「モーリス・ラヴェルのボレロとの親和性」8番出口 mariaさんの映画レビュー(感想・評価)
モーリス・ラヴェルのボレロとの親和性
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単純明快なルールで地下通路をループするこの物語は、モーリス・ラヴェルのボレロとの親和性が高くて面白かった
もうこれは『芸術』
ボレロといえば『ループ』
その1点でこの曲が使われたのかと思ったが、そのほかにも共通する特徴があって、ボレロを初めて聴いて衝撃を受けたのと同じ感覚をこの映画でも感じた
永遠と繰り返されるスネアドラムのリズムは、まさにこの映画の『おじさん』だろう笑
たった2つだけのフレーズを繰り返すボレロだが、その繰り返しと足されていく楽器、ときどき起こる異変(多調を使った不協和音であったりトロンボーンのスライドグリッサンドであったり)、曲の最初から最後にかけての大きな1つのクレッシェンド
そのすべてが、まるでこの映画を表しているよう
ラヴェルのボレロも、初演のころは単調でつまらないと批評されていたそう
ただ、この実験的な曲は癖になる
最初のフルートやクラリネットのソロのところでは「単調だな」と思うかもしれないが、楽器が増えていくにつれてその「繰り返し」に高揚していく
そう思えばこの映画の序盤の「単調さ」もあえてだろう
派手な物語ではないかもしれない
でも、それがまるで『人間』あるいは『人生』を表しているかのようにも感じる
曲の終わりにやっと転調したときには心拍数がぐっと上がる
『迷う男』が出口から出られたそのときも同じ
最後の表情には希望すら感じられる
繰り返し聴きたくなる
繰り返し観たくなる映画
あと、二宮和也の『リアリティ』はやっぱり凄い
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