ChaOのレビュー・感想・評価
全34件中、1~20件目を表示
感性の問われる作品
スクリーンの細かいところまでしっかり観てないと重要な場面を見逃してしまう "一瞬たりとも気が抜けない" そんな映画でした。
街行く人々を含め、登場人物のサイズがバラバラ。そんな所にも作り手のメッセージが込められているのだと感じました。
主人公の成長していく様を、鈴鹿央士さんが見事に表現されてました。
また、山里さんの上手さが光ってました。
最後のセリフ、いいですね。
後半にはマニア?をニヤッとさせるシーンが連続で出てきました。
この物語には、悪人が出てこない。
生きていく上で大切なことを教えてくれる。
それでいて、え?今?とつっこむところがあったり、よく観ているとクスッと笑ったり、ほっこりするところもある。
作り手の優しさだったり、細部まで計算しつくされたこだわりや技術が施されている、レベルの高い作品でした。
さすがアヌシー国際アニメーション映画祭 準グランプリ受賞作品。圧巻でした。
この作品に携わった全てのスタッフの方々に、心より敬意を表します。
観るたびに新しい発見があり、観終わった後清々しい気持ちになりました。
この映画に出会えたことに、感謝です。
そしてChaO(+猫)がとにかく可愛い!
色々な意味で惜しいとしか言い様の無い作品
毎月そこそこの数を鑑賞している口ではあるのだが、この作品を知ったのはとある掲示板の爆死映画スレッドをたまたま見たからである。そこで知る人ぞ知るスタジオ4℃制作のオリジナル作品であること、広告の類いがほぼなされず、全国200弱館の放映規模、そしてなぜか鬼滅の刃にかぶせての上映初日でめでたく?700万円とかの大爆死を喫し、歴代ワースト成績になるかもと不名誉な伝わり方をしていた。そんな作品だと終映も早かろうと考え、そこそこに近場(そんなに近くはない)の劇場が上映していると知り、慌ててフルプライス1800円で鑑賞した次第。往復3時間かけ90分の映画を観るだけでの弾丸小旅行、これで見る価値無しのZ級作品だったら返金を要求したいところだったのだが…。4℃なら問題ない、内容に関しては概ねその通りだった。星に示した通りである。だがそれ以外のところ、作品の外側の部分で(いや、これ内容にも被るか?)表題の通りとしか言えない感想に至った。以下に概要を述べたい。
なぜ惜しいのか?外面の部分(画作り)では、やはりキャラクターデザインが人を選ぶのでは?とは思う。だがそれはこの論点に於いては差程大きなウエイトを占めないと筆者は思う。言っても4℃なので癖が強いのは何時もの事で、更に言ってはなんだか皆が皆所謂インスマス面しているので、木を隠すには森理論で逆に違和感は早々に無くなる。とは言え、これは4℃をある程度知ってるひねくれ者の見方であり、日の浅いニュービーには違和感を持って有ると言っていいのだろう。他にもシナリオが某ポニョっぽいとの指摘もある。筆者は実はポニョは見ていないので判らないが、他にも似たような作品は掃いて捨てるほど有ることを考えると、メフィストフェレスではないが大体の事は先人が既にやっている事なので(パ○リの線をこえたらNGだが)許容かなとは思う。素直に驚き、笑い、悲しみ、感動したのもあるのだが。なので作品自体の評価は星の通りである。返金にならずによかったね。
しかし、マーケティングやマネジメントの話に及ぶと話は変わってくる。兎に角贅沢な作りの作品であるにも関わらず、認知が(筆者が知るだけでも)全くと言っていいほど無く、その結果恐らくは相当に掛かった制作費がペイ出来るとも知れない状態にあり、それをもって表題に掛けているものである。こんな作品が世に埋もれる、こんな事が有って良いのか?良くはないと声を出して言いたい。
この作品に掛かった作画カロリーは相当なものと推察される。音響や劇版、美術やキャスティング(例により芸人だらけだが)に至るまで相当に豪華である。その上で広告で力尽きたのか?確かに、昨今はサブスクからの収入も見込めるだろうし、何より作中の舞台が上海寄りの香港と日本のミックス染みた架空の土地なので、大陸マネーも期待したのだろうか、それにしても広告認知のマネジメントが悪すぎる様に感じた。自分がもぐりなのかと思わされるぐらいには。確かにキャラデザは一般人にアピールし辛い癖強で、マーケティング的に強気に出られなかったのか?全国200館弱規模放映ではあるが、東宝配給から外れたらそうなってしまうのだろうか?この様にかなり力の入った良作が、興行成績面で爆死の烙印を捺され、埋もれることに表題の意味を込めたつもりだ。こんな形で評価されたくなかった、観賞後の筆者の感想であり、我が事のように忸怩たる思いである。せめて五億円くらい乗せてくれたらばトントンなのかもしれないが、叶わぬ所なのかと思うと、掛けたコストに対価が見合わずお辛い気持ちになってしまう。凄い作品なのに。
売り方が不味かったのはもう取り返しが効かない。なれば終映まで(早期終映の可能性が高い)の間に何とか多くの方々に劇場に足を運んでいただきたい。自己の力が及ばずに他力本願に頼らざる得ない、不遇の今作に何とか力を貸して欲しいと言う思いは、この勿体ない作品を視聴した筆者の願いその物であり、微力ながら今作に携われたスタジオ4℃を初めとした多くの方々にせめてもの恩恵に預かっていただきたいと言う思いそのままである。
だから皆さん、鬼滅も良いけどチャオ!もね。期待を(無論良い意味で)裏切る作品ですので、是非に。
…強制するものではないですが、オススメです。
こんなの見たことない!作画もだが、ストーリーが凄すぎる!斬新かつ挑戦的な作品!!
まず作画に惹かれて視聴。
しかし、本当にすごいのはストーリーだった。
恋愛物と言ったら、なんといっても2人の障壁が見せ場。
2人の心は通じ合ってるのに、2人を取り巻く環境が許してくれないパターンである。
今回は人魚と人間とのこと。
あぁ、どうせ人魚と人間の恋愛なんてあり得ないって周りが言うパターンなんでしょ。
そう思ったら大間違い。
むしろ、周りは大歓迎で、どんちゃん騒ぎ。
それも、コメディとして演出。
今から見たことない物を見せるぞ、と言わんばかりの展開。
では、2人の障壁は無いのかというと、そんなことはない。
2人の障壁は、なんと2人の心そのものにあるのである!
しかも、通じ合ってないのは、生理的なところも含めてだ!
生理的に無理というやつである。
心が通じ合ってないまま進む恋愛物って、アリ?
それも見終わったころには、大アリだとわかる。
従来の恋愛物なら、心が通じ合った感動シーンと障壁を乗り越えた感動シーンが、別々にやってくる。
しかし、本作はそれが怒涛の伏線回収と共に、同時にやってくるのである。
感動の力が強すぎて、涙腺をぶち壊された。
これは絶対に見て欲しい。
お勧めします。
★
★ここからはもっとネタバレ注意
★
【もっと魅力を語るべきだと思い、追記します】
※個人の考察、感想です。見当違いな点もあるかもしれません。
〇ステファンの人生ついて
この物語はラブストーリーですが、ステファンの人間ドラマとしての側面も持っています。
田舎の漁村で生まれたステファンは、船の事故で両親を失います。そして、安全な船の改良に人生を捧げます。
ここで特筆すべきは、田舎で頼れる両親もいない中で、モーターを設計できる立場まで上り詰める、という人生の壮大なストーリーはあえて語られていないとのことです。
本来そこには血のにじむような努力があったと思います。
その努力の証は本編中のところどころに、散りばめられています。
印象的なのは開発の才能にたけた博士と同居している(家を無償で貸している?)ことです。毎日モーターの開発に人生を捧げていることがうかがえます。
さらに会社の出勤シーンも特徴的です。
鍋に頭をぶつけたり、バナナで滑ったり。
出勤はいつも多難なようです。
一見すると、ただのギャグシーンです。
でも、両親を失い、いくつも困難を乗り越え、それこそ何かにぶつかり、ずっこけながらも、今の会社に入るまでのステファンの道のりが、そこから透けて見えるのです。
〇小説化不可能?言葉はいらない、アニメーションだからできること。
本作は映像で語るという点にも重きを置いています。
わかりやすいのは、ステファンが今まで溜まった不満をチャオにぶちまけるシーンでしょう。
言葉は工事の音にかき消されますが、ステファンの様子やチャオの表情、姿の変化からすべてが伝わってきます。
こういった工夫はほかのシーンにも見られます。
例えば、ステファンが2人組に絡まれたチャオを助けて、ボコボコにされた後のシーンです。チャオが人間に近い姿に変身することだけではありません。そのあと意識が飛んでいるステファンの息づかいに、合わせるようにチャオが肩をゆらして呼吸するシーンが挿入されます(会社の人は本当に魚と息が合わせられるのかよ、どこで呼吸してるんだよってバカにしてましたね)。これは映像でしか語れない感動となりました。
〇「多様性を受け入れる挑戦」「他人のために自分をどれだけ捧げられるだろうか」といったテーマ
体の形が様々な人々。
人とは違う見た目をした人魚。
そしてそれらが融合した世界。
人間の犯した罪としてのプロペラとそれによる悲惨な事故。
など物語のいろいろな要素が普遍的でありながらも、今の我々に重要な問題提起をしています。
特に人魚の代表ーチャオの父親であるネプトゥ―ヌス国王から、人間であるシー社長、そしてステファンに語られる言葉は、重要なテーマを含んでおり、考えさせるものが多いです。
★
これだけ語りつくせないですが、魅力がたくさん詰まった作品です。
本作は人魚と人間の交わる壮大な世界観で繰り広げられます。
そんな中で、ただひたすらにチャオとステファンの心にフォーカスされた作品は、無数の星の中から、一際輝く一等星を見つけるような、特別な体験を提供してくれました。
私はもう2回視聴しました。
この作品が歴史に残る名作として語り継がれることを願います。
すごく好みが分かれる作品
一言で言えば「楽しいB級映画」
もちろん上記のことは馬鹿にしてるわけではなく、話の流れや人物の描写など大衆ウケではなくコア向けな作品であると感じたからです。
某サメ映画のような一部のファンが熱くなる、みたいなイメージで考えてもらえれば良いです。
始まりは記者が子供の頃から読んでた本の作者(主人公)と出会うところから始まりますが、その前に記者が人魚用の通路を使うなど交流が進んでることが示唆されてました。
そして主人公に取材をする上で本編が始まるような流れでしたが、とにかくチャオが健気で可愛い。主人公は幼い頃に両親を亡くしてて他責思考が目立つダメダメな感じですが、物語が進む上で成長をしていきました。わかりやすいのがぶら下がってる鍋に頭をぶつけるシーンが多くありましたが、それがなくなります。
まぁ恋愛物語よろしく他責主人公はチャオの頑張りを受け止めずチャオが起こしたトラブルに対して叱責してチャオと離れ離れに......。チャオパパ激怒からの主人公がチャオの存在を思い出してチャオと和解、そして現在に戻り記者がその話を編集長にして何やかんやで終わるって感じでした。
ざっくりネタバレは以上のようですが、その世界観は統一してない人の描写や演出など真面目におふざけ要素を取り入れたようなものでした。良く言えばシュール、悪く言えばくだらない要素でしたね。
ただそこを受け入れてみればとても楽しめる内容でしたね。ツッコミ前提で見るとなかなか楽しめますね。
それにおふざけの中にもきちんと見せたいシーンは力が入れてあり緩急が良くついていたと思います。
まぁ最後に見てほしいポイントが一つ。
最初声だけの編集長、ラスト姿が出るんですけど、デカいんですよ。タッパは勿論、πがね。デカπがすごい。もうそのシーンでお釣り出ましたわ。
以上長文失礼しました。
とことんカオスなパラレルワールド
絶対に普通のアニメなんか作るもんか、との気迫を感じるカオスな作品。独特のデッサンで描かれた、街ゆくモブキャラまで寸尺バラバラ、見たことも無い映像感覚。それでも、人魚姫はちゃんと美しい。もしかしたら、水中ならば人魚になれるという早変わりマジックの魔法なのかもしれないけど。
ちゃんと伏線が張られていたっぽいけど、カオスなシーンの連発について行くのが精一杯で、押しかけ女房の人魚さんがどういうことなのか検討がつかず、このまま、あやふやな結婚生活で話が終わるのかよ、と不安で仕方が無かったのですが、ちゃんと山あり谷もあり、幼い頃の記憶に振り返ったあたりで納得。ちゃんと映画がなりたってるんだなと胸を撫で下ろしました。
カオスといっても、ちゃんと説明がついていて、冒頭で「あ、そこは人魚専用ですよ」の警告に合点がいきました。これ、物凄く上手いと思う。人間と人魚、どういう関わり合いで世界がなりたっているのか、その一言のセリフで全て説明しきっている。そのお陰で、期待して先を見ることができました。
カオスといっても、他では類を見ないほどユニークでエネルギッシュでオリジナリティー溢れるアニメーションだったと思う。エンドロールで作画工程が紹介されているのは、余程スタッフがその苦労を語りたくて仕方がなかったのか。一番好きなのは、水中にあって人魚の姿のChaOとキスをするけど、一瞬で水が途切れてお魚に戻ってしまうところとか。他にも細かく見ていくと面白いシーンも満載。いつも出勤時に瓶を手渡す細かいネタ振りとか、カップを見ずに砂糖を床に注いでしまうのはちょっとやり過ぎかなあ。ティースプーンでコーヒーを飲むのは、小さい頃に自分もやってたのを思い出しました。主人公が子供の頃を辿るシーンだから、と言うわけでも無いだろうけど。
この作品の魅力を端的に言えば、「自分のことが好きでたまらないヒロイン」という設定でしょうか。そういう設定、うる星やつらに通じるところがあるなあ。やっぱり幸せなラブストーリーは華やかでいいですね。締めくくりは幾つものカップルが生まれる末広がりエンド。めでたし、めでたし。
爽やかなストーリー!
チャオ(人魚)とステファンのドタバタラブストーリー!
チャオの姿に癒されます!キャラデザが好き嫌いが別れそうですがストーリー的には爽快で惹き込まれました!ラストの付箋回収は、見事な脚本です!エンディングの倖田來未のChaOは聴いてハマります!
絵や色合いの割りに割りとテーマは重め。
きっかけ
当サイトで尖った映画やでぇ~!!と記事になっていたので観てみる事に…
あらすじ
人魚と人間のラブコメ。
感想(ネタバレあり。イヤな方はここから下は飛ばして下さい。)
結果から言わせてもらうと、興味深いと言う意味でとても面白い映画だった。
ストーリーは愛を軸に人魚人と人間の溝、環境問題、後、人間の浅ましさや醜くさをテーマとして扱っているように感じた。
最初は主人公ステファンとチャオのポップなカラみで入り、ステファンの過去が段々と明るみになると、上記のテーマを織り混ぜてストーリーは進行していく。
同時にステファンの過去が明るみになることにより物語の伏線を回収していく感じは気持ち良かった。
ただ、なんかテーマが多すぎてとっ散らかってるように感じたのも事実。もっと的を絞ってやってもいいのではとは思った。
後、ポニョを観てから観たせいか、なんかポニョっぽいなと感じた。
まとめ
絵がポップで奇抜な映画だと思っていたが、タイトルでも書いたが、絵や色合いの割りにテーマは重いと感じた。やはり尖っている!!
でも、見終わった後は爽やかな感じで終われるのでとても面白かった。
こーゆー映画はカップルで観てあーでもない、こーでもない、と言った意見を言いあいたい!!
そんな映画でした。皆さんも是非~
タイトルなし(ネタバレ)
人魚と人間が共存する上海。
人魚界のアイドル取材を任された記者の青年、すんでのところでアイドルを捕まえることができず。
が、代わりに見つけたのは、伝説の男ステファン(声:鈴鹿央士)。
人魚と人間が共存する社会を築くきっかけとなったのは、彼が人魚王国の姫チャオ(声:山田杏奈)に求婚され、結婚したことからだった・・・
といったところからはじまる物語。
強烈で独特のルックを持ったアニメで、製作のスタジオ4℃作品では、過去に『海獣の子供』を鑑賞している。
『海獣の子供』も個性豊かな描写だったが、本作ほどの灰汁はなかった。
本作では、中盤まで中心となる上海の街の描写がキョーレツで、目眩を起こしそう。
色彩は「豊か」というより「過剰」。
人物造形も奇天烈(といっても、ディズニー『不思議の国のアリス』のキャラクターを範としているように思えるが)。
ですが、ストーリー的にはオーソドックス。
チャオに恋される理由がステファンにはわからない。
が・・・
というのは、トム・ハンクス&ダリル・ハンナ『スプラッシュ』の焼き直しみたいな感じ。
全体が中年になったステファンの回想記のような態で展開するので、チャオに恋される理由を思い出すのは「大過去」。
こういう大過去形式の脚本は、あまり褒められないなぁ、と少々思った。
ステファンから過去の物語を聞き出す青年の話は、余計といえば余計かな。
何でコケそうって?
顔!デカいからや!
冗談は私の顔だけにしてですね、お噺自体は愉快だったと思いますよ。
自身の悲劇的な過去から、
新技術のエンジニアとなって夢を追い…
然し、その悲劇は…反面、新たな出逢いの発端でもある…
人生、塞翁が馬。
確かに!独特なビジュと世界観…キャラで、好き嫌いの明暗が、クッキリと分かれる作風ではありますから、
つくづく«お話の中身重視»な自分で、良かった良かった。
人魚族を【サカナ呼び】する嫌悪感は、既にワンピで通っているので、
寧ろ、魚類ビジュのチャオも…かわいいんだから、主人公は一人で二粒オイシイと思えば、、役得だろ!ってね……すまん🙇♂️🙇♂️
タイトルなし(ネタバレ)
公開して1週間もしないのに一日一回興行になりそうだったので、平日慌てて見ました。
これだけクオリティの高い映像を見せてくれたらストーリーなんていいじゃないか、と思うけど、ステファンの気持が唐突に揺れるのが落ち着かないかな。
ラストに彼のトラウマが明されるのだが、最初に屈託を見せた方が、心の成長を表現できたからドラマとして良かったかな。
それともChaOの視点だけで描いて「人魚姫」にしてしまってもよかったか。
いっそセリフを全部カットしてファンタジアにしてしまったら?
見てHappyになったし、爆死とか言われて次の機会がなかったら嫌だなあ。
「人間と人魚」という前に「そもそもお前は人間なのか?」というキャラが多すぎる
公開初日の夜にも関わらず客は10人いなかったと思う。
アニメを推している池袋でこれだと他の映画館も相当厳しそう。
だがこれを劇場で観れたことは後々自慢できるだろう。
そう思わせるほどに力はあった。
とてつもないキャラデザのクセがあった。
倖田來未のポップな主題歌で中和しきれないほどのクセの強さだ。
そもそも人間と人魚の恋という話だが「お前は人間なの?人間と言えるの?この世界では!」という感じのクセ強キャラが多すぎて。
ハンプティダンプティみたいな丸くてデカ過ぎな社長、このキャラの声が南海キャンディーズの山里なのだが人気芸人の声の軽快さをもってしても、そもそもこの社長が人間に見えない。「アニキと呼べ!」と主人公に向かって言うんだが、呼べねえよ。いやそもそも図体でかすぎなあなたは人間なの?という疑問を抱かせたままストーリーはどんどん進む。
あまりに頭がデカいおばさん夫婦、主人公の親戚っぽいのだが、親族でそこまで頭身違うことってあるの?突然変異?的なツッコミをしている間に話は動く。
面白ゴーグルをしている超小さい上司はあの社会で普通に生きていけるのか心配になる。
そう。「人間と人魚」の話以前に「人間かどうかも疑わしい人間の数々」が出迎えてくれるんだ。
俺はSTUDIO4℃の過去作はまあまあ観ているほうなのでこのスタジオのノリも分かっているつもりだが、その俺をもってしても「このキャラデザは攻めすぎだろ」と心の中で笑うしかなかった。
主人公が家を出るたびにパンイチの赤ん坊みたいな人が普通に二足歩行で歩道を歩いていて。あいつは何なん?子供なの、大人なの、そもそも人間なの?と思っていたら。後半で主人公を追ってきたしつこい記者を人魚の贈り物の如意棒を巨大化させて記者ごと吹っ飛ばす、という見せ場があったりする。あ、普通に主人公に協力的な住人なのね、と。ちゃんと伏線回収的なことはやるのね、と。その謎のこだわりが面白いんだが、その面白さに気付く前に脱落する人は多そうだとは感じた。
例えば遊園地デートのシーンで。主人公がトイレに入り電話している中、トイレットペーパーがどんどん巻かれて紙が無駄に地面に落ちて行き、最後はカラになる。トイレットペーパーもったいねえな、という感想が先に来るこの場面も、おそらく主人公のそそっかしさや、混乱した頭の中を表現している可能性はある。でも、ノイズに感じる人もいると思う。ノイズというかなんでこんな演出があるんだ的な。
同じく遊園地デートシーンで手前を横切った子供がこける場面があるのだが、あれもおそらく後半の「主人公の子供時代に悲しいことがあった」という展開をやる為の前フリみたいな効果を狙っているような気もするのだが、そうでもないかもしれない。
こだわりのキャラデザ、描写が意味深に見えてしまうのはおそらく作り手の予想を超えていたんじゃないか。
たぶん、ストーリー自体は割と単純明快だから、演出やキャラデザインでちょっと挑戦してみたのだと思う。
人間キャラがあれだけ奇抜なデザインなのも「人間も色々な奴がいるんだから人魚とだって共存できるよね」的な意図があるような気もする。のだが、そもそも出てくる人々が人間かどうかも疑わしい見た目だから、「いやこんな奇抜過ぎる人間達ともそもそも共存できる気がしねえ!」という気分になる。「人間と人魚の共存」という作品テーマがぼやけた気がするんだよな。
おそらく作り手としては「ラブストーリーにギャグを挟んでみました」ぐらいの感覚なのかもしれないのだけど、「近未来ではハンプティダンプティ族や小人族とも共存してるのかな」みたいな意味深な描写に見えてしまう。
20XX年の上海が舞台で背景もかなり描きこんでいて執拗なこだわりを感じるのだが。この舞台設定も架空の近未来上海風都市のほうが良かったのではないかとも思う。そのほうが「架空の街だから人間もちょっと不思議な感じなのね」と受け入れやすかったかもしれない。あるいは背景はリアルに描かずもっと変な感じの方がキャラとの相性は良かったのではないか。
あるいはストーリー展開自体をもっとめちゃくちゃにしてとがらせたほうがこのキャラデザには合っていたかもしれない。
人魚の設定も、もうちょっと何とかならなかったのか。例えばチャオは魚の姿でもヒレに靴をはけば普通に地上を歩ける。あの絵面自体は面白いのだけど「この人魚は結構地上でも自由に動き回れるのな」というのが、なんというか作り手がやりたいことは分かりやすいのだが、設定としては分かりにくい。それはありなんだ、的な。
- 人間に対して警戒している時には魚の姿になり、リラックスしている時は人魚の姿になる
- 人間と普通に会話できる
- 地上でも普通に行動できる
- 海底に人魚の王国があるっぽい(描写なし)
という今作ならではの人魚設定をもっと活かせたような気はする。というか、ここらへんの設定はもっと練れたんじゃないか。
そもそもチャオが魚と人魚で姿が違い過ぎる。俺は人魚の姿も可愛いと思ったが、それでも魚の姿とあまりに可愛さのベクトルが違う。ここはもうちょっと共通要素を持たせても良かったと思う。チャオのおやじもそうだが。例えば色味だけでもほぼ同じとか。
主人公の両親を死に至らしめたスクリュー事故。これを防ぐために主人公はスクリューではない動力で動く船をデザインして。それが人魚の世界にもやさしい!という流れは、やりたいことの意図は分かる。でもこれも、そもそも海にもぐる際はスクリューの動きを止めておくことはできないのか、と思ってしまう。
例えば。あの世界の船はどれも海に廃棄物をたくさん流すような粗悪な作りで、主人公の両親は海に落ちた際に廃棄物で窒息して死んで。主人公は海に廃棄物を流さない船を作りました!これには人魚も大喜び!みたいなほうが分かりやすく、影響力もあるんじゃないか。
というように、もっとこうだったらより多くの人に届いたんじゃないか、という要素が多い作品ではある。
のだけどね。
俺はやっぱりこういう作品もあるからこそ、日本のアニメは発展してこれたんだと思うよ。むしろ、これだけとがった作品を作れる環境があることがすごい。
コーンを飛ばしながら車を走らせるのもすごいだろ。
チャオが謎の水流攻撃でチンピラ撃退できるのも面白いだろ。
家の中で花火をやって屋根吹き飛びと焦げたちりちりパーマですむ演出をここでやる勇気よ。
ロボット作る博士が看護師の背中で設計図らしきもの描いても誰もツッコミもしねえその謎の倫理観!
この博士とその彼女の謎の決闘らしきアクションからのお出迎えの無駄に張り切った動き。
ロボットのデザインのこだわり、そしてお披露目での派手な操作不能アクション。
終盤の海でのチャオのおやじとの対話の派手さ。
絶対描くの面倒なのに家を出るたびにフライパンに頭をぶつけるアクションを入れるその謎のこだわり!
全てがよく枚数を使ってこれを描いたな!の連続なのよ。これは相当なこだわりがないとできない。
そもそもこの奇抜なキャラデザでOKが出ることがすごいから。
くしくも歴史的ヒットを飛ばしている鬼滅の刃と同時期公開というのも運命にすら感じる。きっとしばらくは「鬼滅の刃の大ヒットの影で爆死したチャオというアニメ映画があり」とバカにされるだろう。
でも『鬼滅の刃』原作の初期をリアルタイムで読んでた身から言わせてもらえば、あれもそもそも原作初期は「絵が独特」「万人受けはしないんじゃないか」みたいに言われてたのよ。
あれはアニメ化に際して「原作のキャラデザインを活かしつつ万人に受け入れられるようにうまくアレンジした」からヒットしたのよ。原作絵の独特なタッチをそのまま再現していたらあそこまでのヒットにはなっていなかったと思う。
『Chao』がすごいのは独特なままで突き進んでいるところなのよ。そういう作品があっていい。
というか、そもそも独特な、個性的な、とがった作品がなければ、ヒットも生まれない。
数年後には「こんなとがった作品が公開されていたんだな」と評価されると思う。
まあ評価されなくてもいい。でも確実に誰かの心には刺さる作品だから。
これを映画館で観れたことは良かったと思うよ。
よくもわるくも作画アニメ
猥雑かつ豊穣、細部まで描き込まれ活発に動く作画が冒頭から終幕まで淀むことなく続き、それだけでも十分一見の価値あり。一方ストーリーは王道、というか平凡でいわゆる「人外ヒロインが冴えない男子のもとに転がり込んでくる」ラノベ的ジャンルを一歩も出ない、がそれをこのキャラデザでやるのは斬新…というか蛮勇?「美女と野獣」の性別逆Ver.でもあるのだが、キャラデザが尖りすぎていて、ともすればヒロインの人魚形態より魚形態の方がキュートに見えてしまうのも、困りもの。いやでもほんと丸っこくてヌメヌメしてて可愛いもの、チャオの魚形態!ストーリーの凡庸さは後半になる程気になりだし、山場のカーチェイスや人魚王との対決も、スペクタクルではあるが、作画の質に物語が追い付いていない感が強くなる。むしろ前半のごちゃついた街並みや主人公カップル2人のわちゃわちゃしたやり取りの方が印象に残るのは、ペース配分として誤算だろう。あと全体にギャグが昭和。人魚と人間の共存が成り立って変貌した本編後の世界の方をもっと観たかった、とも。
両親の事故
両親がスクリューに巻き込まれて死ぬ事故のとき、何故エンジンを切っとかなかったのか、エンジンを切ってれば動かなかったのに
それともエンジンを点けてないとスクリューが回らなかったのか、ニュートラルに入れて切れば
回ったんじゃないかとか
船のエンジンの仕組みは分からないけど
そこが一番気になってモヤモヤしてしまった
チャオが凄い可愛かった
ノイジーで雑さは否めないが、良作と思う
アンデルセン童話、「人魚姫」をモチーフとし、現代香港風?にアレンジしたボーイ・ミーツガール的純愛ストーリー。
しかし主人公のステファンは全く身に覚えないのに人魚界のお姫様であるチャオから一方的に好かれて求婚され、彼の会社含め周囲の政治的圧力で気が進まない結婚に承諾してしまうというドタバタストーリーでもあります。
チャオのビジュアルは第1形態?が、金魚のお化け(失礼)みたいなのが服着て歩く珍妙な感じで、言葉は(都合よく?)通じるのですが人魚界の常識で生活するため、人間であるステファンとの生活習慣のギャップがコメディ的要素となっていてとても楽しかったです。またちょっとグロい姿に反し、その仕草と声は大変可愛らしく親しみの湧くキャラとなっていました。
チャオの第2形態は、正にこれぞ人形姫というところのクールビューティな美しさ(若干グロさはある)ですが、ある条件が満たされないとこの姿を維持できない、というのがストーリーの根幹になっています。
ただ、個人的にこの純愛ストーリーを純粋に楽しめなかった点がありまして・・・それが、この作品の独特のビジュアルです。
チャオや人魚界のキャラが変身したり見た目が奇妙云々言う前に、一部の人間のキャラデザが非常に個性的・・・言ってしまうと特に顔のデカい人が妖怪チックだったりする上、普通に一般人に混じって生活したり、会社の嫌な上司だったりするので「何か深い意味があるんだろうか」みたいな「思念の雑音」が終始頭を過っておりました。
これはたぶん深い意味などなくディフォルメの一種だと思います。しかし、残念ながら私には必然性が感じられず、作品に対する没入感を阻害するノイズにしかならなかったというのが本音です。
また、シナリオや設定は最後まで破綻せずに上手くまとめたと思いますが、ステファンが海洋生物に対して安全な船を作りたいと強く願うようになった、「悲しい事故」の発生過程が非論理的で非常に分かりづらく、演出的な雑さと違和感がありました。乱流が起こったってこと??なぜ、非常時に停船しないのか・・・など、船舶初心者の私には疑問符がぽこぽこ生まれました。ここはポイントになる部分なので素人でも納得する様なシチュエーションの構築をすべきだったと思います。
総じて、特にデザイン的に独特の世界観が当方にはあまり馴染みませんでしたが、最後の締め方も綺麗な印象でチャオも可愛く、美しく・・・とても気持ちが晴れたから、良し!としたいですね。
では。
「あなたのために」という歌が良かった!!
山田杏奈ちゃんが声優をやっているというから観に行ったけど、
もちろん杏奈さんの声も良かったけど、作画の美しさやストーリーにも感動した。
とくに劇中に歌われる「あなたのために」という山田杏奈さんの歌は、ダウンロードまでして、これから車で時々聴くことにしたw
あと、チャウ・シンチーが随分前に作った映画「少林サッカー」リスペクト♡という作品だった。
(映画「Chao」の主人公は、ステファンとチャオだけど、
映画「少林サッカー」主演&監督チャウ・シンチーの英名が「Stephen Chow」、少林サッカーのヒロインが「ビッキー・チャオ」、チャウ・シンチー自身が「人魚姫」の映画も作ってる、・・・etc.)
もう少しシンプルに勝負しても良かったのでは?
近未来のハッピーエンドな人魚姫伝説。
愛あふれるストーリーはとっても良かったです。
伏線回収もきちんとされていましたし、最終的には解りやすかったです。
回収するまでは、なんでこうなったのだ?っていう疑問はつきまといましたが⋯
また、人魚になったときのチャオのキャラクターも、魅力的でした。
が、結構ストーリーの本筋がスッキリな分、がんばっちゃったのかな?
視覚?色彩??
あと小ネタの情報量が多すぎて⋯
ちょっと、食傷気味が否めないです⋯
まとまりがないというか⋯
とりあえず、色彩や画風は慣れてきたら面白く感じられたんですが、
多すぎ雑すぎな小ネタが個人的にいただけなかったです。
中華鍋に頭ぶつけたり、
マイク顔に押し付けられたり、
バナナで滑って頭に皮のっけていたり、
コーヒーをタクシーでぶちまけたり、
あっ、ステファンを乗せるの忘れるところとか、「シラーっ」でした 笑
あと、その他こまごまと、これは笑うところなのかしら?
って思ってしまって、だけども、それがまったく面白くなくてねぇ⋯
気になるだけだったんですよね⋯。
後半の伏線回収あたりは、それが少なくなって、
とてもしっくり入ってきて良かったです。
やはり、ハッピーエンドはいいですね。
でも、赤い魚食べるときに、チャオが浮かんじゃうかもー 笑
補足
鈴鹿さんと山田さんの挿入歌が、お上手で聴き心地が良かったので、
エンディングも、おふたりのデュエット曲が聴きたかったな ♪
フライパンにコンッ!はデフォ。
人間と人魚が共存する世界、そんな世界で造船会社に勤めるステファンと、そのステファンに恋をする人魚王国の姫CHAOの恋と仕事の話。
ボツになりかけた企画開発案、会社社長の企みと自身も成功させたい企画、身に覚えのないプロポーズだか人魚姫といい関係を築けば会社にいい席を用意してやると言われ人間と人魚の同棲生活、その過去の話を知る編集者ジュノーのステファンへ取材から見せてく。
人間と人魚の恋の物語のファンでもあるジュノーの取材から入ってく見せ方、その見せ方にCHAOはどうなった!?と思うなか。
ストーリーが進み甦る記憶、子供のころ船の事故で亡くした両親…との記憶、その記憶で思い出した約束。序盤、中盤の取材中には出て来ないCHAOだったけれど、ラストはハッピーな展開で良かった。
好みの問題もあるけれど、街と風景描写は独特な世界観がありで良かった、ただ出てくる人物キャラが全員ブサイクでもっと小綺麗に描かれてたら良かったのにな~と個人的意見。約100人部屋1人貸切で得した気分!
演出に過剰に労力がかかっている気がする
平凡な青年ステファンと人魚姫のチャオのラブストーリー?
人間と人魚が暮らす世界で
記者が偶然にステファンからチャオとの出会いを聴くという場面から
過去の描写になるという構成
ステファンが唐突に
チャオに求婚され、人間と人魚たちとの関係が好転させるために
世間もステファンの結婚を盛り上げていく感じになっている
それにより主人公も社内で出世したり、マスコミに注目されたりすることになる
最初は乗り気ではなかったが
チャオの純粋な愛情により、夫婦としてなんだかんだで
うまくやっていることになる
しかし、イベントでチャオがロボットを暴走させたことにより
すべてが水の泡になってしまい
チャオと離れてしまうが
幼少期のころを思い出して、もう一度チャオに会いにいくというストーリー
全体的にストーリーはテンポが早く進むが
逆にストーリーと関係ない演出にかなり労力と時間をかけているように思う
ステファンが求婚をされ、世間で盛り上げるために社内で出世までしてしまうストーリーも
ラブコメとしては異色に感じられる
キャラデザもクセが強く
人間も人間っぽくない人も多いので
人魚と混じっててもわかりにくいデザイン
作品全体的に人を選ぶ内容に感じる
童話「人魚姫」をモチーフにしているらしいが完全に別物
舞台も中国だし
人魚は陸では魚のままだが心を開くと
水がなくても人魚の姿でいられるらしい
個人的には私はあまり芸能人声優は気にならないタイプですが
主人公声優の人が「夏のトンネル」で違和感が強く感じたので
声優に不安が強かったが
この作品ではそこまで違和感を感じなかったのでよかった
最後まで観ると爽やかな気持ちになれる映画でした
人と人魚が共存している近未来の上海のお話。
アイドルの取材に失敗した下っ端記者のジュノーは人魚との共存のきっかけとなったステファンのインタビューに成功する。
ほぼ全編はステファンの過去の回想の物語。
海の生き物に優しいスクリューに代わる船の推進装置を開発を目指している主人公は、一旦は無駄な研究だと社長から降格を命じられるものの、人魚界の王の娘チャオ(本名は覚えてないが偉く長い名前でクライマックスにその名の意味がわかる)から求婚されることにより、一躍有名人となり、会社の中でも出世頭となるが、心の中では魚の容姿のチャオを受け入れられない。
チャオは本当に愛する人に心を許すと陸の上でも上半身は人の姿になるのだが、ステファンの本心が見えないためなかなか人の姿になれないが、あるきっかけにより人の姿になることが出来る。
ただ、チャオは普段からあまりにもポンコツでステファンの大事な推進装置の発表の場にいきなり表れて、発表の場を滅茶苦茶にしてしまい、ステファンから今までの失敗を含めた叱責により容姿が元に戻り、海に帰ってしまう。
ところが、そのポンコツ失敗の意味があることに気付いたステファンはチャオを探しに海に出て探し回り....
中身が90分弱なのでストレスなく観ることが出来ました。
最後にはいろいろな伏線も回収でき、物語は満足出来ました。
ただ、キャラクターデザインは独特で、主人公たちの顔は人間なのに魚の様だし、チャオは人の姿より魚の姿の方がかわいいと思ってしまう。
社長の体形はハンプティーダンプティーで、一般の登場人物も「化け猫あんずちゃん」に出てくる下品な妖怪のようで、物語に入り込むことに時間が掛かったことがかなりマイナスです。
折角、作画は良く、ヒロインも素直で一途で一生懸命で好感が持て、話は面白かったのに、一般受けするキャラクターデザインだったらもう少し人も入っていたのではと思いました。
(ちなみに自分は初日の初回でしたが、キャパ200人程度で観客はたった6人でした)
後、回転する装置に異物が挟まり、取り除く際には、エンジンのスイッチを切れよ!と言いたくなる映画でしたね。
電気ウナギって美味しいのかな
映画館で予告を観て、独特の絵柄と幻想的な雰囲気と人魚の姿がとても綺麗で気になって鑑賞しました。絵柄が独特でとんでもないクセ強作品か、神作品かどっちかに転ぶと思ってましたが案外普通でした。
お化け屋敷で二人を驚かそうとするけど、チャオ(巨大魚)の姿を見て逆にビックリするお化け役や、
出世の為に魚と結婚するなんて信じられないと非難する職場の人間、
魚が街を歩いてるのを見てビックリする女の子等、
まだこの映画を観てない人が読んだらそらそうだろと思うでしょうが、そんな魚のチャオよりもビジュアルや行動が強烈な巨頭人や顔細人、鼻くそ肩つけオジ達が生活してる世界で、そこ気になる?そういう話に持っていきたいなら人間の姿は普通に描けばいいのでは?とか考えてしまい思考のノイズが絶えませんでした。
千と千尋の世界のような所で目の離れた魚顔の主人公と本物の魚がデートしてても私からすると全く違和感ないんですよね。
人間のビジュアルや言動が異様なことに何か理由があるのかと思いながら、色々と共感できないまま物語はズンズン進んでいきます。
主人公とチャオがデート中、はぐれたチャオが中年チンピラーズに絡まれるシーンがありますが、助けにきた主人公が先にチンピラーズに殴りかかったのはビックリしました。主人公の過剰防衛に追い打ちをかけるようにチャオの水の呼吸、水車がチンピラーズに炸裂し、鉄塔か何かに打ち付けられチンピラーズ敗北。その後、今まで魚の姿だったチャオは助けにきてくれた主人公に芯から心を許すことで綺麗な人魚の姿になります。その後、警察沙汰にはなりません。
巨頭記者に主人公が追われるカーチェイスシーンでは、発明家の友達が開発したミニカー爆弾で巨頭記者の車は大破し、崖から落ちそうになる所でカットされますが、多分落ちて絶命してます。これも過剰防衛と言われれば否定できません。
無理やりストーリーに展開をつけようとしてキャラの言動にも無理が生まれたような違和感を覚えながらも、徐々に登場人物に感情移入できはじめ、終盤で伏線を回収し、物語は丸く収まります。
そして、エンディングで黒いN-BOXから爆音で漏れ聞こえてきそうな倖田來未の曲が流れました。私はこのときに、あ、この映画は細かいことを考えずに、心の中でウェイウェイ言いながら、ノリと勢いだけで観ればいい映画なんだと感じました。
予告で見た、水の中に映る幻想的な美しい人魚姫の姿がとても儚げで綺麗で印象的だっただけに、少し悲しくなりましたが、これが期待を超えるような名作だった場合に、私はきっとチャオに恋をしてしまい、中学の時に綾波レイやアスカに恋をしたときと同じような病にかかっていたのかもと思うと、すぐに現実に立ち返れたこの作品は、これはこれで良かったのかもしれません。
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