ChaOのレビュー・感想・評価
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とにかくチャオが可愛い。
歴史的な興行失敗と話題になってたので興味本位で見に行ってみましたが、予想以上に良くてガッツリハマり2回目も行ってしまいました。
この映画は、とにかくチャオが可愛い事に尽きると思います。天真爛漫でユーモアもあり愛情深い、こんな魅力的なヒロイン中々居ません。
クセの強いキャラデザ、書きたいシーンありきの展開など気になる点は山のようにありますが、チャオの可愛さの前には大した事のない様に思えてしまいます。声優も一部で酷評されてますが、個人的にはこの声しかないという感じでした。
またストーリーも尺が足りてないとは感じたものの、意外と?良かったです。序盤のチャオの行動には全て意味があった事が終盤で一気に明かされるのが素晴らしい。相対的にだらしなかったステファンへの好感度も上がり、最終的にはとても綺麗な終わり方だったと思います。
もう上映打ち切りになっている映画館も多く、スクリーンで見れる機会は残り僅かと思いますが時間が許すならぜひ見に行ってみてください。きっとチャオにハマるはず。
なにこれ!?ネット民的に言うならド変態(いい意味で)
2025年映画館鑑賞78作品目
8月23日(土)シネマリオーネ古川
通常料金1900円
監督はOVA作品『バットマン ゴッサムナイト』 #4「闇の中で」の青木康浩
脚本は『海獣の子供』『火の鳥 エデンの花』の木ノ花咲
キャクターデザインは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で原画を担当した小島大和
時代は20××
舞台は近未来の香港
人魚と人間が共生する社会とそれ以前の過去
人魚王国の姫に告られ結婚するさえない青年の話
彼本人が忘れていた幼少期が発端になっていた
姫はしっかり覚えていたが青年は忘れていた
冒頭マスコミ関係者の青年が登場するが主人公ではない
彼はインタビュアーで妻と幼い子供2人と船上生活をしている主人公ステファンの若き日の話を聞く形となっている
独特の色使い
独特のキャラクターデザイン
いやそれは独特というより毒々しい
見た目にものすごいインパクト
昨年は『ルックバック』に衝撃を受けたが今年のこれはそれ以上の衝撃
大胆に細長くスマートな友人
大胆に丸く巨大な社長
2頭身で顔がでかい叔父叔母など
カメラマンもクセがある顔立ち
ステファンの自宅近くをオシメに上半身裸で歩く幼児など鳥山明のようにどうでもいいモブキャラにも力の入れよう
アニメとはディフォルメでありその極端な域に萌え要素は微塵もない
頭が硬いつまらない大人では到底描けるわけがない童心がたっぷり残っている自由すぎるクリエイターだからこそ生み出せるキャラクターたち
芸術の域に達している
人間に心を開くと徐々に人間の姿になる魚人
そういう設定
だが個人的には美女?の姿より魚の姿の方がいいかな
『魔神英雄伝ワタル』の渡部クラマと同様
魚だけど子ザメちゃんと違い靴を履く
鯛靴のダジャレ以来のビジュアル
マスコミたちにマイクを押し付けられるシー社長が面白かった
バナナの皮で滑りまくってエレベーターにそのまま入るシーン好き
面白いのは次の場面でそのバナナの皮が社長の額に乗っているのが笑える
大使が小指で鼻をほじりながらステファンに感謝する場面も呆れるのも通り越して逆に面白い
声当て専門じゃない芸能人が多く参加している
声優専門以外絶対に認めない連中は「客寄せパンダ」と詰るが少なくとも客寄せになってないし奴らはアニメファンでありながらその言動で日本のアニメ全体を侮辱していることに気づかない愚か者である
ステファン役の鈴鹿央士はこの作品同様見た目にインパクトがある
逆に顔が小さすぎる
山田杏奈も違和感がなかった
彼女はうまいからね
特に魚のときが
山里やくっきーもあのキャラにハマっている
実際のところ興行成績的には振るわない
しかしカリオストロの城もナウシカなど上映時は客入りが悪くてものちに高評価された名作は邦画洋画合わせると枚挙に暇がない
爆死だと煽っているネット民は可哀想な人たちである
同情はしないけど
イオンシネマは土日上映しなくなった
平日のみなら願わくば朝早くではなく割引がある夜間にしてほしいものだ
完全にずれている
なんやかんやでハッピーエンド
エンディングテーマは倖田來未
声の配役
超凡船舶会社で働くサラリーマンのステファンに鈴鹿央士
幼少期のステファンに田中あいみ
人魚王国の姫でかつてレイティン3号と呼ばれたチャオに山田杏奈
ステファンの上司のシー社長に山里亮太
ステファンの友人のマイペイにシシド・カフカ
ステファンの友人で発明家のロベルタに梅原裕一郎
人魚王国の国王でチャオの父のネプトゥーヌスに三宅健太
ステファンを取材する記者にジュノーに太田駿静
ジュノーの上司で魚人の編集長に土屋アンナ
人間と魚を繋ぐ大使のオメデ大使にくっきー!
水難事故で亡くなるステファンの父に岡野友佑
水難事故で亡くなるステファンの母に川上ひろみ
ステファンの幼少期の友人にホーミイに猪股速十
爽やかなストーリー!
チャオ(人魚)とステファンのドタバタラブストーリー!
チャオの姿に癒されます!キャラデザが好き嫌いが別れそうですがストーリー的には爽快で惹き込まれました!ラストの付箋回収は、見事な脚本です!エンディングの倖田來未のChaOは聴いてハマります!
話は結構いいと思うがギャラデザが・・・
2025年劇場鑑賞222本目。
エンドロール後映像無し。
というかエンドロール中ずっと映像有り。
恋愛ありきで世間の理解を得る話だと思っていたのですが、世間から人魚族の王家の姫に見初められたんだから友好のために結婚しちゃいなよ的なスタンスだったのが意表を突かれました。社長役の山里亮太の演技がタッチの時の林家こぶ平(当時)くらい微妙なのが気になりましたが、山田杏奈の姫はかなりかわいい声でした。これなかったら成立してないかも。鈴鹿央士は天才なのでまぁ普通に声優でもうまいです。(まだスマホで一発変換出ない、頑張れ!(笑))人魚姫がベースとはいえ人間の姿になる条件というか、足は魚のままで
普通に陸を移動できるので声とか引き換えにすることもなく、そもそも正体を隠していないので話としては全く違うものになっていて予測はつかないです。
相当良かったのですが、ただ一つ、人間のキャラクターの鼻がなぜか全員赤鼻なのがすごく違和感がありました。後一部の人間は化け物みたいな等身をしていて、まぁこんな世界だから人魚に対する容姿の偏見がないのか?とは思いましたがそれにしても意味は分からず。
後回想シーンに出てくる子どもたちが外道すぎてここは減点ポイントではないのですが親の教育完全に失敗してると思いました。
チャオの深すぎる愛情に気付けるか
珍しく公開初日に鑑賞。
まず、この映画は少し難解です。
物語構造が若干複雑で、分かりにくいところがあります。
でも安心してください。
艶やかで斬新な演出に惑わされずにシーンの内容を逃さず読み解いていけば、物語の道筋が見えてきます。
そしてそこには、チャオの深すぎる愛情があるんです。
正直な話をします。
私はチャオに対して好意的に見ていませんでした。
どんだけ人魚の状態で美しくても、
チャーミングな動きに魅了されようとも、
「まぁこんな2次元のキャラおるよなぁ」と。
そしてそれは大きく覆ることになるのです。
こんな天真爛漫で愛が深すぎるキャラなかなかいません。
チャオの行動によく注目してください。
そして覚えておきましょう。
その行動ひとつひとつが、
主人公のステファンにとって、実は大きな意味を持つんです。
キャラデザが人を選ぶし、演出は斬新で飲み込みづらい。
ああ、これは世間的には評価されづらい作品だ、でも私は制作陣の愛情に、そしてチャオの愛情に魅せられてしまった。
それだけでこの映画を見た読後感は、とても清々しく、爽やかで、晴れやかでした。
もったいない
5秒でチャオを好きになった
SNSで“鬼滅の刃の影に隠れて記録的な爆死”みたいにいじられてるのを見かけた。その後、チャオ役山田杏奈さんが歌う劇中歌の映像が流れてきて「これは!」と、心がときめいた。
なので劇場に観に行って確かめることにした。近所の映画館では次々と上映を止めており、早く行かなければと焦ったよ。
よほど人気が無いようです。
で本編が始まり、魚姿のチャオを見て、すぐに彼女を好きになってしまった。
序盤でもう星5評価叩き出した感じで、そこからは夢中。この先、減点方式になってしまう事はそれはそれで辛いものです。マイナス点出ないでくれたら良いなぁと思いながら見守る。
ところどころのしょーもない仕掛けには声出して笑ったし、健気なチャオを見てるだけで可愛らしくて胸がぎゅっとした。ステファンがチャオを想うシーンでは泣いてしまった。
普段映画館で寝てしまうことが多い私。作品にのめり込めないと心に隙間が生まれて、爆音と暗闇が気持ち良くなって寝てしまうのです。
当然それらの作品は私の心を掴み切れなかった作品となるわけだが、この『チャオ』は一度も眠くなりませんでした。
いわゆるそういうことです。
最後の最後、倖田來未さんの主題歌は残念ながら作品に似合わなかった。
最後も山田杏奈さんの歌だったら、きっと号泣しながらエンドロール眺めてたと思う。
癖の強いビジュアルながらも気持ちのいい作品
いつ上映かちゃんとチェックしていなかったので気付いたらもうほとんどの映画館で終了していて焦った
シチュエーションとしては古式ゆかしい「押しかけ女房ものアニメ」
そういう意味ではかなり見やすく入り込みやすい
わけもわからず状況に流され
心に蟠りを残しつつも徐々にチャオにほだされていくステファン
本当に普通だけど根がいい人なんだな
(それはそれとして仕事では結果を出してるステファン結構有能)
ステファンがどこでどう爆発して関係が壊れ
それをどのように過去に絡めて修復に向かうのかが見どころ
そしてそれがとても気持ちのいい結末を迎えるのもとても良い
個人的には人魚たちは魚の姿のままのほうが良かったんじゃないかなと思うんだけど、まあいいか
恋人たちの結末がキスではなく抱擁や告白であるのも良い見せ方だと思う
なんだ〜!普通にいい映画じゃん!!
史上最大の爆死、でも作画は凄い…とか騒いでるので、どんな珍妙な映画かとワクワクしながら観にいったら普通にメチャ良い映画だった。終盤は泣かせせるし、チャオはサカナ態も人魚態もカワイイ(笑)。あと、ストーリーがシンプル(でも伏線は効いてるし)で絵の情報量が多いので、繰り返し観なおしたくなる沼味がある。
ただ、中国に寄せてるように感じるトコがあった。
中国市場を取りに行ってるんだろうか?その意気や良し!!と自分は思うのだけど、なんか変な界隈から弾が飛んできてて、おかしな事になってしまった気がする…。(反差別みたいなとこも、その界隈の反感を買ってしまったのか💦)
海外アニメとかやってるミニシアターで上映してれば今よりお客が入ったと思う。是非ミニシアターで再映して欲しい…映画館でまた観たい!!
絵や色合いの割りに割りとテーマは重め。
きっかけ
当サイトで尖った映画やでぇ~!!と記事になっていたので観てみる事に…
あらすじ
人魚と人間のラブコメ。
感想(ネタバレあり。イヤな方はここから下は飛ばして下さい。)
結果から言わせてもらうと、興味深いと言う意味でとても面白い映画だった。
ストーリーは愛を軸に人魚人と人間の溝、環境問題、後、人間の浅ましさや醜くさをテーマとして扱っているように感じた。
最初は主人公ステファンとチャオのポップなカラみで入り、ステファンの過去が段々と明るみになると、上記のテーマを織り混ぜてストーリーは進行していく。
同時にステファンの過去が明るみになることにより物語の伏線を回収していく感じは気持ち良かった。
ただ、なんかテーマが多すぎてとっ散らかってるように感じたのも事実。もっと的を絞ってやってもいいのではとは思った。
後、ポニョを観てから観たせいか、なんかポニョっぽいなと感じた。
まとめ
絵がポップで奇抜な映画だと思っていたが、タイトルでも書いたが、絵や色合いの割りにテーマは重いと感じた。やはり尖っている!!
でも、見終わった後は爽やかな感じで終われるのでとても面白かった。
こーゆー映画はカップルで観てあーでもない、こーでもない、と言った意見を言いあいたい!!
そんな映画でした。皆さんも是非~
タイトルなし(ネタバレ)
人魚と人間が共存する上海。
人魚界のアイドル取材を任された記者の青年、すんでのところでアイドルを捕まえることができず。
が、代わりに見つけたのは、伝説の男ステファン(声:鈴鹿央士)。
人魚と人間が共存する社会を築くきっかけとなったのは、彼が人魚王国の姫チャオ(声:山田杏奈)に求婚され、結婚したことからだった・・・
といったところからはじまる物語。
強烈で独特のルックを持ったアニメで、製作のスタジオ4℃作品では、過去に『海獣の子供』を鑑賞している。
『海獣の子供』も個性豊かな描写だったが、本作ほどの灰汁はなかった。
本作では、中盤まで中心となる上海の街の描写がキョーレツで、目眩を起こしそう。
色彩は「豊か」というより「過剰」。
人物造形も奇天烈(といっても、ディズニー『不思議の国のアリス』のキャラクターを範としているように思えるが)。
ですが、ストーリー的にはオーソドックス。
チャオに恋される理由がステファンにはわからない。
が・・・
というのは、トム・ハンクス&ダリル・ハンナ『スプラッシュ』の焼き直しみたいな感じ。
全体が中年になったステファンの回想記のような態で展開するので、チャオに恋される理由を思い出すのは「大過去」。
こういう大過去形式の脚本は、あまり褒められないなぁ、と少々思った。
ステファンから過去の物語を聞き出す青年の話は、余計といえば余計かな。
何でコケそうって?
顔!デカいからや!
冗談は私の顔だけにしてですね、お噺自体は愉快だったと思いますよ。
自身の悲劇的な過去から、
新技術のエンジニアとなって夢を追い…
然し、その悲劇は…反面、新たな出逢いの発端でもある…
人生、塞翁が馬。
確かに!独特なビジュと世界観…キャラで、好き嫌いの明暗が、クッキリと分かれる作風ではありますから、
つくづく«お話の中身重視»な自分で、良かった良かった。
人魚族を【サカナ呼び】する嫌悪感は、既にワンピで通っているので、
寧ろ、魚類ビジュのチャオも…かわいいんだから、主人公は一人で二粒オイシイと思えば、、役得だろ!ってね……すまん🙇♂️🙇♂️
楽しい作品だけど、設定は少し粗めかも
独特な絵写とストーリーにどっぷり浸かりました!
『ChaO』を鑑賞しました。
まず一言で言うと──
“心を揺さぶられる驚きと感動の連続”。
物語全体に散りばめられた伏線が、最後に一気に回収されていく展開は圧巻で、アニメーション作品の枠を超えた「芸術」そのものを感じました。特にラストシーン、登場人物の感情と映像美が重なり合う瞬間に、胸が震えるほどの感動があり、しばらく動けませんでした。
驚かされたのは、映像表現の独自性。色彩やカメラワークがとても挑戦的で、まるで自分自身がその世界の一部になったかのような没入感がありました。音楽の使い方も巧妙で、静と動のコントラストが観る者の心に深く刻み込まれます。
この日の上映は遅い時間帯で、観客は自分を含めてたったの2人。ほぼ貸切のような空間で、作品の世界観と自分が一対一で向き合えたことで、より一層物語に引き込まれました。スクリーンの前で心を丸裸にされたような感覚──それがまた、この作品の大きな魅力だと思います。
『ChaO』はただのアニメ映画ではありません。
「人間とは何か」「生きるとは何か」を観る者に突きつけ、そして最後に“希望”をしっかりと手渡してくれる、そんな魂のこもった作品でした。
伏線の緻密さ、ラストの感動、映像と音楽の力強さ──どれを取っても一級品。
アニメ好きはもちろん、普段アニメを観ない人にもぜひ観てもらいたい映画です。
普通がいいな
タイトルなし(ネタバレ)
公開して1週間もしないのに一日一回興行になりそうだったので、平日慌てて見ました。
これだけクオリティの高い映像を見せてくれたらストーリーなんていいじゃないか、と思うけど、ステファンの気持が唐突に揺れるのが落ち着かないかな。
ラストに彼のトラウマが明されるのだが、最初に屈託を見せた方が、心の成長を表現できたからドラマとして良かったかな。
それともChaOの視点だけで描いて「人魚姫」にしてしまってもよかったか。
いっそセリフを全部カットしてファンタジアにしてしまったら?
見てHappyになったし、爆死とか言われて次の機会がなかったら嫌だなあ。
「人間と人魚」という前に「そもそもお前は人間なのか?」というキャラが多すぎる
公開初日の夜にも関わらず客は10人いなかったと思う。
アニメを推している池袋でこれだと他の映画館も相当厳しそう。
だがこれを劇場で観れたことは後々自慢できるだろう。
そう思わせるほどに力はあった。
とてつもないキャラデザのクセがあった。
倖田來未のポップな主題歌で中和しきれないほどのクセの強さだ。
そもそも人間と人魚の恋という話だが「お前は人間なの?人間と言えるの?この世界では!」という感じのクセ強キャラが多すぎて。
ハンプティダンプティみたいな丸くてデカ過ぎな社長、このキャラの声が南海キャンディーズの山里なのだが人気芸人の声の軽快さをもってしても、そもそもこの社長が人間に見えない。「アニキと呼べ!」と主人公に向かって言うんだが、呼べねえよ。いやそもそも図体でかすぎなあなたは人間なの?という疑問を抱かせたままストーリーはどんどん進む。
あまりに頭がデカいおばさん夫婦、主人公の親戚っぽいのだが、親族でそこまで頭身違うことってあるの?突然変異?的なツッコミをしている間に話は動く。
面白ゴーグルをしている超小さい上司はあの社会で普通に生きていけるのか心配になる。
そう。「人間と人魚」の話以前に「人間かどうかも疑わしい人間の数々」が出迎えてくれるんだ。
俺はSTUDIO4℃の過去作はまあまあ観ているほうなのでこのスタジオのノリも分かっているつもりだが、その俺をもってしても「このキャラデザは攻めすぎだろ」と心の中で笑うしかなかった。
主人公が家を出るたびにパンイチの赤ん坊みたいな人が普通に二足歩行で歩道を歩いていて。あいつは何なん?子供なの、大人なの、そもそも人間なの?と思っていたら。後半で主人公を追ってきたしつこい記者を人魚の贈り物の如意棒を巨大化させて記者ごと吹っ飛ばす、という見せ場があったりする。あ、普通に主人公に協力的な住人なのね、と。ちゃんと伏線回収的なことはやるのね、と。その謎のこだわりが面白いんだが、その面白さに気付く前に脱落する人は多そうだとは感じた。
例えば遊園地デートのシーンで。主人公がトイレに入り電話している中、トイレットペーパーがどんどん巻かれて紙が無駄に地面に落ちて行き、最後はカラになる。トイレットペーパーもったいねえな、という感想が先に来るこの場面も、おそらく主人公のそそっかしさや、混乱した頭の中を表現している可能性はある。でも、ノイズに感じる人もいると思う。ノイズというかなんでこんな演出があるんだ的な。
同じく遊園地デートシーンで手前を横切った子供がこける場面があるのだが、あれもおそらく後半の「主人公の子供時代に悲しいことがあった」という展開をやる為の前フリみたいな効果を狙っているような気もするのだが、そうでもないかもしれない。
こだわりのキャラデザ、描写が意味深に見えてしまうのはおそらく作り手の予想を超えていたんじゃないか。
たぶん、ストーリー自体は割と単純明快だから、演出やキャラデザインでちょっと挑戦してみたのだと思う。
人間キャラがあれだけ奇抜なデザインなのも「人間も色々な奴がいるんだから人魚とだって共存できるよね」的な意図があるような気もする。のだが、そもそも出てくる人々が人間かどうかも疑わしい見た目だから、「いやこんな奇抜過ぎる人間達ともそもそも共存できる気がしねえ!」という気分になる。「人間と人魚の共存」という作品テーマがぼやけた気がするんだよな。
おそらく作り手としては「ラブストーリーにギャグを挟んでみました」ぐらいの感覚なのかもしれないのだけど、「近未来ではハンプティダンプティ族や小人族とも共存してるのかな」みたいな意味深な描写に見えてしまう。
20XX年の上海が舞台で背景もかなり描きこんでいて執拗なこだわりを感じるのだが。この舞台設定も架空の近未来上海風都市のほうが良かったのではないかとも思う。そのほうが「架空の街だから人間もちょっと不思議な感じなのね」と受け入れやすかったかもしれない。あるいは背景はリアルに描かずもっと変な感じの方がキャラとの相性は良かったのではないか。
あるいはストーリー展開自体をもっとめちゃくちゃにしてとがらせたほうがこのキャラデザには合っていたかもしれない。
人魚の設定も、もうちょっと何とかならなかったのか。例えばチャオは魚の姿でもヒレに靴をはけば普通に地上を歩ける。あの絵面自体は面白いのだけど「この人魚は結構地上でも自由に動き回れるのな」というのが、なんというか作り手がやりたいことは分かりやすいのだが、設定としては分かりにくい。それはありなんだ、的な。
- 人間に対して警戒している時には魚の姿になり、リラックスしている時は人魚の姿になる
- 人間と普通に会話できる
- 地上でも普通に行動できる
- 海底に人魚の王国があるっぽい(描写なし)
という今作ならではの人魚設定をもっと活かせたような気はする。というか、ここらへんの設定はもっと練れたんじゃないか。
そもそもチャオが魚と人魚で姿が違い過ぎる。俺は人魚の姿も可愛いと思ったが、それでも魚の姿とあまりに可愛さのベクトルが違う。ここはもうちょっと共通要素を持たせても良かったと思う。チャオのおやじもそうだが。例えば色味だけでもほぼ同じとか。
主人公の両親を死に至らしめたスクリュー事故。これを防ぐために主人公はスクリューではない動力で動く船をデザインして。それが人魚の世界にもやさしい!という流れは、やりたいことの意図は分かる。でもこれも、そもそも海にもぐる際はスクリューの動きを止めておくことはできないのか、と思ってしまう。
例えば。あの世界の船はどれも海に廃棄物をたくさん流すような粗悪な作りで、主人公の両親は海に落ちた際に廃棄物で窒息して死んで。主人公は海に廃棄物を流さない船を作りました!これには人魚も大喜び!みたいなほうが分かりやすく、影響力もあるんじゃないか。
というように、もっとこうだったらより多くの人に届いたんじゃないか、という要素が多い作品ではある。
のだけどね。
俺はやっぱりこういう作品もあるからこそ、日本のアニメは発展してこれたんだと思うよ。むしろ、これだけとがった作品を作れる環境があることがすごい。
コーンを飛ばしながら車を走らせるのもすごいだろ。
チャオが謎の水流攻撃でチンピラ撃退できるのも面白いだろ。
家の中で花火をやって屋根吹き飛びと焦げたちりちりパーマですむ演出をここでやる勇気よ。
ロボット作る博士が看護師の背中で設計図らしきもの描いても誰もツッコミもしねえその謎の倫理観!
この博士とその彼女の謎の決闘らしきアクションからのお出迎えの無駄に張り切った動き。
ロボットのデザインのこだわり、そしてお披露目での派手な操作不能アクション。
終盤の海でのチャオのおやじとの対話の派手さ。
絶対描くの面倒なのに家を出るたびにフライパンに頭をぶつけるアクションを入れるその謎のこだわり!
全てがよく枚数を使ってこれを描いたな!の連続なのよ。これは相当なこだわりがないとできない。
そもそもこの奇抜なキャラデザでOKが出ることがすごいから。
くしくも歴史的ヒットを飛ばしている鬼滅の刃と同時期公開というのも運命にすら感じる。きっとしばらくは「鬼滅の刃の大ヒットの影で爆死したチャオというアニメ映画があり」とバカにされるだろう。
でも『鬼滅の刃』原作の初期をリアルタイムで読んでた身から言わせてもらえば、あれもそもそも原作初期は「絵が独特」「万人受けはしないんじゃないか」みたいに言われてたのよ。
あれはアニメ化に際して「原作のキャラデザインを活かしつつ万人に受け入れられるようにうまくアレンジした」からヒットしたのよ。原作絵の独特なタッチをそのまま再現していたらあそこまでのヒットにはなっていなかったと思う。
『Chao』がすごいのは独特なままで突き進んでいるところなのよ。そういう作品があっていい。
というか、そもそも独特な、個性的な、とがった作品がなければ、ヒットも生まれない。
数年後には「こんなとがった作品が公開されていたんだな」と評価されると思う。
まあ評価されなくてもいい。でも確実に誰かの心には刺さる作品だから。
これを映画館で観れたことは良かったと思うよ。
ストーリー&映像は◎ 音楽&キャスティングは△
よくもわるくも作画アニメ
猥雑かつ豊穣、細部まで描き込まれ活発に動く作画が冒頭から終幕まで淀むことなく続き、それだけでも十分一見の価値あり。一方ストーリーは王道、というか平凡でいわゆる「人外ヒロインが冴えない男子のもとに転がり込んでくる」ラノベ的ジャンルを一歩も出ない、がそれをこのキャラデザでやるのは斬新…というか蛮勇?「美女と野獣」の性別逆Ver.でもあるのだが、キャラデザが尖りすぎていて、ともすればヒロインの人魚形態より魚形態の方がキュートに見えてしまうのも、困りもの。いやでもほんと丸っこくてヌメヌメしてて可愛いもの、チャオの魚形態!ストーリーの凡庸さは後半になる程気になりだし、山場のカーチェイスや人魚王との対決も、スペクタクルではあるが、作画の質に物語が追い付いていない感が強くなる。むしろ前半のごちゃついた街並みや主人公カップル2人のわちゃわちゃしたやり取りの方が印象に残るのは、ペース配分として誤算だろう。あと全体にギャグが昭和。人魚と人間の共存が成り立って変貌した本編後の世界の方をもっと観たかった、とも。
ステファンが取り戻したいもの
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