「鳥さん、大忙しDeath」終わりの鳥 かぼさんの映画レビュー(感想・評価)
鳥さん、大忙しDeath
予告編で本作を知ってジャケ買いの様に劇場鑑賞。
A24製作、英米合作、クロアチア人監督で、
死をテーマにした寓話で、誠実な良作でした。
目のドアップから始まる映画にハズレ無しと、勝手に思ってますが、本作もそんな感じで始まる(だったと思う。若しくは地球?)
病に侵された少女Tuesday(本作原題)と彼女の母親の疲弊した生活の中、ある日Deathと名乗る鳥が少女の前に死を与える為に現れる。
少女は母が仕事で不在中の死は受け入れ難く、鳥の姿の死神に冗談を交えた会話で対し、その肝の据わった態度を気に入った鳥も死を与えずに会話に応える。
そこに母親ゾラが帰ってきて…と、とてもシンプルで淡々と物語ます。
そこからより寓話的に親子と鳥の話が展開していく中、
鳥がその少女に時間を与えてる間に適切な時に死を与えられない人々が増えて、街が混乱している所を匂わすぐらいで描いてるところが好きです。
鳥さん1人(1羽)で死を司ってる⁉️忙しいのに自覚なさすぎだし、余談の様に外が混乱してる様子もとても良い感じで寓話的です。
とても誠実な映画だと思ったのは、死をテーマにするにあたり、死ぬ事について著名なエリザベス・キューブラー=ロスの「死の受容のプロセス」に沿ったと思える展開で、そのプロセスは「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」という段階が死を迎える本人の心理に現れるとされる事で、本作でチューズデー本人は、もう「受容」する段階にいるのだが、母親ゾラは娘の死に対して「否認」の段階で話が始まってて、仕事と称して家を出て公園で1人時間を潰すとこは、「否認」状態での現実からの逃避行動だし、鳥を「怒り」で食べちゃうとことか、そこはかとなく描写してる様に感じて、その塩梅が絶妙で心地よく観てました。
特に「抑うつ」段階の描写と思えるかつて娘と楽しく座ったソファーで1人でいるゾラの姿に、ああいい映画だなぁって心に染みました。
あと、死の鳥がオウムの姿である意味が、最後に生きていて、Deathが娘の言葉をゾラに伝える時に上手いなぁ〜って思いました。
自然の摂理で死を語り、西洋的神の不在と輪廻を匂わせて、精神の不滅を謳ってる様な映画で、映画館で見逃しても、配信でも良いのでおすすめします。
こんばんは。共感ありがとうございました。
上映中にちょっとした既視感みたいなのがあってそれが何だか思い出せなくてもやもやしていたのですが,そう,まさにキュブラー・ロスです!
ありがとうございました。おかげですっきりしました。
どうも,お邪魔しました。