な恐竜と遭遇することになるのである
基本的に「おバカ系ムービー」で、バカなキャラがバカな行動を起こして危機に瀕するというパニック映画で、人間と恐竜のどっちがバカなのかを競っている映画にも見える
冒頭のスニッカーズの包み紙が研究所を破壊するに至るように、その管理下でその行動はあり得ないだろうというツッコミが多数登場する
さらに、冒険を中心に描けば良いのに、ゾーラとダンカンの昔話を無理やりねじ込みつつ、ルーベン一家の軋轢みたいなものも描いていく
そうした安めのドラマが延々と繰り返されるので、あまり緊張感を感じないように設定されていた
この手のドラマがなく、ひたすらジャングルの中を疲弊しながらもサバイバルしていく方が見応えがあるのだが、ファミリー映画なので、無駄に思える逸話を緩衝材に使っている
緩急をつける意味合いでは良いと思うが、状況を考えると与太話をしている場合ではなく、全てが未知の世界で会話をしている余裕などはないと思う
映画は、遺伝子操作系恐竜が登場し、ラスボスとしてDレックスと呼ばれる「ほぼ怪獣」が登場する
無論、戦ってなんとかなる相手ではないので逃げるための策を講じるだけになるのだが、ここで「どこかに眠っていた真のラスボス(Tレックス)」の登場を期待した人は多かったと思う
それをやってしまうと過去作の焼き直しじゃないかと思われるが、見たいものを見せて欲しいというのが率直な感想だろう
本作に足りないのは「大型恐竜同士のガチバトル」であり、単に人間が逃避する姿を映しても何の醍醐味もない
あの研究所を木っ端微塵にぶっ壊して、残されていた燃料タンクが大爆発する中を逃げる、という方が迫力もあったと思うので、そういった方向に向かわなかったのは残念に思う
ドラマパートもゾーラとダンカンが過去話で感傷的になっても、その後の進展はほとんどなく、ヘンリーを見直して距離が近づくというのもない
さらにルーベンの娘テレサ(ルナ・ブレイズ)とザビエル(デヴィッド・アイアコノ)が密かに抜け出して情事になりそうな展開もなかったりする
お約束的でおバカなシチュエーションも足りないので、アトラクションムービーとして楽しめた人だけが勝ち組のように思えた
いずれにせよ、さらっと流されているイザベラ(オードリナ・ミランダ)が持ち帰ったアクイロプスのドロレス問題に全くふれないのは微妙で、冒頭で「赤道付近でしか恐竜は生きられなくなった」という解説は何だったのかと思ってしまう
おそらくルーベン一家の住んでいる地域はあまり気候的に逸脱しない地域だからOKだと思うのだが、恐竜をペットにして、その生態系から引き剥がすのはナンセンスだと思う
ドロレスが何を食べるとか、どのような修正があるかもわからない中で人の住むエリアに持ち込むことは危険であり、それが次作以降への伏線だとしても、エピローグでふれないのはナンセンスだろう
てっきり、エンドロール後にイザベルの地元で悪さをするドロレスが描かれてゾッとするみたいなオチがあるのかと思っていたが、そんなことはなかった
家族のエピソードが要るかどうかはそこまで重要ではないものの、彼らの家族へ描きたい内容が薄すぎてどうかと思う
ポンコツ彼氏が体を張って彼女を守って、父親が認めるみたいな時代錯誤なシナリオのために登場させているのなら無意味だと思う
そう言ったことよりも、恐竜に対して偏見を持つルーベンの思考を変えるとか、極端に恐れる家族に対して恐竜との距離を縮める役割を担うなどの「恐竜との関わりの中で意味があるキャラ」にした方がマシだったように思う
そうしたエピソードが重なることによって、ドロレスや仲良くなった恐竜たちがピンチを救ってくれる、というハートフル路線に向かってもよかっただろう
単に尺つなぎと場面転換のためだけに用意されているようにしか思えないのが残念で、用意された材料をきちんとうまく配置できていないのではないだろうか
コメ主さんのアイデアいいですね
大爆発系の大型恐竜の大乱闘がみたかった
私は幸いアトラクションとして楽しめましたが、あのペット恐竜は最後に気になりました
(そもそもあのペット恐竜は要らなかったように思う)
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