「描きたいことが絞られてなくて少し残念」フロントライン 777さんの映画レビュー(感想・評価)
描きたいことが絞られてなくて少し残念
もう少しドキュメンタリー調なのかと思っていたから少し残念な出来でした。
もう、というよりまだたった5年前のことなのにだいぶ記憶は薄れてますが、当時自宅で報道とTwitterで感じていた危機感や緊迫感が感じられなかったなあと。
客船の話というくくりであっても、ここからが本当の感染対策地獄なはずなので、乗客たちが全員下船したということで希望が見えるような締めくくり方は違和感しかないです。
隔離する、船から下ろす、検疫が、入国審査が…みたいなこともサラッと流しすぎだし、病院に送られた人たちの容態もあんなものではなかったような。
せめてあの時の空気感は描いて欲しかった。
船内対策として当時はまだ未知の感染症で手探りなのはわかるけど、当時報道を見てるだけでも感じたコロナの怖さがあまり伝わらない。
彼らが良くやってくれたのはわかってる上でですが、やったことだけを並べて、大変だったみたいなことを見せるだけだから、DMATや医師たちや厚労省の大変さ、乗客の隔離生活のしんどさが伝わらないのかと。
2時間で下ろされた感染症の専門家医師の動画やゾーン分けに関しても報道された内容からしてもあんなものではなかったし、病院やホテルなどの提供の申し入れはもう少し描いても良かったかと。
この映画では船の外の反応も見えない上にここからなのにすでに反省モードな展開なので、結局何を伝えたいのかがぼんやりしてしまったと思います。
あのしんどかったコロナ禍は日本においては「ここから始まった」に近いのが肌感覚としてあるので、下船で終わっていてもめでたしめでたし、ではないというのはにおわせて欲しかったし、脚本としてもう少しやりようがあったと感じます。
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