「残念に思われたり、疑問に感じるところはあるものの、バディ・ムービーの面白さは堪能できる」ズートピア2 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
残念に思われたり、疑問に感じるところはあるものの、バディ・ムービーの面白さは堪能できる
前作は、本格的な推理と、意外な人物(動物)が黒幕と分かる終盤の展開が楽しめたのだが、本作では、中盤で、オオヤマネコ一族の陰謀があっさりと明かされてしまい、「謎解き」のミステリーとしては物足りなさを感じてしまった。
毒ヘビ特有の能力を使って、日記に隠された「ある場所」を見つけ出すというアイデアは面白かっただけに、「誰が、どのようにして、ズートピアから爬虫類を追放したのか」という陰謀の核心についても、ヘビとその仲間が説明するのではなく、主人公のウサギとキツネが、色々なヒントから解き明かすという展開にしてもらいたかったと思えてならない。
様々な動物たちが、それぞれの習性を保ちながら、人間そっくりな社会生活を送っているという設定の斬新さは、前作同様に楽しめたものの、それぞれの動物のサイズの違いから生じる面白さが、前作ほどには感じられなかったのも残念だった。
その一方で、今回の物語は、主人公たちが、警察による追跡をかわしながら、事件の真相に迫っていくという、典型的な「逃亡者」モノになっていて、追いつ追われつのアクションと、手に汗握るスリルとサスペンスが存分に楽しめるようになっている。
仲間だと思っていたキャラクターの突然の裏切りには驚かされたし、「羊たちの沈黙」や「シャイニング」を連想させるシーンにも、ニヤリとさせられた。
ただし、ウサギとキツネが、相手に対する自分の本音を吐露し合って、互いの絆を深めるシーンは感動的ではあるものの、「そんなことより、早く特許証を探しに行けよ」と突っ込みたくなったし、やっつけたと思っても、逃げたり襲って来たりする裏切り者のしつこさにも、少々うんざりしてしまった。
敵と思われたウマの市長やイノシシの警官の、ラストでの変わり身の速さもご都合主義に思われたし、爬虫類や水生動物との共存を通して描かれる「多様性の受容」というテーマも、前作ほどには心に響かなかった。
そもそも、オオヤマネコの先祖に陥れられたヘビの先祖が、本当の特許証を手に入れた時点で、どうして自らの無実の罪を晴らそうとせず、それをしまい込んだ上に、その場所を日記の中に潜ませるという「回りくどいこと」をしたのかという理由もよく分からなかった。
と、残念に思われたり、疑問に感じるところは少なからずあったものの、それでも、やはり、鳥類の登場を予感させる次回作が楽しみになってしまうのは、優れたバディ・ムービーとしての面白さを堪能できたからだろう。
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