「上映時間118分の一瞬たりとも油断が出来ません」ベテラン 凶悪犯罪捜査班 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
上映時間118分の一瞬たりとも油断が出来ません
リュ・スンワン監督、エンタメ×アクションを見事に融合させつつ、本筋としてはどの作品にも「権力に物を申す」強い芯を感じるからこそ、観る側にも琴線に触れて強く印象に残る作品の作り手だと思います。そんな監督の新作が、ここに来て思ってもみなかったまさかの『ベテラン(15)』続編。そして、監督とのタッグ作品も多く、演技派でありながらタフなアクションに見応えがあるファン・ジョンミンが、今回も引き続き主演を務めるとあれば勿論見逃す手はありません。前作ではそんなファン・ジョンミンを追い詰める「マジ狂犬かよ」なヤバみ充分のユ・アインに大変興奮しましたが、今作のヴィラン(ネタバレ回避のため役名伏せます)はそれを優に上回る戦闘力×頭脳戦で、到底勝てる気がしないヤツが相手となります。
ヴィランが犯す「自分の正義を主張するような殺人方法」に対し、そこに便乗して煽る「ネットメディア」と同調する「ネット世論」が事件をより混沌化させていきます。そんな中、前作のヴィラン一味の一人であったチョン所長(チョン・マンシク)が「次のターゲット」に浮上し、意に反してチョン所長の警護を命じられるソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)等、オ チーム長(オ・ダルス)とそのメンバー一同。明らかに人員不足である状況を補うため、前の騒ぎをきっかけにその力を見込んだパク(チョン・ヘイン)をスカウトして仲間に引き入れるのですが…
前述では一応役名を伏せた今作のヴィランですが、観ていれば常に「違和感」を感じる言動や、カメラアングルを駆使した演出と編集など「もしかして?」と想像させつつ、唐突感がないストーリー展開によって余計にハラハラ感が高まります。そして中盤以降はマルチに影響が拡大していき、いよいよヴィランの正体が明らかになった時には既に「逃げ場」のない危機一髪な状況。テクニックだけに走らずしっかり理にかなった伏線回収は、観ている側の想像を容易に超えるアイディアが満載。だからこそ、上映時間118分の一瞬たりとも油断が出来ません。(エンドクレジットも最後まで観てくださいね!)
ちなみに前作はしばらく配信がありませんでしたが、つい最近(おそらくこの上映に合わせて)Amazon Prime Videoで特典配信中。必ずしも前作を観なければ理解できない続編ではありませんが、単純に面白い作品であるためこのタイミングに併せての鑑賞がお薦めです。
