劇場公開日 2025年4月11日

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「「新しい正しさ」に関する問いや葛藤にはほとんど答えないかっこよさ」ベテラン 凶悪犯罪捜査班 えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 「新しい正しさ」に関する問いや葛藤にはほとんど答えないかっこよさ

2025年4月13日
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鑑賞方法:映画館

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ベテラン刑事ソ・ドチョルと、凶悪犯罪捜査班の刑事たち。法では裁かれなかった悪人が連続して殺された。不条理な司法制度に憤っていた世論は、私刑を下す犯人を善と悪を裁く伝説上の生き物“ヘチ”と呼び、正義のヒーローともてはやすようになる。ドチョルに心酔する新人刑事パク・ソヌが加わり、事件は解決に近づくかのように見えたが・・・(公式サイトより)。

韓国で大ヒットを収めたアクション映画『ベテラン』の9年ぶりの続編。完全にイカれた財閥の御曹司を相手にしていた前作は、水戸黄門ばりの勧善懲悪の痛快活劇だったが、時を経て、スマートフォンやSNSが台頭する現代を舞台とする本作は、一筋縄ではいかない「正義」がテーマ。

煽動的な動画配信者やいいね数、虚実入り混じった情報の拡散などによって、法よりも世論(という見かけをした一部の過激な私見)が「新しい正しさ」になり得る社会を描きながら、個人的な問題を抱える前時代的なベテラン刑事ドチョルが、「新しい正しさ」に関する問いや葛藤にはほとんど答えず、ド派手なアクションで突き進むところがたまらなくかっこいい。「いい殺人と悪い殺人があるのか!?」と大声で野次馬に投げかけるシーンをはじめ、かれの姿勢が薄っぺらな私刑と法治警察との、優劣と言っていい「違い」を見せてくれる。

怪演する若手枠として、前作のユ・アインに続き、チョン・へインがドチョルに心酔するパク・ソヌ刑事を見事に演じきった。今作はカーチェイス比が下がったかわりに、肉弾戦比が3割くらい上がっているが、かれの功績である。

それにしても、ファン・ジョンミンは相変わらず良い仕事をする。本作を観終わった後、韓国ラーメンを食べながら、「日本版ベテランを作るならドチョル役には誰をキャスティングする?」という空想に花を咲かせるのが正解である。

えすけん
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