劇場公開日 2025年7月11日

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「作品のテイストや世界観はまさに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。 同シリーズが好きな方には堪らない監督らしいテンポやキャラクター同士の掛け合い、ギャグで129分飽きさせません。」スーパーマン 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 作品のテイストや世界観はまさに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。 同シリーズが好きな方には堪らない監督らしいテンポやキャラクター同士の掛け合い、ギャグで129分飽きさせません。

2025年7月12日
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マーベル・シネマティック・ユニバース『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を大ヒットに導いたジェームズ・ガン監督がライバルDCスタジオに電撃移籍してメガホンを取った第1弾は『スーパーマン』。

リチャード・ドナー版(1978)、ブライアン・シンガー版(2006)、ザック・スナイダー版(2013)と名高い監督が時代の空気感や要求を反映させながら描かれたヒーローの大看板を、気負いなく軽やかにジェームズ・ガン色に見事染め抜いたリ・デザイン、リメイクされていた点は称賛。

物語もスーパーマンの出生には一切触れず、すでに彼が地球に飛来する前から異星からのスーパーヒーローたちが存在、クラークとロイスは出会い、レックスとも対立、レックスが送り込んだロボットや怪獣に劣勢に立たされている状況が出足からだれずに軽快にスタート。

また本作のスーパーマン(=クラーク・ケント)も国際的な政治や人種、国籍、民族紛争などの現実問題に巻き込まれますが、キャラクターとしては、いままでの神格化された生真面目さや暗いイメージを払拭、実に人間臭く、敵にも簡単に負ける未熟な等身大の明るいヒーローとして再構築されています。

グリーン・ランタンの一人、ガイ・ガードナーはじめホークガール、ミスター・テリフィックらの「ジャスティス・ギャング」のメンバーもすでに地球で人間の脅威と戦い、スーパーマンと共闘しますが、個人的にはココが本作のリメイクの大きな点だと感じましたね。

いままでの『ジャスティス・リーグ』の場合ですと、突出した能力を持つスーパーマンを筆頭にアクアマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、サイボーグ、そして生身の人間バットマンのメンバー構成で、メンバー間のパワーバランスが悪く、ストーリー上も無理が生じていました。
同じようなチーム内での能力格差は競合『アベンジャーズ』でも発生しておりますが、本作ではスーパーマンと同等の能力を持つ異星のメンバーでチーム再構成、心機一転、ストーリー展開も無理がなくスムーズで見やすくなりましたね。実に良い決断です。

主役を演じるデヴィッド・コレンスウェットも、歴代のクリストファー・リーヴ、ブランドン・ラウス、ヘンリー・カヴィルのマッチョで男前なルックは誰もがイメージするスーパーマン像に近く、劇伴もジョン・ウィリアムズのテーマ曲を上手く流しおり、往年のファンに対する配慮も感じますね。

作品のテイストや世界観はまさに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。
同シリーズが好きな方には堪らない監督らしいテンポやキャラクター同士の掛け合い、ギャグで129分飽きさせません。

因みにルーサーの刺客として「ウルトラマン」も登場しますが、こちらはM78星雲の光の国のヒーローではございませんので、ご注意ください。

矢萩久登
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