ジェイ・ケリーのレビュー・感想・評価
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ちょこっと出てくる豪華キャストの頼もしい仕事っぷり
いやいや、これ誰かが余命わずかとか、映画監督が晩年に撮るような映画でしょう?と、いつまでも老成とは程遠いと思い込んでいたノア・バームバックのアプローチに驚いた。インタビューを読むと、主演のジョージ・クルーニーも劇中で演じた映画スター役の過去の仕事として「自分が出演した映画のフッテージ」が流れることになって驚いたというから、自分の人生を総括するようなメタな映画とは思ってなかったのかもしれない。
ヨーロッパが舞台になると映画的ノスタルジーが溢れ出すのは日本の映画好きもアメリカ人のバームバックも同じで、その甘さと現実の人生の厳しさのバランスが作品としての勘所だと思うが、個人的にはちょっと甘さが買っていて、あふれ出す映画愛にむせるような心持ちはした。
ただ、オーソドックスなほろ苦い人間ドラマとしては決して悪いものではなく、共同脚本にシゴデキな名優エミリー・モーティマーが入っていて、勝手にバームバックらしくはないと思ってしまった部分も新コンビとしての持ち味なのかもしれない。ちなみにモーティマーはヘアメイク役で出演もしているが、モーティマー級の役者がバンバン出てくるのにも驚く。
そして豪華すぎるほどのキャスト陣が誰もが自分の持ち場をしっかり守っていて、実に頼もしいチーム。アダム・サンドラーがいいのは当然として、華のないかつてのライバルを演じたビリー・クラダップが出色。
舞台裏がすごい
ウディアレンやノアバームバックのような映画を、裕福な白人の話にすぎないとけなす向きがある。
しかし、スターウォーズもアベンジャーズもハリポタも、人気映画は裕福な白人の話である。
逆に、びんぼうな有色人種の映画が好きだと言えるか?
たとえば虐げられた北朝鮮人の話はどうだ?
白か有色か、都会か田舎か、有名か無名か、民主主義か社会主義か、西洋かオリエントか。わたしは全部前者を選ぶでしょう。まあ無理すんなって。という話。
これはオールスターキャストのバームバック映画。自分に余裕のないとき「裕福な白人の映画じゃん」とか言ってみたくなる種類の映画。かもしれない。
ジェイケリーは大スターでありながら、葛藤を抱えている。人もコトも思い通りにならない。彼の贖罪の旅の行き着く先はどこだろう。
後悔のある人が、自分の過去を知っている人に、いちばん言ってもらいたいのは「気にしてないよ」だと思う。
天使のくれた時間(The Family Man、2000年)のラストシークエンスを、みなさんもご存知でしょう。
ジャック(ケイジ)は過去を後悔し、なんとかやり直しをしたくて搭乗口から乗り込もうとしているケイト(レオーニ)を引き留める。
あのシーンでケイトが必死に慚愧するジャックに「たしかにあのときは悲しかったけれど、今は前を向いて生きていて、気にしてない」というようなセリフを言ったのを覚えているでしょう。
功労賞をもらうイタリア行きの小旅行が、ジェイケリーが自分探しをするロードムービーになっている。
その途上でジェイは、ないがしろにしてきた娘から、確執のあった友人ティムから、ブロードベントが演じた資金を断って亡くなってしまった監督から、あるいはステイシーキーチ演じる父から、長年の相棒ロンから「気にしていないよ」と言われたい。
すべてを手に入れたスターが、その虚構とは裏腹な、じっさいには思い通りになっていない家族や友情や仕事と対峙する。
結局、彼は誰からも「気にしてないよ」とは言われない。すべて自分でぶち壊してきた過去と現在を、どうしていいかわからず彷徨う。という感じのドラマになっている。
映画で表現される行動は、ジェイがイタリアへ行って授賞式に出る、だけ。時間と移動が一本道でありながら、上記の悔恨ドラマを描くために、回想や枝の人物へシームレスに移動する。一発撮りではないが、事実上長回ししているのと同じ方法論でロードムービー化してある。
それ(シームレス)を実現するための仕掛けがNetflixで同時公開されている「ジェイケリー制作の舞台裏」に描かれている。そして「ジェイケリー制作の舞台裏」は本編「ジェイケリー」よりも面白い。厳密に言うと本編を見てからの舞台裏が面白い。映画に慣れている私たちはバームバックの映画が、人生の妙趣を描くことを知っている。ジェイケリーはいい映画だった。とりわけクルーニーとサンドラーは素晴らしい演技だった。だが、ジェイケリーを描くためにやった仕掛けの凄さのほうが衝撃的だった。
ジェイのLA風豪邸がセットである。広大なフラットにらせん階段、周りの風景は巨大な発光画像である。すべて英国のスタジオ屋内にある。あの列車さえ全セットである。ミッドセンチュリー(イームズみたいなデザイン様式)の列車を完全再現して車両をまるまる組み立て、流れる風景は撮影したのを超巨大LEDスクリーンに映している。すべて英国のスタジオ屋内にある。セットだと解るか?ぜんぜん解らない。われわれが知っている「セット」とは発光力がぜんぜんちがう。自然光とセットの区別がまったくつかない。
シームレスな回想のために地続きでセットがつくってある。列車内のジェイが振り向くと娘の学校のセットがあってライリーキーオが立っている。
率直に言って、そこまでやるかと思った。厳密に言うと、そこまでやった成果がでているか、と思った。Netflixでバームバックだから80億円かけてこれができたのだろう。いい映画だとは思う。しかしジャンル的に人生のエスプリを綴るロードムービーだ。にもかかわらず、仕掛けの大仰さからしてSFを撮っているのと変わらない。お金が使えるなら、アイデアや仕掛けはどこまでも伸長する。伸長したならその成果が見えていい。だがこれはどこまで仕掛けが反映されていただろう。
たとえば写真と見まがうような細密な絵があったとして、その絵は傍らに案内人が立っていて「これは絵なんですよ」と言わなければ、人々に驚かれることはない。
ジェイケリーだって「ジェイケリー制作の舞台裏」を見なければ、すごいことをしているのが解らなかった。いい映画だったが、そんなことを思った。
映画で個人的にもっとも良かったのは豊富で表情豊かな端役たち。ジェイの視線の先にいる人々。カメラを回しているのにまったくそれを意識していない多数のエキストラの自然な表情。シーンスティーラーだったのはアシスタント役の東洋系Thaddea Graham。デイジーを演じたGrace Edwardsも良かった。また列車にいた女の子四人組うちの太めの女の子、一言台詞あるだけのパッセンジャー役だったがとても目をひいた。
imdb6.6、RottenTomatoes77%と87%。
いまいち伸びていないのは、ジェイは幸せな男なんだわってこと。クルーニー自身をジェイに同化させてあって、成功した役者人生にいまいち同情値が伸びなかった。裕福な白人だし、均してみると幸せ過ぎるのに、しんみりさせすぎだった
自分を振り返る旅路
クルーニーがいい。 父親も父親だけど、そもそもジェイは自己中だし、...
クルーニーがいい。
父親も父親だけど、そもそもジェイは自己中だし、皆とちゃんと関係がもてないのに孤独だし。でも仕事に欲があれば、子育てとなかなか両立しないのは仕方ない。厳しい描き方だとは思う。
こんな演技もできる人なんだ。
見つめ直しとやり直し‼️
映画俳優ジェイ・ケリーはマネージャーのロンとヨーロッパ旅行へ。その旅行は映画スターとしての成功の傍ら、犠牲にしてきた様々な事、娘二人との絆、ともに俳優を目指していた親友、疎遠になってる父親、そしてロンをはじめとする支えてくれるスタッフたち、そして自分自身を見つめ直す旅となっていく・・・‼️よくありがちなストーリーをジョージ・クルーニーの好演でラストまで飽きることなく魅せてくれる秀作ですね‼️ある意味、ハリウッドの闇の世界を隠す、軽快なコメディ‼️すべてが丸く収まる、ありきたりなラストではありません‼️ラストで主人公は生涯功労賞を受賞。その会場で自らの人生と、関わってくれた様々な人たちを思った時、彼の口から出た言葉は「もう一テイク」‼️再スタートを思わせるすがすがしいラストでした‼️
歯の矯正をやり直そう
スターはつらいよ?
もう1テイク
監督「カット!OK!」
俳優「もう1回やらせて・・」
意味深の冒頭、なかなか強烈で、
監督と俳優がピリつく現場あるあるのシーンだ。
映画の中の映画(劇中劇)から始めることで、
「これから見せるのは『演技』の話だよ」と観客に宣言しながら、
〈もう1テイク〉本作のテーマを提示しているようでもある。
バームバックは日常の会話、
ディテールを緻密に脚本に書き込むタイプだが、
今回はその「日常」と「演技」をシームレスにして、
観ているこちらまで試されるような緊張感を生み出している。
レストランでメニューを棒読み、
続いて、メソッド演技でメニューを読む。
これは、
演技論の基礎(マイズナー・テクニックなど各種技術)で行われるレペテショントレーニングをうまくレストランのシーンに馴染ませている。
ただの「パスタ」や「ワイン」の文字の羅列が、
感情を乗せる(あるいは乗せない)ことで、
悲劇にも喜劇にも聞こえる。
〈言葉そのものには意味がなく、どう言うかが全てだ〉という、
演技の基礎技術(あるいは恐ろしさ)を見せるバームバックらしい演出だ。
また、アダム・サンドラーの役が驚きかつ、収穫だった。
普段のコメディで見せるキレる男や、
『アンカット・ダイヤモンド』のような
「躁的なエネルギー」を完全に封印して、
『パンチドランク・ラブ』のような安定した性格の雰囲気で、
わがままなスターを支える我慢強いマネージャーに徹している。
彼がふと見せる「疲れ」や「優しさ」に、
俳優としてのまた新しい凄み、
何より本作の世界観をも背負っている。
そしてイタリア映画への愛が溢れすぎていた。
マストロヤンニ、ソフィア・ローレン、
デ・シーカ、
髪染めの黒毛のブラシは『ベニスに死す』
『ニュー・シネマ・パラダイス』は、
言うまでもないだろう。
バームバックがこれまで描いてきた〈ニューヨーカーの会話劇〉が、
イタリアの風景と往年の名画の記憶と混ざり合って、
なんとも言えない哀愁(ペーソス)を生んでいた。
よかった
成功者が今一つ調子が出ずに苦しむだけなので、ジェイ・ケリーよりも彼と同窓だったが役者になれなかった男の人生の方が面白そうだ。ジェイ・ケリーは感謝が足りない。いかに自分が恵まれているか足元を気にした方がいい。
一緒について行ったオーディションでアドリブをかまして役をゲットする場面が面白い。
娘たちにそっぽを向かれて悲しんでいるが、みんな立派に育っている。ドクズに育って金をせびられるよりずっとましだ。
評判がいいので劇場で見れず後悔していたが配信で充分だ。
タイトルなし(ネタバレ)
60歳過ぎた大スターのジェイ・ケリー(ジョージ・クルーニー)。
イタリアの映画祭での功労賞受賞が決まった。
敏腕マネジャー(アダム・サンドラー)の画策によるものだが、ケリーは気に入らない。
撮影休みの間に末娘との休暇を楽しみにしていたが、娘は友人と欧州へバックパック旅行に出かけると言う。
末娘は、ケリーの身近に残った最後の家族。
功労賞を受けることを名目に、娘を追っかけるケリーのわがままな旅がはじまる・・・
といったところからはじまる物語。
旅の節目節目で、ケリーは過去を振り返る。
内省のロードムービーとも言える。
事前情報を仕入れていなかったので、敏腕マネジャーとの確執を描いた映画かと思ってました。
なので、観はじめて、鑑賞姿勢を軌道修正。
ちょっと戸惑ったな。
スターは映画の中で役柄を演じながら、加えて、スターという役柄も演じなければならず、本人は何処にいるのか。
そういうアイデンティティ模索。
だけど、ジェイ・ケリーの場合は、本人の延長線上に、スター・ジェイ・ケリーがいたようで。
道中、ドンドンと人が離れていく様子が可笑しい。
映画の撮影においても、演技のいいアイデアが出ても撮り直してもらえないように、人生も2テイク目はない。
そんなことに気づく。
まぁ、成功者の内省・過去への追慕、それに類する映画は、個人的にちょっと苦手。
身勝手な自分に気づく身勝手さ、みたいな感じとでも言うのかしらん。
皮肉な物語が多いように思うノア・バームバック監督だけれど、実のところは少し優しいんだろうな、と思う。
ジョージ・クルーニーの演技はさすがだが?
配信(NetFlix)で視聴。
ストーリー設定はよくある内容で驚きはない。ジョージ・クルーニーの演技はさすが。
ただ、140分の割にはどこか退屈で物足りなさも感じた。時間も120分に絞ってもいい。
NetFlixにしては残念な映画作品だった。
人生考えさせられる映画でした!
合同会社everfreeで代表をしている梶清智志です。
この映画を見ての感想を書いていきたいと思います。
仕事に生きる主人公が人生を振り返る旅に出る物語ですが、
すごく色々考えさせられました。
僕も仕事中心で仕事ばかりしてしまうので、本当に大事なものを大事にできているのか、家族、親との関係、仕事仲間は本当に幸福なのかなどなど、本当に後悔はないのか、色々と考えさせられました。
そして、ここは少しネタバレ含むのですが、、、
最後の最後の最後のジェイケリーのセリフ、
「やり直せるかな
もうワンテイク」
これがやばすぎました。
しかもカメラ目線でジョージクルーニーが僕に言ってくるかのような演出。
人生は一度きり
やり直しがきかない、ワンテイクの一発本番のみ。
いかに常に自分の心に正直に自分が心から望んでいることを叶えさせてあげるか。
すごく自分の人生を振り返り、今をかえりみて考えさせられた作品。
頭ではわかっている、人生の真理。
これをいかに普段から生きていくか、すごく直面したし、そう生きていこうと決めた作品でした。
興味ある方はぜひ見てみてください。
セレブスターの自分探しなんて、贅沢な悩みだろ…と思ってたら…
よくできた作劇で、フィクションとわかっていながら、「ハリウッドスターのジョージ・クルーニー」自身が重ね合わさっていくので面白い面白い。クルーニー自身は映画評論家の息子で歌手ローズマリー・クルーニーの甥っ子。彼の奥さん役はU2ボノの娘。娘役のライリー・キーオはエルヴィス・プレスリーの孫。おじいちゃんステイシー・キーチは芸能一家。そしてスタッフのローラ・ダーンはブルース・ダーンとダイアン・ラッドの娘。著名人の家に育った天然物のセレブ達が織りなすアンサンブルは、設定だけで大笑いなのであった。
そして、ラストの回顧映像。クルーニーの出演作で純然たるアクション映画は「ピースメーカー」だけだったか、妙に抜きが多い。「バットマン」や「フロム・ダスク」あたりも引用してくれたらもっと楽しかったのに。
ノア・バームバック今回も圧勝。
功労賞
ジョージ・クルーニーだから成立する映画って感じがする。
冒頭のシーンから大スターの貫禄を感じると同時に、どこか自信のなさみたいなものも感じ取れて…それは彼の心が空虚だからなのかもな〜って思ったり。
ジェイ・ケリー(ジョージ・クルーニー)は俳優としては大成功して、でもプライベートでは妻と離婚し長女とは疎遠、末娘デイジーに執着するも逃げられてストーカーばりに追いかけ回す。
始めは彼に同情して観ていたんだけど、過去のティモシー(ビリー・クラダップ)との一件で心がぐらつき、更にロン(アダム・サンドラー)がどんどん追い込まれていくのを観てたら苦しくなってきて。なんかもう娘にも周りにいた仲間にも見捨てられて1人になるのかなって…でも自業自得だよね。
いちばん好きだったのは授賞式前にロンがジェイ・ケリーにメイクしてるところ。何とも言えない長年行動を共にしてきた2人の空気感が伝わってきてよかった。その後の授賞式のシーンもね。
ただ、これは年齢を重ねた人には沁みる映画かもしれないね。私はまあまあでした。
バビロンのようでバビロンとは違う
ノア・バームバック作品はイカとクジラ、マリッジ・ストーリーのみ視聴済みで、どちらも自分の好みには合わなかったためあまり期待せずに鑑賞したが、今作は今年の新作の中でも一二を争う傑作だった。
カメラの前では役を演じ、公の場ではスター俳優を演じ、人生の全てを演じながら生きてきたジェイ・ケリーは素の自分を見失い、父、娘、かつての親友と、愛するすべての人から少しずつ拒絶されていく。それでも彼が演じる姿は数えきれない人々を魅了し、それは確かに大きな功績として残っていくという究極の映画讃歌だった。
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