「もっと人に優しくなれる映画を観ろ(名言)」ChaO 野菜のおじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと人に優しくなれる映画を観ろ(名言)
たぶんタイトルの台詞にそんなに深い意味は無いと思う。
作中に「日本では鶴や狐との結婚も」という台詞があるが、そういった類の古い寓話・神話をモチーフにした物語。
それゆえの話のゆるさやガバもこの作品においてはある種の"味"と言えると思う。
どこまでも純粋に優しいラブコメディで、だからこそ「神話的」とも言える佳作。
夏休み最後に親子連れでどうぞ、と自信を持って言える。
舞台が近未来の上海で台詞回しが全体的に訳詞調?なのも相まって「中国の昔話が元ネタなのか?」と思いながら観ていたがそんなことはないらしい。しかし最後の力押しに如意棒、"海底から空に伸びる竜宮城の柱"を使っているのはニヤリとするネタだった。異なる世界、人と魚を繋ぐ物語のオチとしては最良のものの1つだったと思う。
アートワークについてはたぶんこの後でいろんな人が語るだろうから割愛。チャオのビジュアルが刺さりまくってるせいで公平なレビューができない。
強いて言えば動きのあるシーンにはもう少し音楽の存在感が欲しかったが、たぶんそれは好みの問題だろう。
【追記・真面目な話】
他のレビューを色々読んで思ったことを少し。
オリジナルのアニメ作品や、実写でもある程度フファンタジー・SF色の強い作品を視聴するにあたって「ピントを合わせる」というステップが存在すると思っている。
作中世界をどういう距離感で捉えるべきか、どこに焦点を合わせるべきか。簡単に言えば桃から赤子が生まれたこと自体は特に気にしなくていい、という判断の話。
個人的に今作では"寸法がバラバラな街の人々"や"鶴や狐との結婚"でそのピント調整がほぼほぼ完了していた。「あー昔話とかのノリね」と。
……割とそういうの苦手な人多いんだなと。
説明不足だと言う人やキャラの機微が分かりづらいという人が結構いるが、世界観も心情描写も作中以上にいちいち説明の必要があるほど複雑なもんではなかったと思う。
なんというか無駄に理屈っぽくなって、最初からレビューを書くつもりで作品を観るとこうなるよなっていう自分でも気をつけたくなる話だ。