「期待したことが間違いだったみたい」ストロベリームーン 余命半年の恋 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
期待したことが間違いだったみたい
十代女優では最推しの當真あみ主演であり、相手役が今十代男優では一番上手いと思っている斎藤潤なので公開を楽しみにしていた。
【物語】
桜井萌(當真あみ)は両親(ユースケ・サンタマリア、田中麗奈)から深い愛情を受けて育ったが、病弱で小学校から中学までほとんど学校に通えずにいた。15歳になって家にから揚げをデリバリーしてくれる同い年の麗(池端杏慈)が初めての友達だった。
そしてついに医者から余命半年の宣告を受ける。家族と悲しみに沈む萌だったが、病院帰りの車の中からたまたま見かけた佐藤日向(齋藤潤)に憧れたことをきっかけに高校に入学することを決意。入学式当日に日向が同級生であることを知り、舞い上がった萌は日向にいきなり告白する。
【感想】
この手の10代俳優主演のラブ・ストーリーは中身には期待しないで役者だけを楽しむのが俺の常なのだけど、この二人なら中身も見応えのあるラブ・ストーリーを見せてくれるのではないかと期待してしまった。それがちょっと失敗だった。
いつものように期待しなければ気にならなかったのかも知れないが、まず随所で脚本に違和感。例えばほとんど家族としか接してこなかった女の子が、初対面の女の子と普通に接することが出来たり、初めてに近い学校生活で何の戸惑いも躊躇も無くクラスメートと接することができるって・・・。 生まれながらの人付き合いの達人か???
そもそも、中学まで病弱であるがために学校に通えなかったのに、「高校行きたい」という萌の気持ちを尊重するだけで、数か月とは言えなぜいきなり普通に高校に通える???
また、萌が元気過ぎ、明る過ぎで病人に見えない。あえて元気に振舞っているという設定なのだろうが「一生懸命そう演じてる」感をにじみ出して欲しかった。そこは當真あみの演技力、役作りの不足だと思いながら見ていた。 ただ後から思うと、同様の「深刻な病気を隠して恋をする女の子」作品として“4月は君の嘘”や“君の膵臓を食べたい” が頭に浮かぶが、広瀬すずも浜辺美波も前半は病気っぽいところは微塵も見せてなかったと気付いた。 それが気にならなかったのは、観客にも終盤まで病気を隠していたからだろう。それに対し、本作は観客には早々に病弱で余命半年と宣言してしまったことに違いがありそう。 つまりそういう構成で物語を進めると、役作りのハードルがすごく上がり、これまでの作品で演技力もあると思っていた當真あみでもそのハードルは超えられなかったということだと思う。 原作どおりの展開なのかも知れないが、映画作りとしてはそういうことも含めての脚本力だと思う。
一方で斎藤潤はいい。無理ある萌のアプローチに対しても、極めて自然で違和感の無い絶妙な“受け”を見せる。「やっぱりこいつ、ただ者ではない」と思わされた。
萌の親友役池端杏慈もなかなか良かった。こちらも受けの演技が自然だった。それだけに脚本の悪さも含めた不自然さが目立つ當真あみがやや浮いてしまった。
ということで、當真あみ目立てで観賞した俺としては残念感が募ったが、次作で健康で元気な女の子役で、彼女らしさを見られることを期待したい。
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