8番出口のレビュー・感想・評価
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少年が救いに感じた
最初は困ったような不服そうな表情の何を考えているか分からない子供
そこから立ち止まって教えようとしてることや異変に気づく能力の高さでだんだん少年が好きになっていく
おじさんを必死に止めようとした時
その後の迷宮の装置の一つになったおじさんを追いかけた時
それまではまだはっきりしなかった少年の感情が見れておじさんが少年にかけていた情は無駄じゃなかったと救われた気がした
おじさんとの反省を活かしてか迷う男に対してはもっと分かりやすく行動するようになったところも人が変われることを示すようだった
少年、喋れたんだ
おそらく普段からほとんど声を出さない子なのだろう
目を覚ましてたわいない話をする2人と海辺の映像からは男の未来にいる大切な息子
少年の過去にはいない頼れる父親を想像させてそこも救いになった
そして自分を必死に助けようとした男が流され1人で少年が目覚めるシーン
男を探してこれまでの選択が泡になるのではと危惧したものの
出口へ向かって歩いて行く少年にはどんなに辛いことがあっても人が立ち上がれることを見せられた
振り返った少年は迷宮の中に男が残っていることを考えただろう
けれど引き返したところで迷子が増えるだけ
同行者とはぐれた時に外に出て合流する誰しもしたことがある経験
外に出ても少年と男がいつか再会できるか知るすべはないけれど少年が去った直後に男が現れたことで少年の選択は間違っていなかったと見る側は知れてこれも救いだった
8番出口から出た少年はきっと前より少しだけ母親に分かりやすく感情表現するようになるのだろう
母親も息子の変化に気づくかもしれない
そんな少しだけ生きやすくなった親子を想像するだけで救われた思いがする
疑問と不快感と説教臭さ。結局何が言いたかったのかわからんかった。
今更ながら「8番出口」のレビュー(´・ω・`)。
ストーリー「喘息持ちの男(二宮和也)は今日の仕事先に向かっていた。満員電車の中では、泣く赤ん坊に男がいら立っている。駅を進んでいる途中、元カノ(小松菜奈)から妊娠したとの電話が入る。迷いながらも病院へ向かおうとする男だが、どれだけ歩いても駅の通路から出られないことに気づく。看板を見ると、いくつかのルールが書かれている。そして怪現象が起きていき…?。このループを抜け出すことは出来るのか、男の運命や如何に!」みたいな感じ。
Youtubeとかで有名な実況向きホラーゲームってことくらいしか原作知りませんでしたが、ホラー系好きなので観てきた。ですが、タイトル通り正直何を描きたいのかわからんかった(/ω\)。
■そもそも
・こういう「どうしよう赤ちゃんできちゃった…」みたいな始まりがキライです笑。品のない言い方ですが、「ヤることやったら、デキるもんできるやろ(´・ω・`)。アホなんか?」って話で。この始まりで、既にメインキャラの男女に不快感があった。
■何が主軸なのか
・観た人はわかると思いますが、基本的には「主人公が成長し、父親としての覚悟を決めていく物語」として描かれています。ループは人生の迷いや葛藤を表していて、それらを乗り越え出口に向かっていく。それはいいけど、これってホラーがベースなのよな?(´・ω・`)。原作を知らないけど、わざわざ成長物語入れる必要あったのか?
■おじさんと少年とJK
・本作のマスコットというか、インパクト絶大の「おじさん」ですが、この扱いが納得いかない(/ω\)。マジでなんであの描き方になったのか(゚Д゚;)。このおじさんの扱いで、今作の軸がわからなくなってしまったと感じた。
・上で書いた通り、主人公の成長物語なのであれば、おじさんは「主人公の対比」的な存在なのかと思っていた。「表面上はニコニコしてるけれど、中身は自己中心的で攻撃的」みたいな。でも、「めっちゃ頑張ってるいい人やん!(/ω\)」としか思わんかった笑。
・おじさんの続き
他の方のコメントとか見てると、「最後子供を置いて行ってしまったから」みたいな評価もありますが。何回もループして精神的に追い詰められても、子供相手に膝を曲げて目線を合わせ、手を取って歩こうとし、賛否両論あるであろう子供の戦犯シーンでも子供に直接当たり散らすこともしなかったし。自分の子供でもないのにメッチャ気を使ってたと思うんだけどなぁ(´・ω・`)。
・子供
個人的には最後まで喋っちゃダメだったろ、と思った。喋れんのかい!って。そのせいで、例のおじさんとのシーンが戦犯ムーブっぽくなっちゃってる。結局主人公とおじさんで対応が違いすぎる理由がピンとこなかったし、主人公とは親子なので当然かもしれませんが、そのせいでおじさんが不憫すぎるだろ。
・叔父さんパートに出てきたJK
超ノイズ。マジでイミフ。この人が出てきたとき、完全に妄想ですが、「おじさんは家庭にも会社にも居場所がなく、少女買春(パパ活?)に手を出した。その結果家族に追い出されて、完全に帰る場所がなくなった。」のかなと思ったんすよ(´・ω・`)。そして8番出口につかまったのかなと。おじさんが元既婚者で子持ちだったなら、子供相手に丁寧な対応ができたのも納得だし。上で書いた通り、自分はおじさんは主人公の対比だと思っていたので、「父親としての覚悟が決まり切らなかった、失敗した主人公の未来」として描かれているのかなと。でもおじさんメッチャ出たがってるし。「このままここにいてもいいんじゃないですか?」とか言われても、「出たいって言ってんだろ!」って話で笑。この女性はメタファー的な意味で、「性・欲望・誘惑」的な役割があったんだと思いますが、結局主人公とはカスりもしないし。ホントになんで出したのかわからないキャラだった(/ω\)。
・元カノ
台本の犠牲者。冒頭に「赤ちゃんできちゃった…」しかやらんせいで、「別れた男に人生の選択丸投げしてる人」みたいになっちゃってる。主人公が父親になるなら、アンタは母親になるんやで?って感じ。もうちょっと内容に介入してもよかったんじゃないかな?。主人公が全力で失踪してたら話終わっちゃいますぜ(´・ω・`)。
結論
タイトル通りですが、結局何が伝えたいのかわからなかった。主人公の成長ドラマがメインならおじさんもJKもいらんし、理不尽ホラーなら成長ドラマがいらんし。その上で「泣いてる赤ん坊への接し方」とか「父親としての覚悟」とか妙に説教臭いというか、負担押し付けてくるなー、って感じた(´・ω・`)。
批判されるかもだけど。満員電車で赤ん坊泣いてたらうるさいし不快だよ、ストレスだよ(怒鳴らないけどさ)。社会的にはもう他人でしかない元カノから妊娠告げられて、しかも元カノは自分の意見言わない(台本の都合だけど)もキツイでしょ。それらを「父親としての覚悟」パワーで乗り越えろ、って言ってるようにしか見えんかった。これが原作通りならともかく、わざわざこのストーリー用意した意味が伝わりませんでした。
得られるものがあったとしたら、「子供作る予定がないならちゃんと避妊しましょうね」ってことかな?(´・ω・`)。映画「8番出口」は壮大な性教育だった…?(゚Д゚;)
見る分には良い映画
1人の男が変わるために必要だった無限ループ
まず、二宮和也ってあんな爽やかさもオーラもない男も演じられるんだ、という驚きがあった。
言われるまで気づかなかったよ、言われても二宮和也に見えないよ。
時系列もなにもかもごちゃごちゃの展開。
頭が混乱するが、ゲームでいうところの進むと引き返すの直線的世界に映画らしい奥行きが足されたようで、作中にあったエッシャーの絵のような面白さを感じた。
特に「迷う男」が津波から「少年」を助けるくだり。
「迷う男」があそこで逃げずにガッツを見せられたのも、波から連想した、まだ産まれていないはずの自分の子供が遊ぶ姿を眺めながら妻と交わした会話の記憶とかいうめちゃくちゃな経験によるものだろう。
それでも「迷う男」が父になるにはそれが必要不可欠だった。
他に印象深い点。
これまで一部の歪みもなく歩く怪異だった「歩く男」が人間になった瞬間震えた。
これは映画ならではのアナザーストーリー。
彼もまた無限ループにイライラしたり子供に気を遣ったりする普通の人間だった。
ということは彼にも時間をかけても受け入れなければならなかった何かがあったのだろう。
それは達成される事はなかったけれど。
「迷う男」が受け入れなければならなかったのは父親になる選択と覚悟だよな。
ずっと赤ん坊の泣き声が恐ろしい異変として表れていたし、本当は責任取るのも嫌で逃げたくてたまらなかったんだろう。
本当に泣き声怖い。音が強調されてうるさいし。
「少年」も変なループの仕方してるよなぁ。
「迷う男」が「おじさんは人間じゃない」と言った直後から「歩く男」と行動を共にし、彼が階段を上がっていったので戻って「迷う男」と出会った。
それとも「歩く男」との出来事は完全に過去なのか?
「ある女」の異変直後の「少年」が言うには父親に会ったことがない、らしいが。
まさかラストで「迷う男」が電車で怒鳴り散らしてるリーマンに注意しに行って逆上されて襲われてそのまま死……みたいな嫌な想像してしまった。
でも家族で行った海で拾った貝殻のお守りは持っているのよね。
「迷う男」がループを抜け出した事で「少年」の過去が変わる?
何か考察的なものがあるか調べてみよう。
「迷う男」に始終突きつけられていた問い、「お前はどうするの?変われるの?」の答え、ラスト横顔で終わったのが最高だった。
やっぱ二宮上手いなぁ
8番のりばへの布石かな
結論、8番出口のゲームやった事ある人しか楽しめません。ゲームやった事ない人はダウンロードして8番出口から出て(ゴールして)から映画観に行ってください。
物語は二宮くん視点、おじさん視点、子供視点があってなかなか面白いが、どうせならゲームに忠実に主人公とおじさん視点だけでも良かった。
ラストは何とか8番出口へ…と向かうがそこは何故か階段下って地下鉄のりば。地下鉄に乗って元カノの元へ…となるが冒頭の地下鉄の状況と同じループ。
主人公は動き出すんだろうけど、それは続編への布石かと。真っ暗になったところで「8番のりば」の始まりかと思います。
続編楽しみにしてます。
期待を越えてきた作品
面白かったー!えええ、ちょえええ、☆3評価?!えマジで、何で?
いや、そりゃA級の作品ではないけど、芸術的なカメラワークで、脚本も独創的かつ丁寧で納得できる素晴らしい展開だったんだけど⋯。
成る程。低評価のレビューを見てみると、受け手にとっては物足りなかったり意味不明だったりで満足しなかった人が多くて賛否が分かれる映画だったんだなと気付きました。
それに、8番出口というゲームが人口に膾炙していた為、普段映画を観賞する習慣のない人々が劇場へと足を運んだので、もっと分かりやすいエンディングの方が受けが良くなっていたのかなとも思いました。映画館に子供も多かったですし。
まさか、8番出口というワンアイデアのゲームから、「生きている上で必ず直面する“異変”に貴方はどういった決断をするか」といった観客に対して、人生への投げ掛けを抽出してくるとは脱帽でした。
そこから必要最低限のピースを集めてキッチリ一つの映画として完成度も高く作ったのは監督の力量によるものだなと感じました。
ただ多くのレビューでも散見されたマイナス意見で、最初の電車内での赤ちゃんに怒るサラリーマンの展開。最初の大事な掴みなのに、あの演技普通に酷くないですかね?違和感ありまくりでしたし、あの無理のあるブチ切れ方と下手な演技がこの映画での一番の“異変”でした。日本特有のよく見るクッサイ演技を嗅ぎ取って、あそこで気持ちが冷めちゃった人もいるのかなと思いました。他の登場人物、軒並み演技力が高かっただけに⋯比べると本当酷いしもっと工夫出来ただろうにそこは本当に残念でしたね。
だとしても、この作品はジグソーパズルみたいに要らない展開や無駄な会話が一切なく練り上げられた脚本でとても心に響きました。
特に、子供が海辺で父親に大切な宝物を渡すシーン。決断の先にある運命と、親で在るという責任と重圧、そして育んだ親子の大切な絆と幸福を感じられて思わず涙ぐんでしまいました。
これはオススメの映画⋯。今更ですが、これ誰かにオススメはし辛いなと感じますね。脚本も映像も大衆受けし辛いアーティスティックな画風ですし、8番出口というゲームがあるという前提知識があった方がより楽しめますし⋯。ガチガチのホラーかと言われればそうでも無いし、ループものでもないし、かといって面白くないわけではない。やっぱ結構特殊な映画ですね。この映画に興味がある人に対して、そこまで期待せずに観たほうが良いんじゃないかなーと、言うぐらいが最適かもしれないですね。
まる
ほんとに暇つぶしで観てみました笑
ストーリーはあります
監督がプロデューサーすぎた
おじさんに感情移入してしまう、不思議で身近な物語
しっかりと面白い作品でした。自分の好きな演出が多く盛り込まれていて、最後まで飽きずに楽しめました。
主人公の目線で物語が進むため、観ている自分もその世界に入り込んだような感覚になれるのが良かったです。余計な情報が多すぎず、かといって少なすぎもしないバランスで、想像力をかき立てられる要素がちょうどよく散りばめられていました。
感情を揺さぶられるシーンが多く、映画としてはまさにお手本のような構成。ジャンル的にはホラー要素もありますが、個人的にはSF色が強いと感じました。雰囲気としては「世にも奇妙な物語」に近く、タモリが登場しても違和感がないくらい。豪華版「世にも奇妙な物語」といった見方もできると思います。
日本人なら誰しも経験したことがある「あるある」を映像化している点も共感しやすく、身近に感じられました。こうしたタイプの作品は構えてしまうと敬遠しがちですが、むしろ映画館で体験してから判断してほしい一本です。演出効果に強弱がしっかりあり、没入感も抜群。テレビ画面よりも劇場で観ることで真価を発揮すると思います。
また、二宮の演技はリアリティがあり、大げさすぎず感情移入しやすかったです。そして何よりも「おじさん」の存在感が強く、気づけば主人公以上に感情を重ねていました。
結末はハッピーエンドともバッドエンドとも取れる余韻のある終わり方ですが、主人公の表情が以前より明るく前を向いていたので、個人的には前向きなラストだったと感じています。
全体を通してSF的な雰囲気が強めで、SF好きには特におすすめです。事前情報がなくても十分楽しめますし、頭を空っぽにして観られるので、とても見やすく心に残る作品でした。
最初
これだけ単純なゲームを映像にしようと思ったら、親子要素とか恋愛要素とか入ってきそうで嫌だな、と思ったら、見事に入ってましたね。
冒頭、8番出口に入るまでの描写がめちゃくちゃ好きで、「おお!始まった!」感があって、よかったです。でも、ゲームと違ってルールの説明とか、8番出口に来てしまった必然性がまったく語られない分、もとのゲームをやってない人には、わけもわからずいきなり始まっていきなり終わってしまう映画なのではないかと思いました。
ゲーム自体の恐怖演出を踏襲しつつ、映画的にまとめられてるのがよかったと思いました。
このゲームの初見って、自分でやったというよりも配信者がやってるのを見たって人の方が多いと思っていて、映画の中でも、「あーあそこに異変あるのに!」「おい!気づけよ!」と言いたくなる演出が多く、ちゃんとわかってる人が作ってるなと感じました。
ラスト、子供のあとに同じルートを自分が行くという演出のおかげで、「ただ8番出口から出ていく」以上の緊張感をもたらしていて、いい演出だなと思いました。
人気ゲームの映画化という意味では成功してるのかもしれませんが、映画単体で見たときに、やっぱり邦画っぽいストーリーの安っぽさが嫌なので、評価は低めです。
「8番出口から外に出ること」
ホラーが苦手なのに見てしまった
おもしろかった時間も約1時間30分がちょうどよかった
セットもちゃんとしていてこの8番出口の主催者側の視点(?)を描いてほしい(8番出口だって誰かがあの空間を作りああやって迷っているのを楽しんでいるに違いない)
個人的にエンディング好き
「無難」で「苦しい」だけど「観れる」
ネタバレを含みます。
ストーリーの大元はフリーゲームであることは言わずもがな。
だからこそ、そのゲーム性が大きく反映された映画となっております。
・映画の特徴
時折思い出したかのように製作されるループ物。しかしながら、他のループ物の映画と比べても、その世界観が非常に狭い箱庭の中で完成しているという点が特徴です。物理換算で約30mもない同じ景色の中を変化に注意しながら歩き回るという本作。元となっているゲーム性を忠実に再現しながら、映画ならではのストーリー性が練りこまれています。ストーリー性の部分にはループ物映画の十八番「未来や過去など時間軸の交差」が組み込まれており、未来の自分の息子に助けられるといったストーリー展開となります。
・映画の長所
「無難」で「観れる」という言葉が短所ではないという点が一番の長所です。特徴で述べたように、この映画は非常に狭い箱庭空間でのループが発生します。つまりループにおける「1周」が非常に短い間隔で紡がれるということです。それを約1時間半も観せなければいけない。ゲームをしたことがある人ならわかると思いますが、中身が非常に薄いのです。元から味の薄いガム、その味を長時間出し続けられるようにしたというのがこの作品となります。だからこそ、「薄い内容を無難に最後まで観れるようにしている」がこの作品の長所だと感じました。それを可能にしたのが「俳優二宮の演技」と「カメラワーク」、「数々の演出」の三本柱だと思っています。
「二宮の演技」
俳優としての仕事だけでなく、「ゲーム好き」と豪語するだけの二宮さんの熱意が伝わります。喘息持ちであり、どこにでもいる一般的な主人公を演じます。
何か事件が起きても、波風を立てないように立ち回る傍観者としての苦悩を演じる姿に、観客は共感を得ることでしょう。
また、水の飲み方、薬の服用、頻繁な咳(※ここは短所にも成り得る)等細かい演技にも熱が入っており徐々に絶望に落とされていく様子を感じることができます。
「カメラワーク」
景色の変化の中には、観ている側でも見落としそうになる変化があります。「次はどんな変化だろう」「シーンが変わったら何が起きているだろう」と思わせ、「歩く男」の変化の際には一瞬びくっと驚かせてくる見せ方がうまいです。
「数々の演出」
例えば音楽。クラシックの「ボレロ」をオープニングから流してきます。ホラー映画に「ボレロ」の壮大な旋律がちぐはぐに絡み合い、観る者の「恐怖」ではなく「不穏」や「不安」を引き出してきます。
これは製作者の意図を正確に表現できていると言っていいでしょう。
細かい変化も観る者の「不安」を駆り立てます。ポスターの目が動くシーンや「歩く男」の満面の笑み、ストーリーに沿うかのように時折挟まれる赤子の鳴き声が、同じ場所を歩き続けるだけの流れの中に飽きが来ないようなスパイスとなっています。
おまけの「歩く男」の視点
主人公二宮の視点だけでなく、「歩く男」の視点が描かれます。
もともと男が世界のパーツではなくプレイヤー側にいて、ゲームをクリアできなかった果てに世界に組み込まれたという、ゲームでは分からなかった設定が分かることで、観る者に新たな発見と「不安感」を与えてくれます。
・映画の短所
「喘息持ち設定の是非」
これは別に差別的に考えているわけではないことをはじめに名言しておきます。
二宮さんの熱の入った演技ではあるのですが、同じように喘息持ちの方や共感性が強い人が観ると、その辛さが如実に伝わってしまいます。
ストーリー展開の三分の一は咳をしっぱなしなので、「観ていて苦しくなってくる」のではないでしょうか。
私は映画を観終わってもしばらく気管支や肺あたりがムズムズしておりました。
「重きを置くのはゲームのルール?それともメッセージ性?」
結論を先に書くと、元がゲームであるということが、この映画の解釈を二極化してしまっています。
ネタバレになりますが、この映画、主人公がゲームをクリアしないまま終わります。正確には「8番出口から出る」ために「8回変化を連続で乗り越えないといけない」にも関わらず、7回目くらいで物語が終わるのです。ゲームを経験してから観ている人は、まずここで違和感を覚えることでしょう。
対して、他の人のレビューの中に「自分の強い意志で先に進むことを選択したのであれば、それが正しいのだ」というメッセージ性があるのではないか、というものがありました。
確かに、そう考えるのであれば、「最後に最初のシーンに還り、勇気をもって別の選択をした」という流れに意味が生まれます。だから、主人公の心の憑き物が落ちて前に進めるようになったので8回でなくとも出ることができた、と解釈することも可能でしょう。
少し話が逸れますが、ループ物の映画にパラドクスという映画があります。こちらの作品は同じように時系列の交差がある中で、それぞれの登場人物の行動が互いの心情に変化をもたらし、未来の結果を変えるという物語です。
しかし、こちらの作品はゲームではないからこそ、最初から提示された「絶対のルール」がありません。空間を抜けるための「ルール」がストーリー進行と同時に登場人物にも観客にもわかるようになっており、そのルールを守ったうえで物語が終わるのです。
そのため、観客はルールではなく物語やメッセージ性に重きを置いて観ることができるのです。
対して8番出口は、最初から提示された「絶対のルール」があるが故に、「いくらメッセージ性があろうともルールを無視してよいのだろうか?」という疑問を抱きながら鑑賞を終えることとなります。観る人によっては非常に後味が悪いことでしょう。
「お守りと息子の伏線の扱い」
伏線の回収は確かにされています。
しかし、出したのであれば「その後の未来を描く」「決定的な分岐点でもう一度登場する」など丁寧な扱いが欲しかったところです。
途中で変化かどっちかわからない、という形で未来の息子が登場し、それ以降行動を共にします。
伏線のまき方があからさますぎて、観た人100人中100人が「主人公の息子じゃん」と途中で感づけるくらいの雑さです。
物語りの終盤一歩手前で、主人公と別れ先に進みますが、それ以降出てきません。
せめてパラドクスのように「未来でこんな風に家族で過ごしている」「こんな変化が未来にあった」くらいの伏線回収と再登場を果たしてほしかったです。
何よりいただけないのは「おまもり」の存在です。
物語り終盤、駅の変化(津波表現)に主人公がのまれる中で「未来の回想・幻視」シーンが流れます。ここで、お守りがどういった経緯で主人公と息子の絆を結んでいたのかが描かれます。
また、駅を出る際にポケットに入っていた「おまもり」を握りしめるシーンは息子との絆を再度感じることもでき、これが主人公の決意を促したんだろうなと解釈することもできました。
しかし、最後に最初のシーンに戻り、「泣く赤子とその母親を怒鳴りつけるDQN」を注意しに行こうとする、まさしく現実世界における分岐点において、何もなしに決断するのではなく、もう一度「おまもり」を出してほしかったというのが個人的な感想です。
・総評
だいぶ熱を入れて書いてしまいましたが、まとめると「無難に観れる」に落ち着くでしょう。
どうしても、アメリカ産映画の迫力と比べると見劣りしてしまいます。
しかし、フリーゲームを実写映画化することに挑戦し、難しい内容を最後まで観られる形までもっていった俳優と製作陣には頭があがりません。
もう有名になってしまったので難しいでしょうが、この映画を一番楽しむ方法は、ゲーム未プレイで観ることで楽しめる映画ではないでしょうか。
観る人の人生経験でかなり評価が変わる映画
ストーリーの無いゲームから、良くこんなに素晴らしい映画に昇華させたなぁと感動している。
始まりの、「迷う男」の元カノからの電話で、持病の喘息が一気に悪化していく様子で、彼の迷いや不安が理解できるし、ループに紛れ込んでから彼が何度も「大丈夫」と呟くところまでは観ている方も息をするのが苦しくなるくらい。ただ、少年と出会ってからは徐々に顔に血の気が戻っていく。
少年が「歩く男」といる時に喋らないのは、彼が少年にとっての父親になる人では無いということの暗示だったのかもしれない。「迷う男」と歩き始めた時も最初は話さなかったけれど、身の上話をしてから明らかに少年の態度が変わったのは、「迷う男」が少年の父親になるという確信を得たからなのか。ここまでで、少年は彼と元カノの子供の未来の姿であると考えられる。
海辺の楽しいシーンから、濁流に飲み込まれれながらも少年を8番出口のサインボードの上に抱き上げるシーンで、「迷う男」が迷わず少年を助ける行動をとったことに感涙した。彼の父性の発現なのか?
そして、ラストシーンでは、元カノのところへ迷わず行く決断をして、そこでまた起きるループに終止符を打つべく、彼は動く。実際に動くシーンはほぼ映らず、目の動きだけでそれを表す最後の二宮和也が秀逸だった。ここでまた感涙。
そして、主題のボレロ。映画の始まりに鳴るボレロは不安を掻き立てたが、終わりのそれは「迷う男」を鼓舞するファンファーレに聞こえた。
ただ、これは私が息子を持つ親で、今まで生きてきた中で「迷う男」と同じような経験をしたことがあるからということもあるのかもしれない。
人はそれぞれ無意識に自身の経験値と照らし合わせて物語を読み解こうとするので、この映画を観た感想にもそれぞれ隔たりがあるのは仕方ないのかなと思う。
私は既に5回観ているがその度に新しい発見があり、それが楽しくてまた観に行きたいと思っている。
良い点と合わない点
8番出口気になっていたので観て来ました。
ゲーム自体は実況動画やプレイ済みなのでルールは知った上で臨んでおります。
【キャラクター】
二宮くん
派遣社員、別れかけの彼女に子どもがデキる、喘息持ちなど要素詰め込みの優柔不断主人公を演じてました。
演技が素晴らしかったです。二宮くんなら当たりという
風潮はやはり有りますね。
おじさん 河内大和さんがいい役柄で最高です。
見る価値あると思います。
彼女 オリジナル要素
男の子 オリジナル要素、8番出口を彷徨ってる。
正直男の子周辺のストーリーが評価下げる要因になってると思う。ツッコミどころが①最初からしゃべれよ、②水に飲まれた時の謎シーン挿入、この2つがえぇー…ってなりました。
演技 ☆☆☆☆☆ (二宮くんと河内さんのみ)
脚本 ☆☆
異変 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆
数百円のゲームがここまで拡がった点を考慮しました。
見ててイライラした
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