「アンドロイドとの組み合わせは面白いが、プレデターの「キャラ変」は気にかかる」プレデター バッドランド tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アンドロイドとの組み合わせは面白いが、プレデターの「キャラ変」は気にかかる
何と言っても、プレデターと、「エイリアン」のアンドロイドとを組み合わせるという発想が面白い。確かに、両シリーズは、これまでも世界線が交錯していたが、よくぞ、このコンビを思い付いたものだと感心してしまった。
今回は、プレデターを主役に据えているのだが、プレデターだけが出てくる話なら、あまり親近感が湧かないし、かと言って生身の人間を登場させたりしたら、プレデターに感情移入することが難しくなったことだろう。実際、終盤で、プレデターと相棒のアンドロイドが、人間と同じ姿形をしたアンドロイド達をバッタバッタとなぎ倒すのだが、敵がアンドロイドだからこそ、それが壊される様子を楽しめるのであって、これが本当の人間だったなら、人体破壊の描写から目を背けたくなったに違いない。
監督の趣味なのか、過去のSF映画を彷彿とさせるようなシーンが多いことにもニヤリとさせられた。上半身だけのアンドロイドをプレデターが担ぐシーンは、「帝国の逆襲」のC−3POとチューバッカのようだし、ラストのロボットとプレデター達との戦いは、「エイリアン2」そのものと言ってもいいだろう。
ほかにも、兵器を失ったプレデターが、惑星に生息している危険生物を武器にして戦うところや、上半身と下半身のアンドロイドが、互いに連携し合いながら戦うところなど、アイデアに溢れたアクションシーンも面白かった。
その一方で、プレデターの父親も恐れていたという不死身のモンスターを、地球のアンドロイド達が簡単に捕獲してしまったことには、何だか拍子抜けしてしまったし、だったら、宇宙で一番強いのは、やはり地球人なのかという思いも頭をよぎる。ただし、アンドロイド達が使用したのは、プレデターの「冷凍爆弾」だった(結局、これでモンスターを殺すこともできた)ので、だったら、プレデターは、どうして始めからこの武器を使わなかったのかという疑問も残った。
それから、これまで、寡黙で冷酷なイメージの強かったプレデターが、饒舌に喋り続ける様子や、兄弟愛という「情」を露わにするシーンには、違和感を覚えざるを得なかったし、孤高の戦士のはずのプレデターが、兄の仇を討った上で、ちゃっかりチームを結成していたラストにも、どこか釈然としないものを感じてしまった。今後、プレデターを主役にした新シリーズを展開していく上では、ある程度の「キャラ変」は仕方ないのかもしれないが、悪役が正義の味方に転身したことで魅力を失ってしまった「ターミネーター」のような前例もあるだけに、そうならないことを祈るばかりである。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
