「あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。」フロントライン mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。
これがよく出来ていてびっくり!
多分、脚本も書いた増本淳というプロデューサーの力だと思う。
監督が関根光才で、昨年の「かくしごと」の監督。「かくしごと」は、あまりいい出来ではなかったけれど、映像や演出はリアルで、レベルが高いと評価していた監督だった。それが今回、実を結んだ。
普通の人々がそれぞれ緊急で初めての事象に対応しなくてはいけない状況で、嘘くさい演技をしていたら、台無しになるのは火を見るより明らか。
松坂桃李の官僚や、医師の小栗旬や池松壮亮、窪塚洋介が抑えた演技で良かった。(いわば「シン・ゴジラ」のあのノリ)
それで、「シン・ゴジラ」よろしくいろんな困難な事態に対処してゆく。それが案外エンターテイメントとなっている。後半のバスでの大移動は壮観であり、なかなか緊迫したシーンになっていたし。
ラストに事態が収束して小栗旬と松坂桃李がお互いお疲れ様と言っているところで、窪塚洋介が扮する仙道先生がもう北海道で医療に従事している姿が!これがカッコイイ。「ダークナイト」のラストシーンを思い出した。
窪塚洋介は、ラストだけでなく、全編を通してカッコよかった。さすがです。
松坂桃李が最初官僚の上から目線の冷ややかさを演じて、それが最後には小栗旬の医師に対して「先輩」と認め敬意を払っている演技も素晴らしかったし、それを受ける小栗旬がしっかりしているからこそ映えるのだと思う。
今回は、小栗旬が演技者の中でいい要になっている。池松壮亮も良かったし、その妻役の前田亜季は出番が少ないながら、リアルな演技をしていて好感。
森七菜は、英語が上手くてびっくり。可愛く良かった。無駄な演技をしない。いい女優になりました。
あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。これからも良質なノンフィクション系の映画を期待したい。(特に政治系)
この増本淳プロデュースの「THE DAYS」も見てみよう。
「シン・ゴジラ」と言われて、あぁ、そうかと思い当たりました。おっしゃるように、ノンフィクションとSFの極端な差はあろうと、「とことん抑えた演技」が、緊迫したリアルを生んだのですね。