ケナは韓国が嫌いでのレビュー・感想・評価
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人生における幸せとは何なのかという問いを突きつけられる
主人公のケナに明確な夢や目標があるわけではありませんが、韓国では生きていられないといういら立ちがスクリーンからひしひしと伝わってきます。そんな人生に葛藤する女性を等身大で演じているのがコ・アソンです。
ポン・ジュノ監督の傑作「グエムル 漢江の怪物」(2006)でソン・ガンホ演じる主人公の中学生の娘役を演じた天才子役で、怪物に連れ去られたあの彼女が成長して、現代に生きていると仮定して見ると、また違った趣も加味されるでしょう。
観客はコ・アソン演じるケナの目を通し、異国の地で生きてみることで、本当の居場所はどこなのか、自分とは何者で、人生における幸せとは何なのかという問いを突きつけられ、道を切り開いていこうとする姿を追体験していくことになります。
前向きになれる作品
監督による舞台挨拶があると聞き、タイトルのインパクトに惹かれていた作品だったのもあり鑑賞してまいりました。
主人公を通して韓国が住みづらい国という事が語られるのですが、全体に嫌味な描写がありません。
韓国は寒い、目上の者が偉い、家父長制度などなど、さらっと流して描写する手際が実にお見事でした。
特に、試験に落ち続けている友人との掛け合いは最高です。
韓国が抱えている問題点を友人同士の描写だけで浮き彫りにしていました。
そして、「海外に移住し、永住権を得てマイホームを建てる…一見すると成功者に見える韓国人でさえ、退屈な日々を持て余しているだけ」という監督のメッセージが強烈に伝わります。
それでもめげずに海外移住を目指すケナを最後は応援したくなりますよ。
前向きになれる作品だったので非常に楽しめました。
地獄の韓国、地獄の日本
直近の海外はベルリンだけど
世界ってもっと気楽に生きてるのかもね。
インドニージャンのボンボンの言う
「日本人とコリアンは家が太くなさそう」
ってセリフが1番刺さったな。
日本がシタガイコクになったんだなって。
たぶん「そこが生きづらければ逃げたらいいよ」
ってメッセージを発してる気がするけど
これを救いと思うか大きなお世話と思うかは
今の自分が幸せかどうかを試されてる感じがするわね。
時系列わざとめちゃくちゃにしてるけど
まあなんだろ、自分的には効果的な演出ではなかったかも。
とはいえ寝なかったから面白かったのかも。
あと俺友達いないからわかんないことも多いわ笑
通りすがりの登場人物ばかりなのが
主人公の生き方みたいで興味深かったな。
あとぐグエムルの子だってさ!おっきなったなあ!
それでは3本目に行ってきます!
皆さんもハバナイスムービー!
海外への憧憬
好きなように生きなさい
政治的混迷が続く韓国。親日だったユン大統領が罷免されたので、おそらく次の大統領は真逆の反日になるのでは?とのことで、Kポップ好きのうちの妻と娘は選挙で大統領が決まる前に韓国旅行に行くとのことだ。
韓国ドラマで貧富の格差、学歴社会、自殺率の高さ等生きづらさについては散々見てきたが、そんな「韓国が嫌いで」家族や恋人の存在を顧みずニュージーランドに飛び出すって話にとても興味をそそられ鑑賞することにした。結果、素直にいい映画だったと思います。
ニュージーランドに着いてケナがジェインと街角でワインを飲みながら食事をしてたら、おっちゃんに「ここは飲酒禁止だ」と言われ「英語も喋れないのに来るな!」と吐き捨てられていたが、そうなのです。まさに「郷に入れば郷に従え」なのです。でもニュージーランドでは英語さえ喋れてコミュニケーションがちゃんと取れれば差別も貧富の格差もあまり感じることなく暮らしていけるようです。だから韓国ではいつもしかめっ面でなんか可愛くないケナだったが、少しずつ活き活きとしてきて笑顔もこぼれるようになっていた。それには彼女なりの色んな努力(元々勉強も頑張る方だったようだったし)や生きる為の苦労(バイト生活)があった。韓国でも頑張ればそれなりに道も開けるんだろうが、寒さが嫌いなペンギンのようなケナだったので温暖なニュージーランドの方があってたんだと思う。
私は単身赴任で海外暮らしを経験したことがあるが、その頃は英語もあまり習得できず現地に馴染めず、少し辛かった。しかし今となってはもっと積極的にその国と人に関わって自分の心も含め馴染んでいくことができていたら、自分の人生も少し変わっていたのではないか?と反省してる。なのでケナは立派だし素敵だと思います。
最初、韓国を出る時にはスーツケースに入りきれない程の荷物を持ちこもうとして空港で荷物整理をしていたが、一時帰国し再びニュージーランドに行く時はバックパッカーのようになっていた。確かに「幸せ」って言葉は過大評価されてる気はするけど、。ケナは着実に小さな「幸せ」は掴んでいたように私には見えた、。
原作読んでたから分かったところは、いきなり映画見て分かるんだろうか
原作が面白かったので、観に行った。
オーストラリアがニュージーランドになってたのは、何でだろ。
特に理由もないと思うんだけど、大人の事情?
それ以外は、刈り込まれてはいたけど、
大すじ原作どおり。
ただその刈り込み方が…
原作読んでない人には、あれで分かるんだろうか、というところがいろいろ。
とくに、韓国を出ようと思った理由。
原作ではもっと具体的で説得力があると思うんだが…
なお、身近な人が何人か死ぬけど、あれは原作にはなかった。
どんな意味を持たせたかったんだろう。
OECDで自殺率1位、ってのを具体化したかったのか?
だとしたら、蛇足でしょう。
でもまあ、
ケナ役のコ・アソンさんが絶妙だったし、
原作の世界が目で見られて満足♪
我が強め
「名作再び」
後悔を恐れずに行っちゃえ行っちゃえ
旅せよ、ペンギン。
まず邦題が良い。原題がどんなニュアンスか分からないけど、この嫌い「で」ってとこが本当に効いててめちゃくちゃ良いタイトルだと思います。
仕事も恋人も家族との関係も悪くはないのに何故か煮えきらないケナが、生まれ育った韓国を離れニュージーランドに渡るというストーリー。時間軸が行ったり来たりするのがちょっと混乱するけど、韓国の現状や移民を受け入れる側の価値観など色々詰め込まれた内容になっていました。
韓国にいる時のいつもどこか不満そうなケナと、ニュージーランドで楽しそうに過ごすケナの対比の表現が上手かった。自分の生まれた国が嫌いな人もいれば、自分自身を嫌いな人だっている。なんだかんだケナはめちゃめちゃ行動力があるしモテるしちゃんと仕事もするし、どこにいても上手いことやっていけるでしょう。
ちょいちょい
ケナって誰の心にもいるよ
やはりどこか似ているかも
決して家族が嫌いというわけではないのに、経済的、社会的、いろいろな意味で、追い立てられるような生活を余儀なくされ、生きづらさを感じていたケナ。移住先のニュージーランドは、気候が暖かく、アルバイトの賃金も、生活に困らない程度のものは確保でき、学生生活もそれなりに充実しているようでしたが、同じく故郷を捨て、豊かな生活を送っているようみえた同郷の韓国人家族の父親は「ココには何もない」とつぶやき、何故かあまり幸せそうにはみえませんでした。
2024年の世界の合計特殊出生率を低い順から並べると、香港0.8 韓国0.9 シンガポール1.1 日本1.1(推定)。このうち香港とシンガポールはいずれも都市国家型で住宅価格や生活費が高騰しているのが主因のようですが、韓国と日本はそれなりの国土があるにも関わらず、出生率が低迷している点で共通しています。
二国の共通点はともに儒教的な家父長制度の名残があり同調圧力の強いところでしょうか。でももともと、ゲノム解析では日韓の類似性が高いことは以前から明らかにされていましたし、最近の科学雑誌では、韓国人に縄文人の遺伝子をかけあわせシュミレーションすると、日本の現代人の遺伝子とほぼイコールになったとの記事も読みました。3万年ほど前の大陸と地続きだった時代から、互いに影響を与えながらもともと同じような歴史をたどってきたのかもしれません。
そういえば、「日本が嫌い」と言って、留学し長らく海外駐在をしていた人が私の近くにもいます。
異国の地で散った友人と、夢でジャンクフードをいっしょにお腹いっぱい食べるシーンが大好きです。「あんたそれにしても沢山食べるね・・・私、幸せってさ。みな過剰評価していると思うんだよね」といったケナのセリフが特に印象的でした。
テーマは現代的で良かったと思う
こんなんZ世代が観たら 日本からみんな居なくなってしまうのでは!?...
"幸せ"って言葉は過大評価されてる気がするんだよね
数年前に観た「ひと夏のファンタジア」には魅了されたが、今回のチャン・ゴンジェ監督の最新作もとても気に入った。
この監督は語り口がとても優しく上手い。
貧困、男尊女卑などステレオタイプに陥りやすい設定を過度に強めることはしない。ケナの家族は貧しいが典型的な家父長制家庭ではない。父親は勤勉で娘想い、母はケナに新居費用は要求するが毒親ではないし、ケナの彼氏にしても確かに儒教的思想は持っていそうだが、悪意はなくケナへの視線は常に優しい。皆どこにでもいる等身大の人間として描かれている。この塩梅が上手い。
ニュージーランドでは様々な人たちとの出会いを様々なエピソードで紡いでいく。高揚感や死を織り交ぜながら、現在と過去を行き来させる。この辺りの構成もとても上手い。
ラスト近くハンバーガーショプでの負け組の友人との会話(夢想)が印象に残る。「本当の幸せって、寒くなくて食べれること」「僕は日当たりが良くて、眺めがいいことかな」。
シンデレラのように劇的に何かがあるわけでもないし、起承転結や予定調和があるわけでもない。人生はそんなもの。でもニュージーランド出発前に比べたら、ケナの表情は明らかに穏やかになっている。これだけは間違いない。
羨ましさもある
ケナみたいな人生観の人は案外、居るかも
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