8番出口のレビュー・感想・評価
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喘息発作は息を吐くときがしんどい
人生の色んな葛藤やしがらみを迷路に例えるのはいささか安易ではあるが、おじさん・子供・おねぇさんの象徴的な使い方が面白くて楽しめた。あのまま脱出できずに終わったら、それなりのカフカ的映画になるんだろうが、これはもう趣味の問題。
二宮和也のいい感じの下級兵士感や、子役の健闘も特筆しておこう。
見たほうが良い。日本の新世代の映画。
「なんでこんな状況になった」「どういうことだよ」「なにこれ」といった凡庸なリアクションを抑えたこと自体が、この映画の勝利だと思う。現実的に考えるのならそんな余裕はないはずで、観客に寄り添いすぎないで表現を優先した姿勢が良かった。日本映画にありがちな押し付けがましさもなく、自然に共感できる形に落ち着いていたのが海外にも受けた理由だろう。
主演の二宮さんも自然な演技で、善人すぎず悪人すぎない日本人像をうまく表現していた。ただ一番印象に残ったのはアングルやカット割りだ。さりげない違和感や伏線を自然な形で差し込んでいるので何も考えずに視聴している人は何かを見逃してしまう。私も気づけばゲームのように画面の中から異変を探していた。
ストーリー自体に特別なものはなかったが、それもむしろ良かった。この映画の主役は人間ではなく「8番出口」そのもの、という意図がはっきりしていたからだ。
もちろん、物足りない部分もあるし、まるでワンショットみたいな演出も間が長い所もあったが、そんな点を私はマイナスにするつもりはない。世界に打って出たいのなら、このような映画の作り方がスタートラインになると思う。
映画館出口を出た後の行動を問われる映画
長回しにして本当にゲームの世界に迷い込んだような撮り方や、8番出口のセットは多分1つのはずなのに、繋がってるように見せる撮影技術とか凄すぎですね。どこでカットしてるんだろう。
場面はずっと同じなのですが、飽きさせないようにちゃんと展開を作ってあって素晴らしかったです。
途中、おじさんにスポットライトを当ててくるとは思いませんでした。この辺はゲーム知ってる人じゃないとサプライズ感無いのかも。
冒頭で、主人公がスマホで人の耳付きネズミや津波動画等の記事をスルーして下にスクロールを進めてたのが、8番出口で実際にネズミや津波に遭遇したら恐怖を目の当たりにして引き返そうとする(ルールのこともあって)のが対照的でした。
とにかく無駄が無くて洗練されてて、実験的なアート作品という感じで素晴らしかったです。
ストーリーとゲームの無機質な世界観のバランスも良くて、ストーリーでコテコテになりすぎてもイメージと違うし、ゲームそのまますぎても淡白すぎるので、丁度良かったと思います。
ラストも主人公が新たなアクションを起こす瞬間で画面真っ黄色、ボレロのリズムに合わせて表示される断片的なテロップ描写、アートですね。
もう少し主人公達の行動にリアリティがあれば最高だったんですが、十分楽しめました。
8番出口の予備知識がない方は、ゲーム実況をYouTubeで見て、ゲーム内容をある程度把握してから見ると何倍も楽しめると思います。
じじい
には全く理解できなかった。
理解できないとするとゲージツか???
とも思うが、ゲームベースらしいからそれはあるまい。
評価が意外に高いので、二ノなら何でもありなのか?
それともゲーム世代には理解できるのか?
とにかくじじいはつまらなかった。
手持ち無沙汰で何度も時計を見た。
それでいろいろと妄想を・・・・。
小松菜奈と言えば私の印象は魔性の女。
これは小松菜奈が仕掛けた8番出口を舞台にした父親適性試験か?
あの子は実は何らかの事情でできたおっさんとの子でおっさんは失格。
仕方なく二ノに押しつけるために誘い込んだ。
まんまと策に嵌まった二ノは父性に目覚める。
まあ、違うだろうしどうでもいいけれどそれほどつまらなかった。
せめて、小松菜奈にもっと本領発揮して欲しかった。
賛否両論とはこの映画のことかな
公開日に新宿で見ました。
若い方を中心にほぼ満席の劇場。
結論から言いますと、面白くはないです。
駅構内、しかも改札出てから出口までだけという1つのシチュエーションですが、空間が広くも狭くも感じる展開がいいと思います。8へのカウントダウンが空間を無限の広さに感じさせ、合間に挟まれるおじさんさんが空間の息苦しさを引き立てる。不思議な感覚が良かったです。
ただ全て見終わった時に、「あれはなんだったんだ?」と謎のまま終わる部分が多すぎます。というか全てが謎のまま終わるので、映画の終わりは何も感じることができません。
こんな感じで、他の作品を見ることをお勧めします。
もちろん今、ボレロを聴いています。
流行のインディーズゲームを映画化、という流れを知ってると驚くほど...
流行のインディーズゲームを映画化、という流れを知ってると驚くほどきっちりした作り。ほぼ一人芝居とはいえ一流どころの主演に、特異な設定に対してちゃんと整合性を持たせた映画オリジナルの脚本、おまけにループものだけにメインテーマは「ボレロ」!…サマーシーズンのホラー映画なんだから、もうちょっと肩の力抜いて作れば?と半畳を入れたくなるほど。もちろんホラー映画としてもしっかり怖く、お約束のジャンプスケアだけでなく、ループする閉鎖空間ならではの緊迫感が、主人公の喘息設定、視点の切り替わり等工夫を凝らして、最後まで持続するのも上手い。主演には文句のつけようもないが、「おじさん」と「女子高生」の絶妙な人外感(NPC感?)には名脇役賞をあげたい。
二宮はうまい
背筋が伸びる
自身の人生への迷いそしてその決断を迫られていく映画。
迷う男はその名の通り決断しきれぬまま迷うのだが、おそらく未来の自分の子である少年と出会い、咄嗟の判断で命を助ける。ここでもう迷いから抜け決断しているのだろう。
そして少年も迷う男も8番出口から出ることができ、迷う男は電車内でも決断し一歩踏み出そうとしている。きっと男には海辺で親子3人戯れる未来があるのだろうし、少年は8番出口に入り込むことはないのだろう。そういう希望を見いだせるような最後が良かった。
個人的にゾッとしたのは、迷う男が開いてる扉を開けた先に電車に乗ってる自分の顔を見たとき。罪悪感を抱える行い真っ最中の自分の顔を真正面から突きつけられる…あらゆる負の感情に襲われ怖くて仕方なかった。涙が出た。
あと8番出口の本当の出口が下り階段だったこと。またさらに地下に入らなければならないんだと。登り階段で地上に出れる、、いや、出たいと思ってしまうではないか。
そう、私はこの世界観に放り込まれたらおじさんと同じ行動をとってしまう。
0に戻されたら子供の前でも発狂するし、我に返って精いっぱいの作り笑顔をし一緒に異変を探すよう強要するし、反応の薄い子供にイライラする。そして登り階段を見つけたら嬉々として登って行く、、人間じゃないバケモノコース一直線な自分が容易く想像できてしまう。
せめて歩き方もおじさんみたく姿勢正しく美しく歩きたい。そう思い、最近は背筋を伸ばして歩くようになった。
がんばった方、ではある。
二宮くんを使ってやるのもいいし、映画独自のエッセンスを落とし込むのもいい。単調ではない。
だが、流石にそれだけでは拭いきれないものはある。
まず主人公が理解するスピードが「少し早い」。リアリティを求めるならもっと隅々まで確認をするフェーズがないと、こういう「ゲーム」系は厳しい。だから「ゲーム」系は説明役の人間が存在し、教える役割がある。
自分は実況を見て仕組みを知ってはいるから飲み込むのが早いけど、知らない人はどうだろうな。
一個一個異変を咀嚼し、そのスピードをだんだん早めた方がリアルで良かった。
あと最初の手持ちカメラ、やめてほしい。
画面酔いする。
ラースフォントリアーか。
まぁ、あそこまでは酷くないけど体調悪化したわ。
二宮くんターンで圏外になっていた電話が途中で復活して未来の奥さん?に電話するシーン。単調を打破したかっただろうがまず電話が繋がったなら「いまこういう事が」という報告がいの一番に来るだろうに、冷静になって「赤ちゃんが泣いてて」じゃないのよ。
あと異変があったら「異変だぁ」みたいな感じになるのやめなよ。そりゃ圧巻のCGとか見せたいだろうけど、普通なら引き返すよ、異変なんだから。うわぁ〜じゃないのよ。
おじさんのターンも、おじさんの説明を省いているから感情移入が出来ない。なんかネックレスに奥さんが…みたいなのも絶対欲しかったな。ただのデカいハゲおじさんにしかなってない。
感情変化が映画のキモなので、最初と最後で同じシーンを繋げて最後が違うアクションなのは良かった。あと子どものほっこり感。
知り合いと行ったので、帰りの地下鉄で異変があるぞー!ってやれたのが楽しかったので、行かれる方はぜひ楽しいお友達と行ってください。
あと画面酔いする人はマジでやめた方がいい!あのちゃんの例のCMで酔う人は無理かも。
頑張った方ではある。
最後に見事に集約
良作。
おじさんが面白過ぎた
ゲームの内容にどうストーリーをくっつけるんだろう?とワクワクしながら観ましたが、成程、こうきたかーと思いました。
特におじさんのバックストーリーのくだりがめっちゃ面白かった。
もうこれは助演男優賞はおじさんで決まりですね。
勿論メインの二宮さんのストーリーも良かった。
異変に気付かないで突き進んで0番に戻った時の暴れっぷりなど数あるゲーム実況の絶叫と脳内リンクしてニコニコしながら観れました。
ラストのオチも含めて短編の小説を読んだような爽やかな読了感がありました。
ただひとつだけ気になったのが喘息の描写ですね。
二宮さんの吸入器の使用方法がちょっと雑過ぎると言いますか、アレの正しい使い方を知ってる身としては「多用し過ぎると心臓に負担がかかり過ぎて余計にしんどくなるんだけどなー」と雑念が過ってしまいました。
1回使用した場合、すぐに2回目を吸わない方がいいんですよね本当は。ただそんな風に冷静では居られなかったからああいう描写になったんだろうとは思いました。
続編が出たらまた二宮さん主演で是非観てみたいですね!
∞
あのゲームをどうやって実写化するんだろうというところに注目していましたが、ニノを采配してきた時点でかなり力が入っているなと思い期待値が上がりました。
ほぼ満席だったので泣く泣く一番前の席で観ましたが、雑踏が聞こえなかったので結果オーライでした。
しっかり1本の映画になっていたなと思いました。
安っぽい作品に仕上げるのではなく、しっかりゲームを踏襲しつつも視点を変えたりしながら進めていきますし、メタファーを交えつつの展開もメリハリがあって、8番出口という題材からよくぞここまで仕上がったなぁと感心するばかりでした。
付き合っていた彼女が妊娠したことがきっかけで悩みが肥大化していき、気がついたら8番出口へと向かう駅行路に迷い込んでいた男の話であり、そこで起きる異変を見つけながらルールに沿って進めていくというゲームの要素をしっかりと落とし込んでいるのも好印象でした。
序盤に電車内で泣いてる赤ん坊を泣きやめさせられないお母さんに叱責するサラリーマンがおり、みんなも注意しないし、自分自身も注意できない事にモヤモヤしていたという展開がストーリーの1つの軸になっていくというのも興味深いところです。
異変が見つかったら引き返し、異変が見つからなかったら引き返さないというシンプルなルールの元進んでいくので、絵面はそこまで変わりませんが、ニノの体感型ゲーム実況をスクリーンで眺めているという感じで観るのがベストだなと切り替えられたのが功を奏しました。
ゲームをやっている時にも思いましたが、こう見るとステージ自体かなりコンパクトだなぁと思いました。
2回しか通路を曲がらないですし、ステージギミックはポスターの変化を含め微々たるものなので、ゲームをやるならまだしも映画となるとかなり難しかった思います。
ジャンプスケアに全部頼るのではなく、原作要素を交えた驚かせ方で工夫されていたのも好印象でした。
視点変化でおじさん視点や子供視点を入れてストーリーに変化を加えており、特におじさんはおじさんで葛藤しながら進んでいたんだというキャラクターに寄り添える作りになっていたのも面白かったです。
映画なりの脚色でホラー要素が追加されていましたが、正直そこまで活きていたかというと微妙なラインだった気がします。
バカデカネズミの大量発生はモンスターパニック要素で異変どころの騒ぎではないですし、突然の大洪水からの違う空間への移動っていうのもぶっ飛んでてうまいこと飲み込めないのでなんとも言えない追加要素だったなと思いました。
あとそこまで8番出口で苦労している描写が描かれないので、そこまで悔しがらないでも…と思えるシーンがあったのは惜しいな〜と思いました。
オチでの心情の変化を異変とうまいこと繋げて最初の電車のシーンになるというのもエッジが効いてて個人的には親指を立てたくなるくらい良いオチだったなと思いました。
今作は間違いなくニノが引っ張っていたなってくらい1人演技の時間が多く、ニノじゃないとダメなくらい凄み全開でした。
喘息という密室空間だからこそ頻繁に起こってしまう症状に納得いくものにしてくれたのもニノのパワーがあったからだなと思いました。
河内さんの変わらない表情と動きが凄まじすぎましたし、そりゃカンヌでAIなんじゃない!?と思われるのも納得の静かに狂気じみた演技で最高でした。
中々実験的な作品でしたが、邦画を間違いなく盛り上げてくれる存在なので、ロングヒットに期待です。
鑑賞日 8/30
鑑賞時間 10:40〜12:30
おじさんも色々あったんやな
原作ゲームファン。ストーリー的な部分が原作はあっさりしてるのに比べ映画ではかなり濃厚。主演二宮和也を"迷う人"の位置に置き、妊娠や赤子に対する社会的なテーマを中心とした話。
原作ではとくに触れられなかった部分に沢山触れられててよかった。特におじさん。ファンブック見てるみたいで楽しかった。おじさんも人の話をちゃんと聞く姿勢があれば何かに向き合えたかもしれないのにね。
ラストシーンが色々解釈あるよう。私はこの映画ではあの異空間の通路を"迷う人"達が異変探しを通して決断出来るように成長させる通路として描きたかったと感じた。つまりあのラストシーンも自身が下した決断と向き合う事への恐れを表してるのだと解釈。
レビューでも何度か見かけたけどとても哲学的。原作では低めの赤い波が襲ってくるシーンがまさかの超リアルな津波だったり。まあ津波だったのは流産を意図していそうだけど。子供がどう足掻いても流されてしまう状況で迷う人が助けるという状況こそが決断の瞬間だったのかも。
印象的なのはコインロッカーベイビー。「お前が殺そうとした赤子が泣いてるぞ」とでも言わんばかりの迫力だった。
全506件中、61~80件目を表示
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