「歌声が続いて欲しい」父と僕の終わらない歌 豆之介さんの映画レビュー(感想・評価)
歌声が続いて欲しい
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今日明日どころか瞬間に変わる父・哲太を寺尾聰さんが見事に自然に演じ、アルツハイマーの症状を考えさせられた。息子・雄太の松坂桃李さんと妻・律子の松坂慶子さんの難しい顔に胸が苦しくなる。
周りの人達は皆優しい。過去にそれだけの歌や活躍があってのことだが支えるのは家族だけではない。
それでも明日どうなっているかは分からない。雄太は涙をもっと流すのかもしれない。アルツハイマーの症状をよく知らない人間が勝手に言うことだが、歌が途切れたらかつてのテープを流し続け「どこかにいる」哲太を呼び戻して欲しい。
歌にならなくなる日が来るかもしれない。でもこの家族なら、周りの人達なら側を離れないだろう。寺尾聰さんの歌声が誰ものことを包み込んでいるように聞こえ、一人にしなければ大丈夫だよと言っているように思えた。
惜しいなと感じたのがディーン・フジオカさん演じる雄太のパートナーの亮一。とても優しい人で好感が持てるが一人で歌まで歌うので、その分の尺を親子三人に回しもっと見せて欲しかったと思ってしまった。ここまで出すのならいっそ雄太や律子と共に暮らすようになり、哲太を支える一人になるくらい重要人物にしても良かったのでは。やや中途半端で出た方がいいのか出ずに雄太がパートナーに電話するだけに留める方がいいのか考えてしまった。
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