「現実」長崎 閃光の影で カタカタさんの映画レビュー(感想・評価)
現実
戦後80年作品が多く上映される本年。
長崎に原爆が落とされて様子が一変した街での看護学生の献身を、きりしたんと赤十字活動の面をからめて描く。
戦争を美化しない看護婦、他方で軍人の娘として生まれた婦長は「敗戦」を受け入れきれない。立場としてそれぞれの思いが交錯する。
当作品のよい面は、包み隠しなく惨状を現していること。
患者にウジ虫がわいたり、赤痢が蔓延したり。死にゆく民にも手当てを施す一方、手遅れと判断されたら捨て置く。一見無惨に見えるが、救える生命と薬品の残量には限りがある。
ストーリーは暗鬱として進む。
違和感を覚えたのは、多数の患者が汚れに汚れている一方で、看護学生の白衣は汚れ一つない。当時は洗濯もままならない衛生状況で看護に当たらざるを得なかった、と描く方がよりリアルではなかったか。
登場する役者さんの9割方知らなかったが、小野花梨さん(と後で知った)の片足引きずりながらの献身的な看護姿が目に焼きついた。
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