「こんな世の中だから」スーパーマン がばちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな世の中だから
SNSなどを眺めていると、立場や経済的に弱い少数派を見つけては、匿名で誹謗する人間の多い事。
その光景に危機感や胸の痛みを募らせつつも、それらを分析したり議論する事すらタブー視される昨今の風潮に、心折れて理想を諦めたり口を紡ぎそうになる事しばし。
今作の悩める主人公の姿に、勝手に重ねて感情移入してしまった次第。
迷い、失敗して、罵倒され、後悔しながらも、歯を食いしばり、時に弱さを認め助けを借りながら、目を逸らさずに向き合い続ける主人公。
そしてそこに共鳴するかどうか、外部からの意思や情報に惑い翻弄されながらも、最終的には自分の意思で決意して踏み出す人々。
それら登場キャラ達の姿に、現代に於いての理想の「スーパーマン」の形と強さを見た気がします。
勿論それだけではエンターテイメントとしては物足りないし、ちょっと疲れます。その辺りのさじ加減はさすがのジェームズ・ガン作品。
メッセージ性に辟易する前に、コメディシーンが程よく挿入され、その笑いがくどくなって来ると最新かつ予算たっぷりの見応えのあるアクションシーンに切り替わり、それらにワンパターン味を感じ出す頃に、絶妙に飛び出すウルっと来るメッセージに癒されたり。
単品だと食傷気味になりがちなそれぞれを、とても良い塩梅でクルクル回してくれるので、長尺も最後まで飽きずに楽しめました。
常に眉間にシワを寄せて深刻な表情のザック・スナイダー版もクールで良いのだろうけど、ヒーローとしてのあたたかさとユーモアが感じられる今作の方が好きだなあ。
だって心に愛がなければ、スーパーヒーローじゃないのだから。
言葉の意味はわからないし、とにかくすごい自信も持ち合わせない自分なので、スーパーマンにはなれないかもしれないけど、劇中に登場した、キーボードを叩きまくるあの動物の集団にはならないようにしないとね。
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