劇場公開日 2025年8月1日

「閃光が奪えなかったもの」長崎 閃光の影で しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 閃光が奪えなかったもの

2025年8月1日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

 通常スクリーンで鑑賞。

 原案(閃光の影で)は未読。

 筆舌に尽くしがたい悲惨な状況下、悩み傷つきながらも目の前の命に懸命に向き合う少女たちの姿に胸が痛んだ。
 看護の甲斐無く、患者が次々に命を落としていく。己の無力に打ちひしがれる暇無く新しい患者が運び込まれる…
 地獄のような日々だっただろう。言葉も無い。

 物語の中盤、スミ、アツ子、ミサヲが喧嘩をしてしまうシーンに、涙が溢れて仕方が無かった。原爆が、ひいては戦争が、彼女たちに齎したものは何かを端的に示していたからだ。

 一瞬の閃光が奪ったのは、命だけではない。本来なら背負わずとも良かった十字架である。過酷であろうと受け入れるしか無かった現実はあまりにも残酷だ。しかしながら、閃光が奪えなかったものもある。それは、生き残った者として、今を、未来を生きていかねばならないと云う強い意志だと感じた。
 トリプル主演を飾る菊池日菜子、小野花梨、川床明日香がそれぞれ、スミ、アツ子、ミサヲとして天使のような歌声を披露する主題歌「クスノキ‐閃光の影で‐」の歌詞にこうある。
「我が魂は 奪われはしない この身折られど この身焼かれども」。原爆(あるいは戦争)の惨状を乗り越え、生きて来た人々の姿を、爆風や黒い雨を浴びても尚逞しく葉を茂らせる被爆クスノキに託したこの歌詞が、実感を伴って胸に響いた。

 日本人として、原爆のこともしかり、アジア・太平洋戦争について、決して忘れてはならないと思う。しかしまた、当事者としては、忘れねば生きていけない苦しみでもあろう。
 その痛みは、想像することしか出来ないのが歯痒いが、私たちに出来ることは、知り、考え、このようなことは二度と繰り返すまいと云う想いで語り継ぐことではないだろうか。

[余談]
 映画としては、語りたいことを詰め込み過ぎて散漫になっている印象。焦点を絞っていれば名作たりえたかもしれない。

しゅうへい
しゅうへいさんのコメント
2025年8月3日

sow_miyaさん
コメントありがとうございます。
胸の痛くなるシーンでしたね。小野花梨の演技が出色だったのも大いに共感します。

しゅうへい
しゅうへいさんのコメント
2025年8月3日

トミーさん
コメントありがとうございます。
当時の実情をなんとしても描きたいと云う想いは伝わるだけに、ちょっぴり惜しいなと…

しゅうへい
sow_miyaさんのコメント
2025年8月3日

3人のケンカのシーン、私も落涙しました。赦したいと言った彼女が実は抱えていた忘れられない憎しみ。家族を全て失った小野花梨が、自分を責めなくてはならない理不尽さ。たまたま恵まれているような状況になった主人公の葛藤。深く心に残りました。

sow_miya
トミーさんのコメント
2025年8月2日

淡々と描こうと心がけてるのに、コレもコレもの意余って・・に感じました。ま、朝鮮人差別とか青酸カリと米兵援交とか結論は出せない問題ですが。

トミー