「ほんま、ええもん、見せてもうたわ。」ぶぶ漬けどうどす ヤマナさんの映画レビュー(感想・評価)
ほんま、ええもん、見せてもうたわ。
京都のお人やったら一度も口にしたことも聞いたこともない、あの言葉をタイトルに、スタッフも含めて京都のお人が一人も出んと作らはった京都映画。でも、これがようでけたはる。
舞台となる澁澤扇舗は先史時代からマンモスの皮を剥いで扇子にしていた老舗どす。店には、いつ誰が作ったかわからん扇子がぎょうさん飾ってあって、おくどはんでは未だに薪をくべて火をおこしたはる。
ここの長男と結婚したまどかはん、東京のライターで漫画家の安西ちゃんとコミックエッセイ『京都老舗赤裸々リポート』を作ろうしたはります。でも、築百年の銭湯を改築したカフェも、老舗菓子店で今一番売れているものも興味ないらしい。もしかしたら、京扇も?!。でも、そんなまどかにお義父さんとお義母さんはやさしい。不動産会社の上田社長にそそのかされて、テレビに出ていらんことをして女将さんたちを怒らしても、叱らんと「テレビに出てくれたおかげで、お客さんがよーけ来はるようになったわ」と言うてくらはるし。着物もくらはった。ついでに西村のエーセーボーロもくれたらよろしいのに。「おおきにお義母さん」
京都では、町屋が壊されてマンションがあっちこっちに建って、お義父さんは「京都人のフリをしたヨソさんが京都を乗っ取ろうとしている」と嘆いたはる。そんな時、上田社長が澁澤扇舗をマンションに建て替えようとしていることがわかったんや。しかもこの上田、京都人やのうて、葛飾区出身の江戸っ子や。そこで、まどかはん、私が京都を守るんやと『京都老舗赤裸々リポート』で攻撃。ケチョンケチョンにいわして、上田に「町屋の売買から手を引きます」とまで言わしてやった。
京都人のフリをしたヨソさんが京都を乗っ取ろうとしているのを阻止したまどかはん。でも、このあと、トンデモナイことが起こるんや。京都大作戦のTシャツ着て警察に引っ張られるお義父さん。それを「お父ちゃん腰が悪いねん、やめて!」と叫ぶしかないお義母さん。そして、自称14代目女将まどかの一言。お義父さんの嘆きはほんまになってしもたわ。