「【”原爆は地獄。けれども生き残った私達は、生き続けてあの出来事を忘れない事が大切。”私は、世界で唯一の被爆国である日本が、今作のような映画を制作、公開する意義は非情に大きいと思うのである。】」長崎 閃光の影で NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”原爆は地獄。けれども生き残った私達は、生き続けてあの出来事を忘れない事が大切。”私は、世界で唯一の被爆国である日本が、今作のような映画を制作、公開する意義は非情に大きいと思うのである。】
■太平洋戦争末期、1945年8月。
日本赤十字社の看護学校に通う田中スミ(菊池日菜子)は学友のアツコ(小野花梨)やミサヲ(川床明日香)と、大阪から故郷の長崎に帰省していた。
だが、9日に長崎に原爆が投下されスミたち3人は被爆者たちの救護活動に当たる事になる。物資が乏しい中、救護に当たるが彼女達の目の前で、原爆病にやられた多くの人たちは次々に亡くなって行く。そして、彼女達の家族も又、犠牲になっていたのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・最初に敢えて書くが今作のストーリー展開はやや粗い。それは被爆直後の長崎で救護活動に尽力した日本赤十字看護師の方々の手記が基になっている事で、様々なエピソードが断片的に描かれているからである。
だが、私は、原爆投下直後の長崎の街の姿や人々の姿を始め、多数のエキストラの方々の協力により制作された事や、世界で唯一の被爆国である日本が、且つての出来事を風化させないという今作のメッセージは重く伝わると思ったのである。
・スミ、アツコ、ミサヲは皆10代。
それが、あのような悲惨な出来事を目の当たりにして、被爆者の方々の救護に当たる姿を見ると良く頑張ったモノであると、素直に敬意を表する。
■今作での印象的なシーンは多数有るが、原爆の爆風により両目の視力を失った女性が、赤ん坊の男の子を産み落とし、その後息絶える姿である。
彼女の亡骸は、多数の亡骸と共に火にくべられる。
そこには、弟の死骸を背負ったビシッと敬礼をする小さな兄も並んでいるのである。個人的にこの男の子の姿は、沁みた。軍国主義が身体に叩き込まれながら、健気に生きる姿にである。
又、赤ん坊の男の子は施設に引き取られ、その施設を運営する女性(南果歩)により、スクスクと育っているのである。
”人間の命の伝承は、原爆なんかには負けないぞ!”と言うメッセージに感じたシーンである。
・今作の中では、助けを求めに来た朝鮮人の女性に看護師長が”朝鮮人にやる薬はない!”と蹴飛ばして追い返すシーンや、その看護師長が敗戦後に、米兵から貰ったチューインガムを持っている姿や、彼女が米兵と街に消えて行くシーンも描かれている。実際に在った事なのだろう。この映画ではこのようなシーンも、キチンと描いている所が、素晴らしいと思うのである。
■出来得れば・・。
今作をガザ地区に爆弾を落とし続ける国を統べる男や、ロシアを長年独裁的に統べる男や、中国のムーミンや、米国を統べる若き時にアンフェタミンを常用していた結果、気性が激しく攻撃的な性格のオレンジ色の顔をした男や、民が痩せているのにポッチャリ太ったトッチャンボーヤに正座して観させたいという衝動に駆られたモノである。何故ならばいづれも核を使う可能性がある国であるからである。(一部、保有疑惑国含む。)
<今作は、原爆が投下直後だけでなく長年に亘り無辜なる人々を苦しめる兵器である事を伝える作品なのである。
エンドロールで流れる広島、長崎での死者数の多さよりも更に被爆した事で長年苦しんでいる人はもっと多くいらっしゃるだろうという想いと、全世界に核弾頭が12,331個あるというテロップにも暗澹たる気持ちになるが、私は、世界で唯一の被爆国である日本が、今作のような映画を制作、公開する意義は非情に大きいと思うのである。>
後遺症迄経験したのは日本位でしょうからね。
作品は色々エピソード(朝鮮人、ギブミー、米兵援交等々)を散りばめ過ぎて、散漫な感じになってましたが、やはり抑えきれない憤りが湧きます。