「「終」 エンドクレジット短か!」ぶぶ漬けどうどす 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
「終」 エンドクレジット短か!
2025年映画館鑑賞61作品目
6月17日(火)フォーラム仙台
レイトショー1500円
監督は『白鍵と黒鍵の間に』の冨永昌敬
脚本は『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』のアサダアツシ
粗筋
漫画の原作も手がけるフリーライターの澁澤まどかの夫の実家は京都で老舗の扇子屋さん
夫の仕事の都合で東京暮らしだが京都を漫画のネタにするため新幹線で行ったり来たりしているまどか
夫の浮気をきっかけに京都の実家に移住し跡継ぎになることを決意
なんやかんやで舅はネットの書き込みが原因で逮捕され姑と夫は東京でマンション暮らしとなりまどかとまどかとコンビを組む漫画家は安西莉子の扇子屋を継ぐことに
いたいけな余所者の主人公が京都の人たちに虐められる話ではない
老舗に拘りすぎて空気が全く読めない圧が強すぎで思い込みが激しい自己中の漫画原作者が京都でトラブルを起こすサイコパスコメディーである
人間関係のトラブルをコメディーにした作品といえば天野千尋監督の傑作『ミセス・ノイズィ』を思い出す
京都を舞台にした傑作コメディーといえば『舞妓はレディ』のような温かさは微塵もなく終始ピリピリしている
はじめはニコニコしていた京都の女たちも空気が読めないまどかに我慢ができず怒りを爆発させるところが面白い
その中に青髪の奥様がいてみんなが怒っているのにその人だけなぜか度々高笑いをする
笑いながら怒る竹中直人でもないが
まっ笑いのツボは人それぞれ
『ミセス・ノイズィ』をコメディーだと思える人もいれば思えない人もいる
葬儀に出席すると人の悲しむ顔を見て笑ってしまう蛭子能収ではあるが流石に前の奥さんに先立たれた時は笑わなかっただろう
たしか『高校教師』で真田広之演じる主人公が笑いの起源は威嚇だと仮説を述べたことを思い出す
そもそも笑いの起源とは「笑いとはなんなのか」とか仮説がさまざまあり専門家の間でもまだまだ結論は出ていないそうだ
実際京都の人は古いものに拘り新しいものを拒絶してるわけでない
そんな簡単なこともわかろうとしない偏見に満ちた余所者の勝手な思い込みである
京都出身でなくてもそれくらいわかるわ
僕は彼女のキャラが好きになれない
だからと言って深川麻衣が嫌いになるほどの単細胞ではない
自分は頭が悪い方だがだからと言って主人公と共感できないから作品を低評価するようなアホではない
自分も余所者なのに余所者を拒絶する滑稽さ
道民らしき人だろう大阪出身の田中将大がいなかったときもオール道民で駒大苫小牧は全国制覇をしているので誇りに思うという発言をネットで見たことがあるがそもそもアイヌ以外の道民は全て余所者だ
終始BGMがうざい
邪魔くさい
歌詞無しでこれだけ迷惑なBGMも珍しい
シャワーの音ひとつで浮気だと空気で読めるスッキリとした表現は良い
日活ロマンポルノなら濡れ場やヌードなど町田商店のラーメンのスープのようなコッテリとした表現が必須だがこの作品には全く必要ない
その浮気相手が漫画の相棒というのも笑える
夫浮気相手が自分よりブスで仕事仲間なら女は割り切れるものだろうか
最初見たときメイクも手伝ってオカマかな思ったら女だった小野寺ずる
嫌いじゃない
漫画は本人のものらしく彼女は漫画家でもある
演出家兼俳優で気仙沼出身である
宮城の県北出身となると急に親しみが湧いてきて応援したくなる
人間嫌いな自分でも距離が遠いと好きになれる
なにかといえば琵琶湖に行くヒロインと教授
そういうものなの?
知らんけど
いけずって京都の方言なのか
ちびまる子ちゃんによく登場する言葉なので静岡弁だと思っていた
なぜかこの映画には愛知のメーテレが関わっている
オープニングクレジットのためエンドクレジットは極端に短い
観客に対しても「ぶぶ漬けどうどす」?
うまい
まっ地元の中には「本当の京都はこうじゃない」と抗議をする者も何人かいるだろう
これはパロディーであり誇張である
黒人差別だと手塚治虫を糾弾する偽善的なめんどくさい人々と同じである
関西人はプライドが高いから面倒
そのくせ他地域を見下す人もいるから残念
願わくば全国のイオンシネマでも隈無く上映されるべき作品だと思う
多くの人に観てもらいたい知的なコメディー
今更だがなぜ「老舗」と書いて「しにせ」と読ませるのか
深川麻衣の口元の二つのほくろくらい気になる
配役
京都に嫁いだフリーライターに澁澤まどかに深川麻衣
まどかの夫で母からは「14代目」と呼ばれている澁澤真理央に大友律
真理央の父で13代目「澁澤扇舗」店主の澁澤達雄に松尾貴史
真理央の母の女将の澁澤環に室井滋
まどかとペアを組む漫画家の安西莉子に小野寺ずる
老舗料亭の女将ほ竹田梓に片岡礼子
町屋カフェの雇われ店長の江田千恵美に山下知子
和菓子店の女将の松原伽耶子に森レイ子
老舗料亭の女将のたなか美園に幸野紘子
洛中洛外に反応する女将の舟木貴和に守屋とみ
京都出身ではないが京都美術大学教授で喋り方にクセがある中村航に若葉竜也
東京出身だが大学進学から30年京都に住んでいる不動産屋の上田に豊原功補
赤飯配達の山吹屋に尾本貴史
TVのプロデューサーの荻野に遠藤隆太
京都府警の刑事に福吉寿雄
舟木の友人の女将に河井ここ
舟木の友人の女将の赤田真季子
取材カメラマンに塩谷泰伸