「異常な事に慣れていく異常さ」長崎 閃光の影で ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
異常な事に慣れていく異常さ
広島に比べて取り上げられることが少ない(ように感じる)長崎での原爆被害を、日本赤十字で看護に当たった3人の看護学生の視点で描きました。
戦争末期でもどこかのどかだった町が原爆で一変し、過酷な状況の中でも懸命に仕事をした看護婦たち。まだ15歳だった主人公は当初恐怖で動けなかったものの、次第に使命感をもって働くようになります。
しかし被爆者は毎日どんどん亡くなっていくし、薬も設備も限られていて、病院(救護所)では非情な決断も必要となります。こういう事実があったことを忘れてはならないです。
戦時中に「ちよこれいと」をやっても大丈夫なの?とか思いますが、地方だと結構のんびりしていたのかも、でも教会で礼拝をしていたのにはちょっと驚きました。
映画としての評価ですが、若い世代に伝えるという意味では十分だと思います。
女の子たちは自然な感じで良かったです。小野花梨さんは上手ですね。3人が歌うテーマ曲も美しいです。
ただ、脚本と演出は、大人がお金を払って観る程のものでは無かったです。観客に若い人がいなかったんですが、むしろ若い人に無料で広く観てもらいたいです。
洗濯や玉音放送のシーンが舞台の場面を見ているように不自然に感じました。玉音放送って、「この世界の片隅に」では正座して聞いていたと思いますが庭で立って聞いていて、戦時中の人にはとても見えない婦長さんがラジオを途中で消す、なんて有り得ない気がしました。
朝鮮人の治療を拒否したシーンですが、拒否したけれどそれがずっと心の中で引っ掛かっていた、というのでは駄目なんでしょうか。日赤の看護婦がそんな事をした事実は無いという断り書きをするくらいなら、不要なシーンです。当時の風潮を表現したというならその通りの描写にするべきです。
実際に手記を書いた方の一人が主人公の現在という設定で出演してくれましたが、ナレーションの美輪明宏さんは男性の声にしか聞こえないので主人公の80年後の語りとしては不自然でした。
ゆり。さん、コメントバックありがとうございます。
人種差別自体は憎みますが、あの時代はそれが普通の感覚だったのかもしれません。悲しいことに。
もっと描いて欲しかったこと、深掘りして欲しかったことが多い映画でしたが、多くの人、特に若い人たちに観て知ってもらうにはこのレベルでもいいかと思いました。
ゆり。さん、コメントありがとうございます。・_・
>この映画を観た長崎市の方はどう思ったのかも気になりました。
そうですね。
被災した地域に関する映画となると
観たいような観たくないような、複雑な感情をもたれているので
はないか? と想像します。と、同時に
原爆のことを知らない人がいるならば、日本人だろうがアメリ
カ人だろうが ” 是非観て " と鑑賞を勧めたいです。 ・-・
ゆり。さん 、コメントありがとうございます。・_・
>被害の大きさ全体を知らないし、その後の原爆症で人々が長く苦しめられる
事も知らないですよね。自分も発症して、それでも赦しの心を持ち続けられたのか
そうですね。
死者の数70,000人と分かるのだって、だいぶ先の事でしょうし
原爆症で更に増えていく訳ですし…。
" 原爆が戦争を終わらせて、死者の増加を防いだ "
こんな発言をする輩を赦すのは、なかなか難しいです。
トミーさん、そうですね。戦争中で、大切なものを亡くし明日命があるのかも分からないという極限状態なだけでなく、日本が負けると思っても自分の考えを口に出来ない閉塞感、現代よりもっと強い同調圧力、異を唱える事が許されない時代でしたね。若い世代に観て感じてもらいたいですね。今後ともよろしくお願いいたします。
朝鮮人差別はあったでしょうね。日赤の看護婦がそういう行為をしたという記録はないということを断りとして入れただけで。私の勝手な解釈ですけれど…。
映画としての完成度は高いとは言えませんが、わかり易く若い人たちに伝える映画として価値はあるのかなと、思いました。ただ、それ故に演出が突っ込まれて趣旨ではないところで軽んじられてしまう危険性があるので、もう少しどうにかならなかったかという気持ちです。
でも、ガチガチにリアルに作っちゃうと、それはそれで観る人を限定してしまうジレンマがありますね。
岡本喜八という監督の「肉弾」という映画があるのですが、私にとっては人生で一番の映画です。
戦争のバカバカしさを伝える映画です。
もう映画館で上映されることはないでしょうし、目にできる機会はなかなか作れないでしょうが、もしも、どこかで見る機会があったら、ぜひ、見てみてくださいね。
大谷直子さんという女優さんのデビュー作になります。
沢山のコメントありがとうございます。
若い世代が最も違和感を覚えるであろう事が、どうして異を唱えない!?って所だと思うので、その時代の空気感、教育とか伝えられればと思いますね。今作にも色々そういう意図を込めたんでしょうが・・。
今後とも宜しくお願いします。
トミーさん、大変失礼しました。戦中、戦後の人々の他人を顧みる余裕もない殺伐とした様子、価値観がひっくり返ってそれを受け入れられない様子、そういうものを伝えたくて色々エピソードを入れたんでしょうが、入れ方が雑でしたね。朝鮮人が助けを求めたシーンも、トミーさんのおっしゃるように、他の日本人負傷者が、自分たちを優先しろと言った方が、看護婦の不名誉にならずに済みましたね。婦長さんの変貌も突飛すぎなので、町に一般の女の子が立ちんぼしている様子にして、それをヒロインたちが複雑な心境で見ている事にすればよかったですね。
(立ちんぼは現在もあるらしく、是非解消しなければならない問題です)
コメントありがとうございます。
自分の事として書いてたんですが、筆足らずで申し訳ありませんでした。
朝鮮人の下りは、そういう風にすれば解り易いかなと思いました。
宗教描写にはどうもシニカルな見方をしてしまうのも自分です。
ゆりさんの解釈に異を唱えている訳では無いので、重ねてご容赦下さい。
共感ありがとうございます。
色々、理解出来てない部分が在りますね。
玉音放送が偽だと思ってれば立って聴いてるかもしれず。朝鮮人の下りは邦人負傷者の言だったんでは?日本のキリスト教は殉教と切り離せない等々。中でも失明した女性を傷痍軍人が突き飛ばすシーンは凄いノイズでした。あり得ない事が80年前には行なわれていた事は知っておくべきでしょうね。
ゆり。さんこんばんは
原爆を投下されあの様な惨状で救護するのは大変で人が次々と亡くなり大勢の人が火葬される辛い状況にあったと思います。
"木の上の軍人"観る予定ではあったのですが都合がつかなくて…。
機会がありましたら観たいと思います。おすすめ頂いてありがとうございます。
すずさんたちが玉音放送を正座して聞いていたのは、昔の人がお行儀が良かったからではなく、それが天皇のお言葉だからです(当時の常識です)
実際には立って聞いていた人もいたかもしれませんが、当時の様子を伝えるのなら、正座するべきでした。ラジオを消すなんていう暴挙も出来なかったと思います。
uzさん、婦長さんは顔立ちが派手で色っぽかったですね。もう少しやつれた感じが欲しかったです。
美輪さんのナレーションなら、「私たち、」ではなく「彼女たち、」と言わないとおかしいと思いました。
コメントありがとうございます。
役者さんが悪いわけではないのですが、ちょっと色気あり過ぎてノイズでした。
最後に出てきた方はナレーションの声もあって男性にしか見えず、後から手記を書いた一人だと知りました。
悲惨さ悲痛さは重く伝わったので、もう少し細部まで配慮がほしかったです。