ラブ・イン・ザ・ビッグシティのレビュー・感想・評価
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会議は喫煙所で起きているんだ!
かつて見た映画『ブエノスアイレス』、きつかった。
この映画は〈男男〉の描写こそ前半だけだが、それ以外もかなりきつかった。
2019年発表の短編小説集の一編のみの映画化であるが、いつの時代の話なのか疑うようなタバコが蔓延している世界。30年前ならわかるが、20年前ならかなり減っているのでは。
学生時代から10数年を幾つかに区切って語られる。
90分間ぐらいきつかった。何度帰ろうとしたことか。
自由すぎる主人公ジェヒ。周りにいたら避けたい。
プロポーズした弁護士。広い視野を持て合わせていない暴力弁護士。
まだまだ理解の幅は狭いがフンスと元彼は自分をしっかりと持って生きている。
母はもう赤い酒は飲まないでね。息子の今が受け入れられないと勘違いするから。
ただDV夫候補とのトラブルで警察でのジェヒとフンスのお互いの言葉は良かったね。本当に必要な人や行動が何なのか。確信できた。でもその後の展開であっという間にエンディングに。
冒頭の屋上のシーン迄の出来事、いかにして伴侶を見つけ幸せを掴んだかをかなり端折っているような気がする。
ラストはmiss A'の"Bad Girl, Good Girl." という曲が使われているが、小説では元々Fin.K.Lの "Eternal Love"だったらしい。あぁ、ショック。
あの名曲を多くの人に聞いてもらえるチャンスだったのに。
以降映画からは大きく外れます。
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Fin.K.L (ピンクル)
K-POP第1世代の女性4人組グループ
日本盤が出ていないので殆ど知られていないが、私が1番好きだった韓国アーティスト。
サブスクに載っていないので今は聞く機会はないが、2019年に配信した新曲もあるの聞いて!
ゲイに関心はない
もったいないと思うのです
期待しすぎました。
韓国ドラマのダイナミックでスピード感あるストーリー展開、豊かな人物造形、その魅力は日本のドラマには真似できないものがあり。かたや、それがときに作品の粗さに通じる時があるようにも思います。
キム・ゴウンも良いし、韓国作品には珍しい難しいテーマに挑んだ意気込みは感じられました。でも今回の映画には、その粗さを感じてしまったのです。
主役2人が知り合い、無二のソウルメイトになっていく過程、親子の葛藤、そして何よりキム・ゴウン演じるジェヒの後半の突然(に映る)の変わり様に、気持ちが置いてけぼり…。
長い年月を描くと端折るものが多すぎてこうなるのでしょう。でも登場人物をもっと絞り、主役のそれぞれの心のうつろい、二人の関係の変化を丁寧に描いてほしかったのです。テーマと役者を活かしきれていない気がしました。
もったいない!
バディもの青春映画
男女の組み合わせだけど、完璧に「バディ」もので、私の好物でした。
刑事でも探偵でもヒーローでも軍人でも、先生と生徒でもないけど、バディもの。
友達であれ、家族であれ、恋人であれ、相手のありのままの生き方を受け止めて、理解し、否定しないことの大切さ。
逆に、差別・偏見を「普通」とする中年以上世代の価値観を押し付け、相手を束縛しマウントとる人間たちが、いかに傲慢で醜悪か。
それらを魅力的な2人のキャラクターと物語で見せる、素敵な青春映画でございました。
その組み合わせから、結局この2人も恋愛・結婚で終わるのか?と思わせるミスリード誘導のシナリオも上手かった。
物語の重要な小道具として、映画『君の名前で僕を呼んで』が使われていたのも面白かった。
ストレートな彼女が教えてくれる
改めて、「バディ(buddy)」の意味を調べた
恋愛じゃない関係
強い絆が教えてくれる世の中の理不尽さ
自由奔放な生き方をする女性ジェヒとゲイの男性フンス。
「社会で生きづらい」という共通点を持つ二人は、血の繋がりがある家族や恋人よりも強い絆で結ばれていたように感じる。
自己を犠牲にしてでも相手を救わんとするその姿に、幾度となく胸が熱くなり、涙がこみ上げてしまった。
ジェヒとフンスは、お互いに遠慮なく何でも言い合える関係を築いている。
相棒が傷ついていると感じ取ると、その心の痛みを分かち合おうとする。
この作りのおかげで、若い女性や同性愛者が社会で受ける苦痛が観客にダイレクトに伝わる構成になっていると思った。
自分は女性でも同性愛者でもないが、この作品はそうした人たちが社会で経験する苦しみを伝えることに成功していると感じた。
ジェヒは周囲から尻軽女として見られていたが、この映画に出てくる男性陣は第一印象が抜群に良いため、彼女が普通に一目惚れし、彼氏のことで頭がいっぱいになる様子は、現実世界で恋愛に真剣な女性と何ら変わらないと思った。
ジェヒと付き合う男たちは、最初は好印象だが、徐々に本性が現れてくる。
どの男性もよく聞くタイプの「ダメ男」ばかりで、まさにダメ男の見本市のようだった。
この映画でジェヒが最初に付き合う男とのエピソードで、初めて彼の家に行った際、旅行中の母親がなぜか帰宅したため、ジェヒをベッドの下に隠れさせるが、その結果、母親の前で見せる彼氏の極度のマザコンぶりに、ジェヒがベッドの下で気づくというコミカルな場面があった。
後から考えると、この彼氏はまだ可愛らしい方だと感じる。
ジェヒにショックな出来事があり、酒場でやけ酒を飲む場面。
最初は声をかけてくる見知らぬ男を無視していたが、フンスにどうしても外せない用事があり飲みに来られないと聞き、自暴自棄になってしまう。
男が差し出した酒を一気飲みした結果、意識を失い、目覚めるとホテルのベッドの上に全裸で、隣には先ほどの男がいた。
これで性被害を訴えても、男が「合意の上だった」と主張し、不起訴になることが容易に想像できた。
ゲイの人たちがイベントを開いている最中に、数人の男たちが突然乱入して会場を破壊していく場面。
「ゲイを気持ち悪いと思うのも権利」などと発言しており、ヤフコメなどで目にしたことがあるなと思いつつ、こんな人たちが世の中にいるのだから、フンスがカミングアウトしたがらないのも当然だと感じた。
ジェヒに予期せぬ妊娠が発覚。
それまで強気で自信に満ちた表情しか見せてこなかったジェヒが、この場面では震えながらうずくまり、そばに寄り添うフンスに弱々しい声で「怖い…」とつぶやく姿を見て、巨人の坂本選手みたいな人(子をもうける意思がないにもかかわらず避妊せずに性行為を求める男)は、この場面をどう感じるのだろうかと考えさせられた。
フンスの母親はフンスのことを「病気」だと思っており、悪気なくそう言ってくることにフンスは心を痛める。
日本の政治家の中にも、同性婚反対の理由の一つとして同様の発言をする人がいたような気がするが、医学的根拠がないにもかかわらず、影響力のある人間がそのような発言をすることで、世の中に誤った考えが広まってしまうと考えると憤りを感じた。
後半のフンスの母親に関するショッキングな場面は、結果的に「野苺酒って何やねん!」と思わずにはいられないコメディ的なシーンになっていたが、本当に悲しい結末を迎えていた可能性もあったわけで、カミングアウトの難しさを強く感じた。
結婚式の場面でフンスが何かを披露しようとしており、「いったい何するつもり?」と思って観ていたが、彼は最高の「いい奴」だった。
観ていて涙が止まらなかった。
映画の序盤、大学内でジェヒとフンスはSNSなど見えないところで陰口を叩かれまくる。
しかし、テストの場面では二人のほうが先に解き終えていることから、他の学生よりも学力が高いことが示されていた。
そこから「差別や偏見をする人間は頭が悪いから、そのようなことをするのだ」というメッセージを受け取り、自分もそう思うので激しく同意した。
ヒロイン キム・ゴウンを楽しむ
俺が通うホームのシネコンでは何か月も前から予告編が流れ始めた。普通観る作品によって流される予告編は違うものだが、これは何を観ても流されていたと思う。毎週何回も見せられ続けると、人間親しみが湧いて来る。いつしか「公開されたら観なくちゃ」になってしまった(笑)
【物語】
ジェヒ(キム・ゴウン)とフンス(ノ・サンヒョン)は同じ学科に通う大学生。ジェヒは他人にどう思われても気にしない性格、悪目立ちしながら自由奔放に生きて来た、一方フンスは周囲の人間にどう見られるか気になる性格、自分がゲイであることをひた隠しに隠して生きて来た。ところが、あるときフンスがゲイである秘密が大学のクラスメートたちにバレそうになる。好奇の目に晒されそうになったとき、ジェヒが咄嗟にピンチを救う。このことをきっかけに正反対のふたりは親しくなって行く。
そして二人は何年にもわたりルームシェアするパートナーとなり、互いの悩みを共にし、支え合いながら日々を過ごす。
【感想】
冒頭の事情プラス過去観て来た韓国映画は傑作も多いため、徐々に膨らんだ期待は鑑賞前には「凄い傑作かも?」とまでなっていたが、そこまではいかなかった。 それでも悪くはなかった。
一番良かったのはヒロイン演じるキム・ゴウン。彼女もまたヒロインとして期待が膨らんでの観賞だったが、彼女は期待通りだった。型破りな行動をとるジェヒだが、真っすぐで優しさと繊細さも併せ持つ。そんなジェヒを表情豊かに演じている。場面によってブサイクから“かわいい!”まで容姿の印象も幅広く変わる。 見た目がちょっと似ていることも相まって、“韓国の河合優実”って感じ。
国を問わずLBGTQが映画で取り上げられるのは最近の顕著な傾向で、俺はゲイの描写は生理的に苦手で辟易気味なのだが、本作ではフンスが生まれながらにしてそういう性的嗜好だという設定を示す程度に留めているので、無理なく見られたのも良かった。
劇中の会話で印象に残るのは「人は異質を排除しようとする」というセリフ。それが本作の主題であり、互いに排除しなかったジェヒとフンスの物語なのだが、「異質の排除」は恐らく人間の防衛本能あるいは生殖本能的なもの。理性で抑制しない限り、自分も無自覚にそうしてしまうのだろう。そんなことを改めて考えさせられた。
まあ、難しく考えずとも、ジェヒを観ているだけで楽しい。
生き辛さを乗り越えよう
息子の重荷はオモニ(母)も知らない
背中越しに自分はゲイだと母親に打ち明けるフンス。ビョーキが治りますようにと教会に通った甲斐があって、女子との同棲を喜んだのもつかの間、落胆は大きいよね〜と思っていたら、母親の表情は映らない。世の中どんだけこんな告白があるんだろう。
先に本作を観たと言う知人(韓国人)の話だと母親と息子の関係性は特別なもので、アレはないと言う。ゲイなんて少しでも匂わせたら、あっという間に近隣社会から排斥されてしまうし、韓国は未だ開かれていない。飲み会の光景もキレイごとではおさまらず、自国を”ヘル朝鮮”と呼んで騒ぐ若者は多いらしい。だから閉塞感の強い韓国であっても、現代っぽい、自由な若者達はちゃんと存在することを喧伝したいのだろうと言う。
いわゆる、五大姓!たった5種類の名字が国民の60%以上を占めている国。名前が同じなら、学歴、財産、家柄で差をつけたいのが人情。入学試験日には飛行機の騒音も許さないという極端さ。現実は超格差社会なんだね。『ケナは韓国が嫌い』で描かれているように、国外移住志向が若者のリアルだったりする。
生来の自由奔放さと留学での免疫もあってゲイに抵抗がなく、学位を取るほど賢そうには見えないが腹蔵なくあけすけなジェヒ。一方、ゲイの境涯に煮え切らないフンス。作家志望なら仏文はうってつけ。フランスが輩出したゲイの有名作家は世界でいちばん多い。ランボー、ヴェルレーヌ、プルースト、コクトー、ジュネ……特にジッドは愛人の”女”に子供を産ませるが、妻は処女のまま死なせ、がっつりノーベル文学賞を頂くというツワモノ。
異質な二人の同居で、起こるべくして起こる騒動を韓国あるあるで描く、ノンストップコメディ。気に入ったのはジェヒが二日酔いの朝、フンスに話し掛ける涸れた声(酒ヤケ?)あとは配役の妙!ゲイは、いかにもゲイ。クズはいかにもクズ。韓国ってホント上手い!
まあ、くだんの知人が言う通り、これはドラマであって、凡そ実態とはかけ離れたものだとしても、あの二人には、”地下茎でシッカリつながっている絆”があり、”友情”がある。それがうらやましい。
主演2人に引き込まれる秀作
何年遅れなのかな?
青春映画に新たな傑作誕生 ソウルが舞台のソウルメイト物語は靴にも注目
いわゆるサラリーマンというのをリタイアしてかれこれ5年、そんな私が毎年春闘時期の報道で注目しているのが航空業界の労使交渉で話し合われる女性職員の靴の問題です。別にその業界の出身でもないので詳細までは分かりませんが、空を飛んでるCAの皆さんも空港で接客されてる地上職の方々も以前はヒールの高いパンプスの着用を義務づけられてたのがここ数年の労使交渉で変化があったようなのです。CAの皆さんは革靴を履かねばならないのはそのままですが、ヒールの低いローファー•タイプでもOKとする会社も出てきたとのこと。また、地上職の皆さんに関しては一部の企業でスニーカーでもOKのところも出てきたようです。ここ日本では何年か前に #KuToo 運動(例の#Me…のもじりで「靴」と「苦痛」にかけていてなかなかいいネーミング)を提唱した女性たちがいて様々な職場でのハイヒールの着用に疑問を呈してきたわけですが、その象徴とも言うべき航空業界で前向きの動きが出てきたのは良いことのように思われます。
なんでこんな話から始めたかというと、本作の主人公のひとりジェヒ(演: キム•ゴウン)が、もしそういう機会があればの話ですが、立っていたり、歩いて(場合によっては、走って)いたりする航空会社の地上職の方々やCAの皆さんにハイヒールを強制するのはおかしいと、たとえ社会的な立場が上であると思われる相手に対しても、ちゃんと言えるようなタイプの人だからです(まあでも危なっかしいんですけどね)。それと、靴そのものの話で言えば、彼女、終盤の重要な場面で赤いコンバースのオールスター(たぶん)を履いて登場するのですが、そのときの服装とのコーディネートが絶妙でした(何と組み合わせているかについては本篇でお確かめください)。他にも靴にフォーカスされたシーンもいくつかあり、要注目です。
さて、物語は上記の自由奔放だけど実は繊細、攻撃的な性格で自己暗示にかかりやすく防御にまわると脆かったりもするジェヒと、ゲイであることを隠し続けて生きる 繊細で寡黙、でもエッジの効いたユーモアも捻り出せる(実は小説を書いていたりもする)フンス(演: ノ•サンヒョン)を軸に進みます。この二人が大学で出会ってから10年ちょっとの間の出来事を描いた青春映画です。で、この二人の関係がなかなか素敵です。一言で言えば友情ということなのでしょうが、私はタイトルに挙げたように「ソウルメイト」という言葉を選んでみました。魂の伴侶、魂のレベルで深く繋がっていて互いに影響を及ぼし合う相手ということなのでしょう。我々は十数年にわたる二人の関係の変化やそれぞれの成長ぶりを見ることになります。
あと、これを日本でリメイクするとしたら、キャストをどうするかについて。私のアイデアは髙石あかりと奥平大兼ですね。
「パリ13区」
ナイスバディムービー。最近はアッチもコッチも百合薔薇百合薔薇で辟易している"そっち側無理!"な人ですが、拒絶しているわけではないので、この位の「なるほどなー」だとスムーズに観る事が出来ます。結局皆んな安全地帯からヘラヘラ笑顔で見ているんですよねぇ。私は若い頃に少々トラウマな事があって好感は持てませんが。
だもんでフンスの苦悩はむしろ刺さりましたね。通常ならああいう面倒クサキャラは嫌いなのですが、今作に関しては「解放しろ!」と叫ぶ周囲の方が無理だった。
まぁ、そんな個人的な感情はさておき、二人のバディとしての距離感が今作の素晴らしさの全て。(たまに盲目にはなるけれども)お互いがお互いだけをちゃんと観察していて、欲しい時に隣にいるんですよね。だからこそのワガママ爆発も無理が無かったし、良い関係でした。
思いの外駆け足な映画でしたが、少し息苦しい思いをしている方々はちょっと映画館覗いてみてね、なんて思いましたね。
因みにタイトルはこの映画に似てる僕の好きな映画です。
友情は愛情や家族愛と同じ。
友情に徹しているのがいい。
悪口を言って騒ぐのではなく、痛みの隣にいてくれる友情。
大切な家族のように、同じ時を刻む友情。
素敵な披露宴のシーンは、予期せず泣けて声が出そうになった。
(友情モノには弱いのだ。)
男と女の友情は成立しない、と巷ではよく言うが本作でも
「女友だちみたいなもの」と
いうように女性が完全そう思っていたら友情は成立する。
(女性または男性に誤解や願望があるとマドンナ主演
『2番目に幸せなこと』のように泥沼になってしまうので、そうならなくてよかった。)
大胆でサッパリしているが強情ではないキム・ゴウン。
クローゼットゲイに徹するノ・サンヒョン。
ふたりに共通しているのは繊細さ。
その共鳴をコメディタッチにしたのは成功。
もし日本でリメイクするのなら、河合優実さんと野村康太さんでお願いしたい。
二人は最強バディ!
いまだかつてないほどの頻度で流れていた予告と大量に配布されたフライヤーにより、鑑賞を強要する圧さえ感じた本作。その圧に屈したわけではありませんが、主人公の二人がどのような結末を迎えるのかが気になって、公開二日目に鑑賞してきました。
ストーリーは、自由奔放で自分の思いを貫く強さをもった女子大生・ジェヒは、クラスメイトで控えめなフンスがゲイであることを偶然知り、彼が他の男子学生からゲイを疑われそうな場面で機転を利かせて助けたことから、二人は互いの本音を少しずつ話せる間柄になり、ルームシェアをしながらいつしかかけがえのない親友となっていき、その関係は大学卒業後も続くかに思えたが、二人を取り巻く環境の変化がその関係に大きな影響をもたらしていくというもの。
複雑な思いを抱いていたり秘密を抱えたりしているとき、そんな自分を丸ごと受け入れて理解してくれる人が近くにいることは、本当に幸せなことだと思います。本当の自分をさらけ出すことができず、なんとなく周囲と距離をとって生活していたフンスにとって、ゲイを弱みではなく自分らしさと捉えるジェヒは、初めて出会う理解者であり、あこがれの生き方を示してくれる人でもあったように思います。
周囲から誤解されがちなジェヒにとっても、自分を色眼鏡で見ることなく、正直な思いをぶつけてくるフンスが、他の誰とも違う、本音で理解し合える相手だと直感的に理解したのではないでしょうか。フンスという存在を得たジェヒが、これまで纏っていた鎧を脱ぎ捨てたかのように、穏やかで明るい笑顔を見せ、どんどん魅力が増していったように感じます。まったく正反対の二人だからこそ、変に相手の目を気にすることなく、本当の自分でいられる居心地のよさをお互いの中に感じていたのだと思います。
正直言って、このまま二人で付き合っちゃえと何度も思いましたが、二人の関係は恋愛とは別物なんですよね。こういう見方をすること自体が、自分の物差しで他者を測っているということなのでしょうね。人は、ついつい自分の物差しで測れないものを嫌悪し否定し、場合によっては排除したり攻撃したりしがちです。だから、世間の多くの人の物差しに合わないマイノリティにとっては、自分をさらけ出すことは極めて困難で勇気が必要なことなのでしょう。そんな生きづらさを感じる人が少しでも減る世の中になるといいです。
とはいえ、理解し合うのは口で言うほど簡単ではなく、気持ちがなかなかついてこないのも事実です。ジェヒの婚約者だった弁護士の怒りやフンスの母の心配も、十分に理解できます。そんな周囲の人たちの関わり方も含めて、ジェヒとフンスの心情に優しく寄り添いながら描かれる本作。世間で常識とされる見方や考え方に一石投じる作品となっています。ぜひ多くの人が観て、人間の尊厳を守るとはどういうことか、自分の常識は誰かの非常識になっていないか、一度立ち止まって考えてみてはどうでしょうか。
主演はキム・ゴウンとノ・サンヒョンで、世間の普通になじめないジェヒとフンスをいきいきと演じています。脇を固めるのは、チョン・フィ、オ・ドンミン、チャン・ヘジン、イ・サンイ、クァク・ドンヨン、イ・ユジンら。
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