「『きさらぎ駅』の攻略、その先へ」きさらぎ駅 Re: bexさんの映画レビュー(感想・評価)
『きさらぎ駅』の攻略、その先へ
きさらぎ駅から戻ってきた明日香のドキュメンタリーから始まる今作は、2004年に始まった『きさらぎ駅』の時を現代まで進めてくれたなと感じた。
当時は今と比べて、「嘘かもしれないと思いながらも乗っかる」というノリの良さというか懐の深さがあったように思うが、今は皆「どんな嘘であっても嘘を暴いたやつが正しく強い」というどんな手でも使って人の上に立ちたいという欲が蔓延しているようだ。
異界から帰ってこれてしまった人がその後どんな扱いをされるのか、考えた事が無かっただけに非常に見ていてやるせない気持ちにさせられた。
という所まで明日香の計算の上で撮られたドキュメンタリーなのでした。ってオチはなんか強かで好き。
前作はきさらぎ駅の攻略、今作はきさらぎ駅の乗っ取り、世間への復讐のツールにまで使ってしまうとは。
好きなんだけど、本来のきさらぎ駅が持っていた神秘性というか秘匿性のある魅力は失われてしまった気がして、星をちょっと減らした。
やっぱり映画きさらぎ駅の怪異に宇宙的な物を感じるな。
そこら中を這い回る血管といい巨大目玉といい、非常に肉々しい。
別に化け物の体内だとかは思わないが、何か得体のしれないモノが魂を込めて作った世界には思える。
本当は、今作で皆救い出されると思っていた。
全員じゃなくとも、もっと救いのある物語になるのではないかって。
でも蓋を開けてみればなんだか取り返しのつかない終わりになっているじゃないか。
この監督が撮るきさらぎ駅はどこに向かって行ってしまうのだろう。
ドキュメンタリーで再現されたきさらぎ駅はまんまさぎの宮駅で、本当のきさらぎ駅は八木沢駅っていうのもなんか良い。全然別で行った人しかわからないのよ的な表現に思う。
一度聖地巡礼してみたくはあるが、それって最後にきさらぎ駅のホームに集った短慮な野次馬達と変わらないような気がして醜さに嫌気が差した。
確かに興味もあるけど、敬意も抱いて行くので許してください。
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