スティーヴのレビュー・感想・評価
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21世紀のルドビコ治療
驚きのトレイシー・ウルマン、
安定のエミリー・ワトソンらが体現する、
繊細なアンサンブルと、
ドキュメンタリーと劇映画をシームレスにする映像美学が素晴らしい。
非行や様々な問題を抱える少年たちのための実験的な学校、
スタントン・ウッド校。
ここは、社会の〈廃棄物〉とされる若者たちを受け入れ、
高額な処分場とマスコミに揶躇される過酷な現実が渦巻く場所だ。
同時に、古い教育の枠を超えた〈革新的で進歩的な教育の場〉として、
21世紀の〈ルドビコ治療〉を思わせるような、
極限的な試みがなされている。
キリアン・マーフィが演じるスティーヴは、
その荒れた環境の中で、
まるで金八先生のように、
生徒一人ひとりの内面と真正面から向き合い、
心を病みながらも希望を捨てない、
孤高の教育者像を体現している。
しかし、その描写は、
ケン・ローチ作品で彼が演じたような社会派の〈気高さ〉や、
ノーラン作品のような圧倒的な存在、
あるいは『ピーキー・ブラインダーズ』のような〈屈強さ〉
といった役柄とは一線を画す。
自己の脆弱性と葛藤を抱えながら生徒たちと向き合う〈危うさ〉こそが、
リアリティを生んでいる。
本作の際立つ特徴は、その映像表現にある。
手持ちカメラ、ドローン、ステディカム、
さらにはインタビュー映像など、
多岐にわたる撮影手法が混在しているにも関わらず、
全体として驚くほどのフィット感を生み出している。
この多様な映像言語を一つの世界観に統合するためには、
途方もない準備と緻密な計算が必要だったことは想像に難くない。
その結果、観客は、ドキュメンタリー的な生々しさと、
劇映画としての洗練された構図の両方を体験することになる。
そして、この映像の力は、
子どもも含めたキャストの繊細な芝居と相まって、
先生側の包容力、抑えられた感情の機微、
教育の困難さ、社会の矛盾、
そして人間の救済という重いテーマを扱いながらも、
映像と芝居の力で、
観客を一瞬たりとも飽きさせない密度の高い体験を提供する。
現代社会における倫理と希望の境界線を問い直す事を、
映像で表現した革新的な作品でもあるといえるだろう。
生徒たちを信じる気持ち
生きるって
辛い。
大変。
でも生きなきゃね。
スティーブに家族があるって最後になってわかってちょっとびっくり。
可愛い娘さん達。
優しそうな奥さん。
泥だらけでもびっくりしない笑
最後に生徒一人一人のことを語るシーン。
じんときた。
こんなにも愛情深く認めてもらって、見守ってもらえてうらやましい。
どの子達もスーパー手がかかるけど。
スティーブ本人も己の弱さと戦いながら生きている。
ちょっと疲れたけど、観て良かった。
キリアン、すごいわ。
沈んだ気持ちのときに
気持ちが落ち着かなくて
でもやる気もなくてローな気分のときに視聴
更生施設として若者を助けたい気持ちはあるけれど
予算もなく人手も足りず
閉鎖を通達されて八方塞がり
施設の校長であるスティーヴはとにかく疲れている
自身も問題を抱えていて二重に疲れている
それでもなんとかしたいという気持ちはあるんだ
という現状を切り取った映画
この現状に対して、考えるのは鑑賞者の皆さんです、というように
沈んだ気持ちに通じてくる映画だった
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