ファンファーレ!ふたつの音のレビュー・感想・評価
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美しい音楽を臨場感のある音で聴けて楽しかったです。ベートーヴェンのエグモント序曲、メンデルスゾーンのフィンガルの洞窟など、聴く機会が少なかった曲の良さを認識できました。モーツァルトのピアノコンチェルト23番はとても好きな曲でしたのでちょこっと流れて嬉しかったです。「クリフォードの思い出」は全く縁が無かったですが、知ることができてよかったです。映画館からの帰り道にさっそく聴いてます。
展開が早い割にところどころ冗長に感じる部分もあり、音楽が圧勝の映画でした。またストーリーのウェット過剰さに比して、フランスオーケストラの絶妙な湿度が心地よく、むしろ情緒に触れました。ただ映画館ではところどころ笑いも起きており、わたしもサブリナ役のサラ・スコさんがコミカルでニンマリ、全体としては、おもしろかったです。
良い映画です。
音楽の力と楽しみ方の多様性を爽やかに教えてくれる
楽団と楽隊、でもどちらも心躍る! この【血】の繋がりは濃い
前提にあれこれ説明つけてもったいぶらずに、スパッと兄弟の結び付けに入って行くテンポの良さが心地よく、それは最後まで続いてくれて、ダレることなく観ることができた。
個人的には弟のジミー、彼の強面だがナイーブさが垣間見える表情が好き。
置かれた立場もすんなり受け入れながら、それでもひがんだり悩んだり、人間臭さも前面に出たり引っ込んだり、愛すべきキャラでした。
それに比べて兄ティボは置かれた立場が違うから、やや上からな態度や傲慢さも顔を出すが、善き人であることは疑う余地が無い。
周りを取り囲む人たちも総じて善人で、置かれた立場は苦しいはずなのに、暗さを感じさせないのが良かった。
そして音楽のチカラ!古いとか新しいとか、そんなことではなくて、音を聞くだけ・奏でるだけでエネルギーが満ちてくる。
最後のボレロには椅子に座りながらも身体がスゥィングしてしまいました!
韓国映画の【最後のピクニック】を観た時には、遠くの身内より近くの友だな、なんて思いましたが、本作は正に兄弟としての【血】がとても重要。
話しは逸れますが、本作を観る直前、赤十字からのメールで「あなたの血液と適合する患者さんが輸血を求めています」と届きました。
もうずぅっと長いこと献血をしていますが、このメッセージが届くのは3回目だと記憶しているくらい、適合するのは奇跡的なんでしょうね。
なんて心新たに献血協力の連絡をして、予約を入れさせてもらいました。
王道なのにどこか斬新さも感じる見事な三幕構成
劇場で本作のトレーラーを観て、「これは楽しめて泣けること間違いなし」と確信して楽しみに待っていた本作。本編開始と共に「FESTIVAL DE CANNES」のロゴを見て更に期待が高まります。
自分が白血病であることを知り、ドナーを探すことになって初めて“自分の出自”に複雑な事情があったことを知るティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、実の弟であるジミー(ピエール・ロタン)に会うため北フランスのとある田舎町を訪れます。と、この設定だけでも一つ映画が作られておかしくないくらい興味をそそりますが、これについては驚くほどに潔く序盤の短い時間で一気に片づけられます。
その後、ジミーからの骨髄移植により体調が回復したティボは、弟にも自分と共通する“音楽に対する才能”があることに気づいて興味を持ち、更にはジミーの所属するワランクール炭鉱楽団のメンバーとも関りを持ち始めたことで、何かしらジミーの音楽活動をサポートできればと考えるのですが…
フランス映画、特に本作のようなヒューマンドラマを観ていると大概にして避けて通れないのが、お互い主張を譲ろうとしない“言い合いシーン”。オブラートに包むことなくストレートに本音をぶつけ合っているため、聞いてて居た堪れない気持ちになりますが、不思議と“悪意よりも愛”を感じるという意味ではどこか“あこがれる気持ち”もあります。本作でも家族間や友人同士で衝突が絶えませんが、反面でお互いを気遣い合ってることが解っているからこそ、多少口が過ぎてもそれを赦し再び手を取り合う様子に深い愛を感じます。
そして、本作の重要な要素である音楽についての掘り下げ方も見事で、私のようにその素養がない者にとっても取っ付きやすく、またオーケストラにとって指揮者が如何に重要かということを解らせてくれる実演シーンの数々は見事。特にワランクール炭鉱楽団の練習は気の置けない仲間同士のヤジなども絡みつつ、味のある演奏に自然と体が動きます。
さらに、意外とは言わないまでも、どこかで願っていた流れとは違った終盤の驚きの展開、誰しもが否定しようのない“ベタだけどやっぱりそれが欲しい”お約束な選曲と締めを喰らって感情は最高潮。飛び石連休連休狭間の平日午前の回でしたが、まあまあな客入りのヒューマントラストシネマ有楽町シアター1は、エンドクレジットが終わって客電が点くまで皆さん着席されたまま。
観終わって“噛みしめ甲斐”のある本作の余韻に、王道なのにどこか斬新さも感じる見事な三幕構成だったと思い知らされました。いい意味で予想を覆され、満足度高い一作です。
期待通り
設定は既視感がありますが、素直に感動。
音楽とスポーツには否応なく感動させられてしまいます。理屈じゃありません。
ティボのピアノや一流のオーケストラ、そしてあまり上手くない吹奏楽団。音楽のシーンを見ながら、自分の思い出も頭の中を巡って懐かしい気持ちになりました。
レコードのプレゼントからの音楽部屋でのあれこれの流れがすごく好きです。音楽を通して2人の距離が一気に縮まる。本来なら子供の頃に叶っていたかもしれない兄弟連弾のシーンが微笑ましかったです。
そして、最後にあの素敵なシーン。途中の乱闘騒ぎと共にラストも金八先生にでも出てきそうなベタな演出だけど、やっぱり良いですね。
ボレロって同じフレーズの繰り返しで一見つまらなそうな曲だけど、最初はとても弱い演奏から始まってひたすらクレッシェンド。どんどん壮大になって気づいたらこちらも巻き込まれている、不思議な曲ですよね。
育ての親も、とても愛情深くて素敵でした。
「1日15時間」
『ラベル』の〔ボレロ〕は、本作のような使い方でこそ生きて来る
世界的に名を知られている指揮者にして作曲家の
『ティボ(バンジャマン・ラヴェルネ)』が白血病に倒れる。
ドナーを探すうちに、自身が養子であること、
血の繋がった実の弟がいることが判る。
弟の『ジミー(ピエール・ロタン)』は
別の家族の養子となっていたが、
葛藤の末に骨髄の提供を承諾する。
一旦の完解を得た『ティボ』は
礼に訪れた弟の家で、
彼が素人楽団でトロンボーンを吹いていることを知る。
今度は兄が助ける番。
次々と襲い掛かる楽団の難局に、
共に知恵を出し、立ち向かっていくのだが・・・・。
{音楽映画}に駄作無しと個人的には思っている。
とりわけオーケストラをモチーフとした群像劇は
成功確率が高いよう。
一方、個人に焦点を絞ったものでは、
直近の〔ボレロ 永遠の旋律(2024年)〕のように
不完全燃焼な一本が多い。
同作では〔ボレロ〕完成までの過程を描くものの、
初演のカタルシスに対し、
作曲までの長時間の呻吟や強い懊悩が前に出過ぎ、
陰鬱な空気に貫かれてしまう難。
一方本作は、ある意味で王道を行くもので、
ラストのシークエンスでは感涙がこみ上げて来る。
団員たちが、これほど暖かい表情で演奏する一曲を
嘗て観た記憶がないほど。
ちなみにその楽曲こそ、
先に挙げられた『ラベル』の〔ボレロ〕。
もっとも中途の過程では、
選曲の変遷を含め、
観る側の事前予想を
(良い意味で)ことごとく裏切ってくれるのだが。
プロの指揮者である兄が、
素人たちにどれだけ丁寧に教えても、
使用言語が異なることで伝わらないもどかしさ。
たまたま養子に貰われた家庭の格差が
その後の人生に大きく影響する皮肉。
斜陽産業である鉱山を母体とした楽団が、
企業や行政に見放されて行く世情。
一波乱二波乱どころか、
三つも四つも新たな展開を用意し、
最後は予定調和の大団円に収める脚本の妙が素晴らしい。
一軒、多幸感のあるファンタジーにも取れるが、
舞台となったフランスでは
「黄色いベスト運動」に象徴されるように
格差は拡大をしているよう。
話中でも、炭鉱が閉鎖されたことにより
多くの失業者の生活に影が落ちるエピソードも示される。
資本家や官憲に対するレジスタンスは、
必ずしも強硬な姿勢ばかりではなく、
ソフィスティケートされた手法でも
十分に人心に訴えることを本作では見せてくれる。
違う人生を”奏でた“兄弟のクライマックス
エグモント序曲とボレロで、ふるえた。
映画館の音響で聴く、生オーケストラの臨場感
音楽はとても素敵でした。
音楽の力で、生き別れた兄弟の心の距離が次第に縮まっていく・・・この映画は、音楽の持つそんな魅力を伝えているのだと感じました。
ただ、いくつかのエピソードがやや中途半端に思えました。それがフランス流なのかな?結果的に、映画にそこまで没入できなかったです。
ラストのオチを見据えて、逆算的にストーリーを構築しているような気がします。
一致したのは骨髄だけでない兄弟の絆
お互いに兄弟がいることを知らずに育った二人の絆を描く、フランスらしい人情ドラマで、こう言う話にヨワイです。白血病になった世界的指揮者が骨髄ドナーを探すうちに生き別れた弟がいることがわかり、ドナーになってもらうまでが、なんと10分くらいと言う展開の速さにビックリ。やがて弟が絶対音感を持っていることが分かり、彼自身いまの生活から脱却しようとするお話しと、工場閉鎖に伴う地元の楽団の話が中盤からの展開だけど、ちょっと散漫で中弛み感があります。また、指揮者と育ての母や妹とのその後の関係も、あいまいな感じです。それでも、音楽を通じて人々や兄弟が一体になっていくのは、観て聴いていて面白く、最後の掟破りのようなセッションはとても気分がいいです。役者では、バンジャマン・ラベルネが地味だけど落ち着いた指揮者振りがいい感じです。途中からリリー,フランキーに見えてくるけど。弟役のピエール・ロッタンは、『秋が来るとき』での演技がよかったけど、今回はもう少し複雑な心境をうまく演じていました。
楽団が楽しそうだった
世界中を飛び回るスター指揮者のティボは、指揮の途中で倒れ、白血病と診断された。ドナーを探す中で、自分が養子であること、そして生き別れた弟・ジミーがいることを知り、骨髄移植をしてもらった。ジミーは、炭鉱の寂れた町の食堂で働きながら、仲間と吹奏楽団を楽しみに暮らしていた。育った環境も性格もまったく異なるティボとジミーだったが、ティボはジミーが絶対音感を持ち、類まれな才能を持っていることを知った。ティボは弟のジミーを何がなんでも応援することを決意し・・・さてどうなる、という話。
兄弟がバラバラになった経緯もよくわかったし、両方とも音楽の才能が有った、という設定も良かった。
音楽は演奏を聴くのも良かったし、楽団員がみんな楽しそうだった。
兄が海に入ってくシーンは残念だった。
ロン・カーターは気持ち高い
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