「作画10万枚…には正直感じられない‥。出るのが20年遅かった。」ChaO イバラニカさんの映画レビュー(感想・評価)
作画10万枚…には正直感じられない‥。出るのが20年遅かった。
作画枚数が売りの劇場アニメといわれてどういったアニメを期待するだろうか。きっと大半のアニメファンはカメラが忙しなく動き回る派手なアクションや、ジブリ映画のようにたくさんのモブキャラが四方八方にぬるぬる動き回るのを想像するのではないか。
ところが本作Chao、素人のアニメファンからみるとたしかに動いてるところは動いてるけどモブキャラは多くの場面で静止してるし、視点、カメラの移動もだいぶおとなしい部類である。
千と千尋の神隠しが作画11万枚だそうだが、あの映画での油屋の従業員たちの動きのようなカットはほとんどChaoには見られなかった。
確かに劇場版アニメのクオリティではある、それくらいはさすがにわかる。
だがフリーレンやジークアクス、呪術廻戦のように毎話のように劇場版品質の作画のリッチなアニメが各クール最低1本、多いと3、4本はあるのが今のアニメ界である。あるいはアイドルもののアニメのような手書きと見分けがつかないレベルのセルルックのCGでぐりぐり動き回るアニメがいまや何本もある。
そう我々は目が肥えすぎてしまったのだ。ただ10万枚作画枚数あります、ではもはやウリにはならないのである…。
レビューでほぼ大半の人が称賛している背景美術、これはほんとうに素晴らしかった。マンガやゲームの背景だったら100点満点だろう。しかし背景美術というのはある意味当たり前だが、キャラ作画のようには自由には動かせないのだ。この緻密な背景美術を見せるためなのか、カメラがグリグリ動くようなカットがあまりなかったのはアニメとしては良し悪しだと思う。少なくとも自分には物足りなく感じた。
ストーリーに関してだが、前半は意外にも楽しめた。70~80点くらいあげてもいい。押しかけ女房ヒロインものは多くのヒット作がある王道ものというのを差し引いても、ステファンが不満は見せつつも建前上はチャオを受け入れているため、性急なくらい話が進むテンポはいい塩梅だったと思う。
問題は後半で、多くの人が指摘しているツッコミどころのロボット暴走と、ステファンの両親の件が足を引っ張っていて非常にまずかった。後半だけだと20点か30点ってところ。
ロボットがらみのエピソードはあまりに唐突に脈絡なく登場するうえ、室内で打ち上げ花火を爆発させて部屋を吹き飛ばすようなチャオを相手に、遠隔操縦も監視もできないロボットを貸すというありえない矛盾が発生している。ロボットがらみの話は全部削除すべきか、あるいは友人でロボット博士のロベルタをリストラして、ステファン自身がロボットの専門家という設定にするのが自然だったはずだ。であればいきなり新規技術のプロジェクトリーダーになって短期間で技術を実用レベルに完成させるという無茶苦茶ぶりも一応筋がとおる。ステファンの作っていたロボットをうっかり起動させてしまったチャオが、という展開ならそこまでボロクソには言われなかったはず。
両親のエピソード自体は短いシーンなのだが、そこに至るまでの経緯がよろしくない。なぜかステファンは忘れていた過去を思い出す場所にたどりついていて、不自然すぎる展開に観客が置いてけぼりを食らってるところにツッコミどころしかない両親の話がでてくるのでよけいひどさが目立ってしまう。両親の死因は幼体のチャオを助けようとしてほかの船と事故にあった、くらいのチャオとの関連性があれば、ご都合主義であってもまだ自然な流れになったのではないか。
キャラデザについては見ているうちに慣れたし、不快キャラである鼻くそ大使も1シーンしかでてこないのでまあ許容範囲ではあった。ダンジョン飯のようなファンタジー世界で人間、ドワーフ、エルフのように体型もデザインも違う種族が一括りに人類にされているのといっしょと考えればまあそういう世界観なんだろうと納得できるしね。
しかし気になったのはあの世界、キャラクターデザインで多様性を出しているといいつつ、顔デカ3頭身属のステファンの叔父叔母、痩身で長身の針金属であるロベルタ達のように同じ種族同士でカップルになってたり、あるいは作中のテレビ画面に映るのは見栄えのいい普通体型人属が多めだったりとか、顔デカ属がいるのにバリアフリーが考慮されていない映画館の座席だとか、種族間での格差や断絶が垣間見えた気がする…スタッフはそこまで深く考えてないかもしれないが。
良かった点もあげておくと、チャオのデザイン自体はたしかにいいものだった。変身前のデザイン、少ないカットではあるが下半身が見えたカットがやたらエロチックに描かれていてちょっと目覚めそうになってしまったw 変身後もエラやヒレなどの人魚ならではの機構が残ったデザインで人間との差異がいいアクセントになっていたし、なんだかんだいいつつ、観客としても美人やかわいい子やエロチックな女性のほうを好きになってしまうものなのだ。
そしてなにより気に入ってるのは上映時間が90分ってところですね
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