劇場公開日 2025年10月24日

「何を言いたいのか相変わらず理解不可能に近いか」おいしい給食 炎の修学旅行 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 何を言いたいのか相変わらず理解不可能に近いか

2025年10月27日
PCから投稿

今年195本目(合計1,736本目/今月(2025年10月度)1本目)。
 ※ 投稿が異常に遅いのは、ただ単にため込んでいるわけではなく、10月に脊椎をぶっこわして外科優先していたためです。

 こちらの作品なのですが、まぁ好きな人と嫌いな人が分かれそうな気がします。
1990年と最初に出ることも考えて、そこまで考慮して採点しています。

 結局のところ、舞台が多少かわっても、給食に極端にこだわりを持つ主人公の先生と、今回でいえば岩手だったか青森だったかの給食を媒体とした交流を持つことで違う価値観を持つことの大切さなどを「給食」という小中学生にとっては身近なものを媒体にして描くコメディものとみるのが普通だと思うのですが、資格持ちは何を言いたいのかまったくわからず詰んでしまうことになります。その理由の大半が、後半から出てくるもめごとの話であり、いったい何の訴訟類型を想定しているのかよくわからない等の問題が起きることになります。

 採点は以下まで考慮しています。

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 (減点0.2/胃薬をやり取りする行為について)

 たとえ親族間などであっても、これは当時の薬事法(現薬機法)に触れる行為です(ただ、緊急時の地震の緊急避難施設先などで行われる、最小限度のものについてまでどうこういう趣旨の法律ではない(だから、お薬手帳は常に携帯せよというようになっている)。主に、習慣性のある一部の薬品や、個人輸入した薬のさらなる転売等を主目的にしたもの)。

 (減点0.5/いつの法律の知識で見たらよいかわからない・心裡留保の第三者対抗要件)

 ※ 以下において、1990年時点では、民法はまだ文語体(つまり、漢文風の文章)で書かれていましたが、そのことは度外視します(話が面倒になるので)。

 そもそも、1990年時点の民法を把握している方はレアではないのかなぁ…という気がします。
 心裡留保における第三者は、善意であれば足り保護されます。これは、民法大改正で加わったものですが、加わる前からも、94条(通謀虚偽表示)の同種規定を類推適用として善意の第三者は保護されるという考え方が普通でしたので(意志の欠缺グループ)、「結果的に見れば」どちらであっても構わないことになりますが(ただ、ここに(無権)代理が絡むと結論の異なるパターンが存在する)、このあたり常識ではない部分は説明がいるのでは…と思えます。

 (減点0.8/錯誤に対する配慮が足りない)

 当時の錯誤(95条)はそもそも「無効」であり、「今の取消し」とは違うものでした。取消しと無効は似たようで異なる概念です。ただ、それでもそもそも論として何の効果も発揮しない無効と、一応にも勘違い(錯誤というのは、簡単にいえば「勘違い」)で起きた意思表示の無効は同じものではなく「取消し的無効」といったり、少なくとも絶対的無効というような解釈はされていませんでした。

 ただそのような事情があったため、取消し理由(詐欺・強迫ほか)があったとき、無効のと取消しのいずれを選択して主張できるか(いわゆる「無効と取消しの選択論点」と呼ばれていたもの)が当時実際、問題になっていたのは確かで、このことを知っていると、何がどうなっているかわからず詰んでしまいます。

 この作品内にも錯誤にあたる(旧95条と現95条は「動機の錯誤」など概念が旧民法と部分的に同じ、異なる部分もありますので、折衷的に見たとして)部分がありますが、その後、無効を主張をしたのか(詐欺やほかで発生した)取消しを主張したのか、無効を取消的無効と解して「取消し」たのかが不明で、ここから何を言いたいのかいよいよわからなくなってしまいます。

 ※ この当時は、この事情があったため、「無効を主張して、さらに(加えて)無効にした行為を取り消せるか」とか、逆に「取り消した事項をさらに(重ねて。逆に、という意味ではない)無効主張できるか」といったある種ヘンテコな議論が実際に存在し、かつそれが実際上も重要でした。

 ※ この問題は、当時はどのように処理するかによって、不当利得(703条以下)の問題に持っていくかどうかという話とも関連があります(現在は不当利得の話には(直接)飛ばないようになっています)。

 (減点1.7/相手側の教育委員会が裁判を起こす)

 この映画最大のネタかもしれません…。
 そもそも、公立学校なので、基本は行政事件訴訟法のはずですが、訴訟類型って何なんでしょうか…。機関訴訟かなと思いつつ、機関訴訟って一応、「行政事件訴訟法の一部を改正する法律について」における、旧行政事件訴訟法にも存在はしていたのですが、「~改正する法律について」とあるように(現行の行訴法は2004年から)、原告適格の緩和等がうたわれていたわけですが、本件を仮に機関訴訟とみたとして、仮に現在の行政事件訴訟法に寄ったとしたとして「訴えの利益」って何なのかとか「原告適格は充足されるか」、あるいは、そもそも「訴訟物」(裁判上、相手方に何を求めるのか、という「裁判所に何を判断してほしいのか」ということを(ある程度)まとめたものという)が何なのか等まったく不明で、???なまま展開が進んでしまう点です。

 なんでこう変な状況にしたんでしょうか…。というより、そもそも訴えの利益すら怪しいので(機関訴訟は、要は、行政機関どうしでのもめごとなので、何を理由にもめていて、どう解決してほしいかということをはっきりとしないと裁判所は相手をしてくれません。ただ単に「仲が悪いのを仲裁しろ」というのは、裁判所も「何を審理して欲しいのかはっきりしてからきてください」ということにしかなりません)。

 かつ、行訴法では
 >民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。

 …とあるものの、教育委員会に関係する法(地方自治法等)をざっとみた限り、教育委員会(の代表者)が起こせるようなことを規定した法律はないので、そもそも論として機関訴訟を起こしても、法を満たす訴訟を提起していない(ので、機関訴訟でさえもない)、ということもありえます。となると、訴訟類型は何なんだという最初の議論に戻ります。

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 まぁ、前作でも同じことを書いたのですが、前回は地方自治法の解釈がとにかく無茶苦茶だったり(市と町の間の上下関係が明らかにおかしい、通達の発出元が不明等)、今度は機関訴訟がどうとかというようなマニアックな話に飛ばす(ただし、原告適格を満たすとか訴えの利益があるか、また、そもそも機関訴訟なのかという話は一切しない)というのが、どういう層を想定してみたらいいのか謎です…。

 というより、この映画、クラウドファンディングしていたのか、最後にかなりの協力者の方もちらほら出ますが(映画内にそれだけの人数出ていたわけではどう考えてもないので、あそこに出ていたのは、クラウドファンディングなり、積極的宣伝などで、そこにのせてもらえたのだろうと思います)、中には「行政書士事務所」すらあるんですよね…。

 というより、そうなると「教育委員会どうしで裁判を起こすことが行政事件訴訟法上妥当かどうか」なんていうことは、まずそれが機関訴訟にあたるか否か、あるいはそもそも論として、原告適格や訴えの利益は何かとかということは突っ込んでくると思うんですが、いったいどうなっているんでしょうか…。

yukispica
だーちゃんさんのコメント
2025年10月27日

この方、洒落で法律用語をならびたてて映画のコメントを書いているのでしょうかね?それならまだ良いのですが、現実ではあり得ないことを減点対象とするのなら、医療、法曹、犯罪、恋愛ですら、フィクションの映画やドラマは低評価になるでしょう。この映画を観て、今年最高と思った自分にとっては、読んで不愉快になるだけの内容でした。

だーちゃん
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